朝方は、米中対立の激化懸念から28日の米国株式が反落した流れを受け、売りが先行した。
反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を中国が28日に採択したことをめぐり、米中関係が一段と悪化するとの警戒が売りを促した。
日経平均株価は前日までの4日間で約1500円上昇し、「上がり方が速い」との警戒感も出ていた。午前は戻り売りが優勢で、下落幅が一時は約200円に広がった。
ただ、午後は「香港株の下げ幅が縮小し、落ち着きを取り戻した」こともあり、前日終値付近まで戻した。東京都が6月から休業要請を緩和する方向となり、経済活動の再開期待は支えとなった。
29日朝に公表された4月の鉱工業生産指数は、新型コロナウイルス拡大による需要低迷により低下した。株式市場では「製造業の株価の重しになった」との指摘も出ていた。
市場関係者は「海外勢の買い戻しが続いているようだ。中国政府が『香港国家安全法』の制定方針を決めたことを巡り、今晩、トランプ米大統領は会見し、中国へ制裁を科す見通しだが、ひょっとしたら厳しい内容にはならないではとの期待感があるようだ。また、香港ハンセン指数が下げ渋っているのも支えになっている」との声が聞かれた。
MSCIリバランス需給の影響もあり商いが膨らみ、東証1部の出来高は23億8386万株、売買代金は4兆6423億円に達した。騰落銘柄数は値上がり674銘柄、値下がり1438銘柄、変わらず58銘柄。