
きょうの東京株式市場は、中東の地政学リスクを背景に前日の欧米株が総じて軟調だったことからリスクオフの流れが意識され、朝方は先物に連動する形で日経平均がマイナス圏でスタートした。ところが、その後はすぐに前日終値を上回り、意外高ともいえる強調展開で下値を切り上げる動きに。外国為替市場でドル高・円安方向に振れたことが輸出セクターを中心に追い風として意識されたほか、先物を絡めたインデックス買いが指数押し上げに寄与した。前日の日銀金融政策決定会合後の植田日銀総裁の記者会見について、ハト派寄りとの見方が広がり、これも円安と相まって投資家のセンチメントを強気に傾けた面もあったようだ。
市場では「相場のトレンドに追随して先物を機動的に売買するCTA(商品投資顧問)などの海外短期筋が買いの主体で、日経平均は先物主導で騰勢を強めた」との声が聞かれた。
日銀は17日まで開いた金融政策決定会合で政策金利の据え置きと国債買い入れの減額ペースを緩める方針を決めた。会合後の記者会見で植田和男総裁は「経済・物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げる」と強調しつつも「通商政策を巡る不確実性は極めて高い」と話した。日銀が金融引き締めに慎重な姿勢を示したと受け止められ、買い安心感につながった。日本時間19日未明に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表と米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見が予定される。結果を見極めたいとの雰囲気があり、伸び悩む場面も目立った。
東京株式市場は悪材料下でも着々と水準を切り上げるなど完全な需給相場を展開中。日米首脳の貿易協議が半ば物別れに終わっても意に介する雰囲気はほとんどない。金あまり相場といえばその通りで、現状の金利下でも株式が選好される。日銀の量的緩和縮小のペースダウンが好感されているのも頷ける。今期の企業業績が予想よりも減益幅を急速に縮め、PER面での割高感もやや薄れている。