前日の米国株市場でハイテク株が買われナスダック総合株価指数とS&P500指数がいずれも史上最高値を更新したことを受け、朝方はリスク選好の地合いとなった。ただ、日経平均は一時300円近い上昇を示す場面もあったが、朝方の買いが一巡するとその後は次第に上げ幅を縮小し、後場終盤には一段と上値が重くなった。FOMCの結果と週末の日銀金融政策決定会合を控え、積極的な買いは続かなかった。
前日の米ハイテク株高の流れを受け、東京株式市場でも東エレクやアドテストなど半導体関連の一角が上昇して相場を押し上げた。もっとも、日米の金融政策に対する様子見ムードが広がるなかで買い一巡後は上値の重さが目立った。
14日の株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ海外短期筋の思惑的な買いを巻き込んで日経平均は前場に300円近く上昇する場面があった。しかし、その後は上値追いの展開とはならず、大引けにかけて上げ幅を縮小した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で米利下げ開始時期を見極めようとする投資家が多いほか、日銀の金融政策決定会合では一段の政策修正への思惑が強い。重要イベントを前に積極的な売買を手控える投資家は増えている。
東エレクとアドテストの2銘柄で日経平均を100円近く押し上げた。東証プライム市場では値下がり銘柄数が値上がりを上回り、特定少数の銘柄が指数を押し上げた。下落ではTDKや村田製といった電子部品関連の軟調さが目立った。
米アップルは10日、自社開発の人工知能(AI)を発表した。今後発売されるスマートフォンなどにはAI機能が強化されて販売価格の上昇が予想されるが、高価格のスマホがどこまで消費者の支持を得られるか慎重な見方が意識されて関連銘柄の売りを促した。アップルが「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIと提携したことに対して、米起業家イーロン・マスク氏が批判するといった動きも意識された。午前は上昇した川崎汽など海運株が午後に急落したことも投資家心理の重荷となった。