朝方は強弱観を対立させていたが、後場に入って売り圧力が強まり、日経平均は一時400円を超える下げで、一瞬3万8000円台を割り込むなどリスクオフの流れが強まった。
米長期金利の上昇を背景に前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が軟調に推移した流れを引き継ぎ、売りが優勢だった。27日投開票の衆院選を警戒する動きは強く、持ち高調整の売りも出やすかった。
ただ、日経平均は上昇に転じる場面もあった。東京外国為替市場で円相場が1ドル=152円台と3カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけ、自動車など主力の輸出関連株の一角に買いが入った。
東京株式市場でもリスク許容度の低下した海外投資家の売りが観測される状況。日米金利差拡大を背景に外国為替市場では一段と円安が進んだが、自動車株は買われたものの、全体相場は円安を好感する動きとはならなかった。27日に行われる衆議院総選挙を控え、与党が想定以上に苦戦するとの観測が買いを手控えさせている。
全体売買代金は3兆5000億円あまりで東京地下鉄の新規上場効果を考慮すると低調だったといえる。
22日のニューヨーク債券市場で米長期金利は上昇(債券価格は下落)し、一時4.22%と3カ月ぶりの高水準をつけた。米経済の軟着陸(ソフトランディング)観測が強まり、米利下げペースが緩やかになるとの見方が浮上。値がさの半導体関連株をはじめPER(株価収益率)の高い銘柄を中心に、金利と比べた相対的な割高感を意識した売りが出た。
きょう23日に東証プライム市場に新規上場した東京メトロの商いが膨らみ、東証プライム市場の売買代金ランキングで首位だった。公開価格(1200円)を上回る1630円で初値を付けた。大引けは1739円で、時価総額は1兆円を上回った。市場では「東京メトロ株を購入するために既存の上場銘柄に換金売りを出した投資家は多く、需給悪化も相場の重荷になった」との声が聞かれた。
日経平均はチャート上で始値より終値が低い「陰線」を23日まで11日連続で引いた。11日連続は2012年4月25日〜5月16日(13日連続)以来の長さ。陰線は取引時間中の売り圧力の強さを示す。市場では「足元の日本株はボラティリティー(株価変動率)が高く、中長期志向の投資家が買いを手控えている」との声が聞かれた。
市場関係者は「大引けに近づくにつれ、欧州の投資家による取引が活発になる時間帯に入る。欧州勢は足元で上値の重い日本株から値動きの良い欧州株に資金を移している」とも話した。