主力株をはじめ幅広い銘柄が買い戻される展開となり、日経平均は朝方高く始まった後も一貫して上げ幅を広げた。3月期末を前に個人投資家や機関投資家による配当に絡む買いが強まり、史上最高値を上回る場面もみられた。日銀の緩和的な金融環境が継続するとの見方も投資家心理を強気に傾かせた。
外国為替市場で1ドル=151円台後半まで円安が進み、これがハイテク株など輸出セクターに追い風となった。また、前日に発表された公示地価が全国平均で約33年ぶりの伸び率となったことが好感され、不動産株全般に投資資金が流入した。日経平均は前引け時点で400円あまりの上昇を示していたが、後場に入ると先物主導で更に上げ足を強め、一時600円近い上昇で4万900円台まで水準を切り上げる場面があった。ただ、引け際に手仕舞い売りが出て、上げ幅を急速に縮小、前場の終値を下回る水準で着地している。
東エレクやファストリといった値がさの一角がけん引して、日経平均は22日に付けた史上最高値(4万0888円)を上回る前日比581円高の4万0979円まで上昇する場面があった。大引けにかけては利益確定売りが出て伸び悩んで終えた。
きょうは3月末の権利付き最終売買日とあって個人投資家などから配当取りを意識した買いが入りやすかった。高配当株とされる商社などに買いが集まった。機関投資家が期末配当の受け取りに先回りして株価指数先物などに投資する「配当再投資」への思惑も意識された。「配当込みの株価指数」に連動した運用を目指す機関投資家は、同指数との値動きのズレを抑えるため、配当を受け取る前にそれと同額を指数先物の買いに充てる。この期末特有の買いが相場を支えるとの見方から、株価指数先物主導で日経平均は強含む場面が目立った。
外国為替市場では円相場が一時は151円97銭近辺まで下落し、152円台に迫った。その後は為替介入への警戒感から円は下げ渋る場面もあったが、日米金利差を背景にした円安・ドル高基調が続くという見方は輸出関連株の買い安心感につながった。日銀の植田和男総裁は27日、衆院財務金融委員会に出席し「当面、緩和的な金融環境が継続する」との見解をあらためて示した。これまでのハト派的な姿勢を維持し、短期筋の株価指数先物買いが強まる場面もあった。
市場では「再び上昇基調をたどっており、新年度以降も新規資金の流入期待が高まりつつある」との声も聞かれ始めている。ただ、米国では27日、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事の米経済見通しに関する講演が予定されている。パウエルFRB議長の先週の会見では、インフレについての解釈が分かれており、ウォラー氏のインフレに対する見方や今後の金融政策運営についての発言内容に注目が集まっている。