前日の米国株市場がハイテク株を中心に大きく売り込まれたことで、一段とリスク回避ムードの強い地合いとなった。相対的な割高感が意識されやすい半導体関連などハイテク株を中心に売りが広がった。日経平均は一時900円を超える急落をみせる場面があった。
米国では長期金利が4.6%台まで上昇し約5カ月ぶりの高い水準となったほか、国内でも新発10年債利回りが大幅に上昇し市場センチメントを冷やす格好となっている。
外国為替市場では1ドル=154円台と一段と円安が進んだが、輸出セクターへの買いを誘導する形とはならなかった。長期金利上昇にもかかわらず、銀行株への買いも盛り上がりを欠いている。
円安・ドル高や資源高によるインフレ懸念から、日銀が利上げを迫られかねないとの見方が広がりつつある。これまで相場のけん引役だった東エレクなど半導体関連に売りがかさみ、日経平均は下げ幅を拡大する展開となった。
ただ、海外勢が売りに傾くなかで輸出採算の改善に期待した株買いにはつながらず、トヨタやホンダは後場に一段安となった。前場は底堅かった銀行株も後場は下げ幅を拡大した。
日経平均が3万8500円を割る場面で押し目買いも入ったが、相場の押し上げ効果は限られた。
中東情勢の緊迫化が下落の要因の一つになっているが、イスラエルとイランの事情を踏まえると、イスラエルがイランに対し報復攻撃に踏み切る可能性は低いとの見方が大勢だろう。イスラエルはイスラム組織ハマスとの戦闘が継続中で、イランと報復の応酬に発展すれば大きな負担となる。また、イランは米国の経済制裁などで国内経済が悪化しており、イスラエルとの本格的な交戦は避けたいという意向がある。目先的には中東情勢の報道に一喜一憂するだろうが、徐々に落ち着きを取り戻すとの見方が多い。