下落幅は米国株急落が世界に飛び火したブラックマンデー翌日の1987年10月20日の3836円安を超えて、過去最大となった。米国の景気後退の警戒感が出る中、海外の機関投資家やヘッジファンド、個人投資家といった市場参加者全員が売りに動いて、売りに拍車がかかり、連日の急落となった。
きょうはリスクオフ一色となり、一気に3万1000円台まで水準を切り下げた。前週末の欧米株市場が文字通りの全面安。米国株市場では7月の米雇用統計の内容が市場コンセンサスを下回り、米経済の急減速に対する警戒感が一気に強まった。ダウは一時1000ドル近い下げをみせ、ナスダック総合株価指数も連日で400ポイントを上回る下げとなった。米長期金利の低下を背景に外国為替市場で急激な円高が進行した。東京市場では世界的な株安と為替の急激な円高進行が嫌気され、売りが売りを呼ぶ展開となった。
5日午後1時30分ごろには、大阪取引所が日経平均先物に売買を一時中断する「サーキットブレーカー」を発動した。前週末比の下げ幅が制限値幅の8%に達したため、相場急変時に投資家に冷静な判断を促すための措置として発動した。その後も、売りは拡大し、午後2時30分ごろには、再びサーキットブレーカーを発動した。
5日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=141円台まで急伸した。「株売り・円買い」の動きが加速している。
株安は他のアジア市場でも続いた。韓国の総合株価指数(KOSPI)や台湾加権指数も急落した。
円高・ドル安を受け、海外短期筋から先物売りが断続的に出て、日経平均を下押しした。市場では「海外勢による日本株の評価に変化がみられる。ここまで円高が進むと、企業業績への懸念などもあり、日本市場から資金を移す動きは止まらないのではないか」(国内信託銀行の投資調査部長)との声が聞かれた。相場急落で追い証(追加証拠金)が発生した個人の売りや、相場の流れに追随するCTA(商品投資顧問)などの売りも巻き込み、相場の下げが加速した。
日経平均株価を対象としたオプション価格から算出する日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は一時、前週末比55.27ポイント高い84.71を付けた。オプション市場ではプット(売る権利)の価格が大幅に上昇した。株価が今後も下落すると考える市場参加者が増え、プットの取引が活発となった。