日経平均の1日の上げ幅としては、2020年3月25日(1454円)以来、3年11カ月ぶりの大きさとなった。
きょうはリスクオン一色といってよい展開で、日経平均は朝方高く始まった後、先物を絡め一貫して上げ幅を広げた。前日の欧州株市場でドイツやフランスの主要株価指数が史上最高値を更新したほか、米国株市場でもNYダウが最高値を更新するなど世界株高の流れが形成されており、相対的に出遅れる東京市場にも海外投資家とみられる大口買いが流入した。
特に半導体関連など日経平均寄与度の高い値がさ株が買われ、全体指数を押し上げる格好となった。外国為替市場で1ドル=149円台半ばの推移と足もとでやや円安方向に振れたことも輸出セクターに追い風となったようだ。プライム上場銘柄の77%が上昇する買い気の強い地合いだった。全体売買代金も6兆円近くに達し大活況相場の様相を呈した。
この日の大幅高を演出したのは東エレクで、1銘柄だけで日経平均を396円押し上げた。前週末9日、24年3月期通期の純利益予想と世界の前工程製造装置(WFE)市場の見通しを上方修正した。半導体市場の先行きに強気な見方が広がり、アドテストなど関連株が総じて堅調に推移した。傘下の英半導体設計大手アームの連日の急騰を受け、ソフトバンクグループ(SBG)への買いも続いた。
日銀による金融緩和の長期化観測を背景に、外国為替市場で円相場は1ドル=149円台半ばと23年11月下旬以来の円安・ドル高水準を付けた。円安進行を支えに輸出関連株には業績の上振れを期待した買いが入った。トヨタは4%高となり、株式分割考慮後の上場来高値を更新した。
東京海上やMS&AD、SOMPOなど保険株が軒並み大きく上昇したことも日経平均を押し上げた。「金融庁が損害保険大手4社に政策保有株の売却を加速するよう求めたことがわかった」と10日付の日本経済新聞朝刊が報じた。政策保有株の売却を進めるとともに、自社株買いなど株主還元の強化への思惑から買いが集まった。
市場関係者は「日本企業の企業統治(ガバナンス)改革が続いているとの見方につながり、中長期志向の海外の機関投資家の資金流入につながったようだ」と指摘した。
日経平均は大引け間際に3万8010円まで上昇し、1989年12月29日に付けた過去最高値(3万8915円)まで1000円を切った。主力株に好決算が目立ち、業績の裏付けがあるなかで、過去最高値の更新が現実味を帯び、買いが買いを呼ぶ展開となったと話した。
米国は利下げ、日銀は利上げ見送りと株式市場にとってまさに今は死角のない状態だろう。バブル期の過去最高値(3万8957円)が完全に視野に入るまさに花咲く春相場の到来といえよう。