前日のNYダウは前日比1190ドル安と過去最大の下げ幅となった。カリフォルニア州で感染源が不明な事例が見つかったほか、欧州や韓国などでの感染拡大も嫌気された。これを受けた、東京株式市場は売りが膨らむ展開。月末で、ポジションを外す売りが出たほか、追い証の発生に伴う損切りの売りが膨らんだ。
28日は中国・上海総合指数などのアジア株や米株価指数先物もそろって下げた。「買い持ち専門の投資家が株を売って現金の保有比率を高めていた」との声もあった。国内では、政府によるイベントなどの自粛要請や小中高などの臨時休校要請を背景に、経済活動が一段と停滞するとの警戒感が強まった。
午後は一段安となり、下げ幅が1000円を超える場面があった。外国為替市場で円相場が1ドル=108円台まで上昇したことが輸出関連株への売り圧力を強めた。幅広い銘柄の急落を受け、信用取引の追加担保差し入れ義務(追い証)の発生に伴う個人投資家の換金売りが出たほか、節目の2万1000円を一時下回ったことを受けたオプション取引に絡む先物売りも相場を押し下げた。
市場からは、1ドル=108円台後半の円高に加え、中国・上海株や米シカゴ市場の米株先物の下落が投資家心理を一段と冷え込ませた。海外の機関投資家が日本株の持ち高削減を急いだとの見方が出ており、「買い注文が少なくても大口売りが次々と出てくるため、株価は簡単に下がってしまう」との指摘が聞かれた。「休日中の新型肺炎関連の悪いニュースを恐れて、投資家は買いを入れられなかった」との見方があった。
JPX日経インデックス400は5日続落し、終値は前日比503.94ポイント安の1万3584.28だった。東証株価指数(TOPIX)は5日続落し、57.19ポイント安の1510.87で終えた。
東証1部の売買代金は概算で4兆1288億円と18年5月31日以来の高水準だった。MSCIが算出する株価指数の組み入れ比率変更に伴う売買も代金を押し上げた。売買高は24億2087万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は2122と、全体の98.2%を占めた。値上がりは35、変わらずは4だった。
日経平均は週間で2243円78銭(9.6%)下げた。下げ幅はリーマン・ショック直後の08年10月6〜10日(2661円)以来の大きさだった。
業種別株価指数は、情報・通信業、電気機器、銀行業など主力業種を中心に全33業種が下落した。