きょうは主力株をはじめ広範囲に物色される展開となった。為替市場で円安方向に振れたことがリスクオンの材料となり、先物を絡めたインデックス買いが全体を押し上げた。
前日の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数いずれも下落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)では4年半ぶりの利下げを決めたが、利下げ幅が0.5%だったことで、いったんは円高に振れる局面もあった。しかし、その後は急速に円安方向に押し戻される荒い展開となった。
FOMC後に米長期金利が上昇し、国内10年債利回りも上昇している。日経平均は一時1000円あまりの急騰をみせたが、引けにかけては手仕舞い売りが出て上げ幅を縮小した。
ただ、事前にある程度の織り込みが進んでいたほか、利下げが今後緩やかなペースになるとの見方から、外国為替市場ではドル買い・円売りが優勢になり、円相場は1ドル=143円台まで下落した。円安進行を受けてトヨタやホンダ、マツダといった輸出関連株が買われた。先物主導の展開を映し、ソフトバンクグループ(SBG)など指数寄与度が高い銘柄も軒並み高となった。
今回の大幅な米利下げは、将来の景気後退の可能性を小さくする「予防的な措置」と位置づけられており、FRBのパウエル議長は記者会見で米景気は「良い状態」と楽観的な認識を示した。市場では「米国のソフトランディング(軟着陸)期待を意識させる内容で、日本株への追い風となった」との見方があった。
あすの正午ごろには日銀の金融政策決定会合の結果が判明する予定だ。今回の日銀会合では、政策金利の据え置きが予想されているが、その後の植田和男総裁の記者会見での発言には注目が集まっている。
前回の日銀会合での植田氏の発言がタカ派となったことをきっかけに、株式市場は大きく下落したという記憶が鮮明に残っているだけに、今回も植田総裁の発言を見極めたいと考える向きが多い。ただ、本日の動きをみても先回り的に動きていると考えられ、日銀会合通過後は上を仕掛けてくる動きが意識されそうだ。