朝方こそ先物主導で買いが優勢となり3万9000円台を回復したが、その後は急速に買い気がしぼむ格好となり、下値を探る展開に変わった。前日の米国株市場ではNYダウが下げたものの、ナスダック総合株価指数は続伸し史上最高値を更新、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も最高値をつけた。更に外国為替市場でドル高・円安に振れたことで、東京株式市場でも半導体関連などを中心にリスク選好の地合いが想定された。
しかし、買い一巡後は手控えムードが急速に強まることに。国内長期金利が上昇傾向を強めたことから、PERやPBRの高いグロース(成長)株には向かい風が強く意識される展開となった。特に後場は引けにかけて見切り売りが目立つようになり、全体相場の下げを助長した。
国内債券市場で長期金利が上昇(価格は下落)し、PBR(株価純資産倍率)の高い銘柄に売りが膨らんだ。午後に入ってからは海運など前日まで堅調だった銘柄群にも売りが出て、日経平均は下げ幅を広げた。
幅広い年限の国債利回りが上昇した。長期金利は前日比0.035%高い1.070%と、2011年12月以来、約12年5カ月ぶりの高水準をつけた。金利上昇が業績の逆風になりやすい銘柄群のほか、OLCやリクルート、キッコマンなどの高PBR銘柄が売られた。下げ幅は午後に一時300円を超えた。
一方、金利上昇が収益の改善期待につながりやすい三菱UFJや三井住友FGといった銀行、東京海上やSOMPOといった保険など金融株は上昇した。前日の米株式市場で半導体大手のエヌビディアが大幅高となり、朝方はアドテストなど半導体関連の一角に買いが先行した。株価指数先物に短期筋の買いが入ると、日経平均の上げ幅は300円に迫る場面もあった。
円相場が1ドル=157円台へと円安傾向が続いており、輸入インフレ圧力を防ぐため、日銀は6月の決定会合で国債買い入れ縮小を決め、早ければ7月に追加利上げに動くのではないかとの憶測が相場の重しになっており、6月13日から始まる日銀金融政策決定会合の結果を見極めたいと考える投資家が多い。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が利下げにはさらに数カ月の指標でインフレ鈍化を見極める必要があると指摘するなど、追加利上げの可能性を排除しないタカ派的な姿勢を示したことも米国市場の重荷で、東京市場にも警戒心を強める要因となっている。