朝方に売り先行で日経平均はマイナス圏でのスタートとなったが、下値抵抗力を発揮し底堅さが意識された。後場に入ると押し目買い意欲が活発化し、小幅ながら前週末終値を上回る水準で推移する時間が長くなり、結局3万9000円台半ばで取引を終えた。前週末の米国株市場では景気敏感株や金融株などを中心にリスク選好の地合いとなり、NYダウが過去最高値を更新、ナスダック総合株価指数も小幅ながら上昇し最高値圏を走っている。
米国では「トランプ・トレード」が続いているが、東京株式市場は前週1週間で日経平均が1400円以上水準を切り上げていたこともあり、足もと上値が重い。ただ、後場は押し目買いが徐々に優勢となった。取引時間中に為替の円安が進んだことが輸出セクター中心にポジティブ視された。
国内では2024年4〜9月期の決算発表シーズンが佳境を迎え、好決算を発表した銘柄を物色する動きが活発だった。主力のゲーム事業などの回復で24年4〜9月期に大幅な最終増益となったソニーGのほか、光ファイバー需要の増加を背景に増収増益を確保した古河電など電線関連株が買われ、日経平均を押し上げた。
ただ、日経平均は下落する場面も目立った。9日に米商務省が半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、人工知能(AI)などに使う先端半導体の中国企業への出荷停止を命じたなどと伝わり、値がさの半導体関連株には朝方から売りが優勢だった。東京市場ではトランプ・トレードが一巡し、トランプ次期政権が掲げる関税強化策などへの警戒感も強い。大和証券の林健太郎シニアストラテジストは「日本など米国以外の企業にとっては、トランプ氏の経済政策による影響は好悪の材料が入り交じっており、トランプ氏が米大統領選で初勝利した8年前に比べると一本調子での上昇は見込みづらい」と話した。