前日の米株式市場で主要3指数がそろって下げたことを受けて、東京株式市場でも幅広い銘柄に売りが出た。
中国や米国の景気減速への警戒も改めて意識されるなか、海外などの短期筋が株価指数先物に売りを出し、指数を下押しした。海外リスクへの警戒が強く、週末を控えて積極的な買いを入れる投資家が少なかった。
日経平均は約1カ月ぶり安値となり、菅義偉首相が退任を表明した9月3日以前の水準に下がった。市場では「10月4日に予定される次期政権の閣僚や今後の政策を見極めたいとのムードもあり、足元では買いを入れにくい」との見方があった。
取引開始前には日銀が9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表した。大企業の業況判断指数(DI)は製造業、非製造業ともに市場予想を上回る内容だった。ただ、先行きへの警戒を示すような内容もあり、取引の材料とする向きは限られた。
市場からは「今晩の米国株次第だが、日経平均は75日・200日移動平均線の手前で下げ止まった。菅首相の総裁選不出馬報道で後場急上昇した9月3日のスタート水準近くに押し戻され、いいところまで来た。リスクは残るが、ここから下は押し目買いだろう」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は5日続落し、前日比43.85ポイント安の1986.31で終えた。心理的な節目の2000を下回り、約1カ月ぶりの安値となった。JPX日経インデックス400は5日続落した。
東証1部の売買代金は概算で3兆5442億円。売買高は13億8443万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1981と、全体の約9割を占めた。値上がりは173、変わらずは20だった。