きょうの東京株式市場は強弱観が拮抗し方向感の見えにくい地合いとなった。前日の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに軟調で、米長期金利の上昇が全体相場の重荷となった。これを受けて朝方はリスクオフムードとなり、日経平均は800円を超えて下落する場面もあったが、その後は戻り足となり前引け時点では上昇に転じていた。しかし、日経平均は3万5000円台に入ると戻り売りが厚くなり、後場後半に再びマイナス圏に押し戻された。
個別には好決算発表を受け半導体セクターの主力株が買われ、投資家心理改善につながったものの、一方で決算内容が悪かった銘柄には容赦ない売りが浴びせられ、全体相場にも下落圧力が働く格好となった。全体売買代金は5兆円台とやや減少傾向にある。
前日に決算を発表したレーザーテクやニトリHDといった好業績銘柄への買いが支えとなったほか、外国為替市場での円高一服を手掛かりに日経平均は午後に一時200円高となるなど、やや荒い動きとなった。
前日の米株式市場でナスダック総合株価指数や主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落。この流れを引き継ぎ、8日の東京市場ではアドテストやスクリンなど半導体関連の一角が売られた。
日経平均は3万4000円割れを警戒する声も一部にはあったが、下値では押し目を拾う動きもみられた。市場関係者は「7月の米雇用統計の発表後に高まった米国のリセッション(景気後退)懸念は行き過ぎだった。国内企業の増益基調が保たれ、自己資本利益率(ROE)を改善する流れが続く限り、日経平均は3万6000円に向けて戻りを試す」と話していた。
東京市場は相変わらずのボラティリティの高さで上下に目まぐるしい動きが続いている。それでも下値は打たれ強さが出てきており8月5日の安値(3万1156円)はかなり強固な底値となった可能性が高い。一方、上値は5日に空けた大きな窓にあたる3万6000円辺りが最初のカベで、その次は200日移動平均線(3万6896円)となる。戻りは当面ここまでが限界かもしれない。