この日の早朝に中国不動産大手、恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請したことが伝わった。中国不安に加え、米長期金利が一時4.32%と2022年10月以来の水準までの上昇、前日のNYダウが290ドル安と下落したこともあり、この日の東京株式市場は朝方から売りが優勢の展開。日経平均株価は一時350円安に売られた。ただ、売り一巡後は値を戻し前場には一時プラス圏に浮上する場面があった。しかし、後場に入ってからは香港ハンセン指数や中国・上海総合指数が値を下げるなか再び売りに押される展開となった。中国関連株が軟調だった。その一方で半導体関連株は底堅く推移した。
中国の景気悪化懸念も相場の重荷となった。中国恒大集団の破産申請をきっかけに、中国不動産最大手で資金繰り難が表面化している碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)など連鎖的な破産につながるとの観測が広がった。ファストリや安川電など中国関連とされる銘柄が下げたほか、訪日中国人の消費動向に影響が出るとの見方から三越伊勢丹や高島屋などのインバウンド(訪日外国人)関連株の下げが目立った。
市場では「米景気に再加速の兆しがみられ、米長期金利が上昇していることが株安の主因。中国の不動産市況の低迷はこれまで度々報じられており、ある程度は織り込み済み」との声があった。中国・上海株式相場が上昇する場面では、日本の株価指数先物にも買いが入り、日経平均は一時、上昇に転じた。
市場は引き続き、米中の景況感の行方をにらみながらの展開が続きそうだ。来週はジャクソンホール会議が予定され、各国の金融政策の現状を確認したいと考える向きが多く、利上げ長期化懸念が続くなら、グロース株中心に軟調な展開を余儀なくされそうだ。また、中国の不動産リスクは恒大集団だけでなく、他にも広がりを見せているだけに、今後連鎖破綻などが起きないか警戒が必要だろう。