4月5日以来およそ2カ月ぶりの高値水準だが、米雇用統計の公表を前に買い一巡後は利益確定売りや戻り待ちの売りも出た。
前日の米株式市場で、NYダウは435ドル高と3日ぶりに大幅反発した。米ADP雇用統計は市場予想を下回り米金融引き締めへの警戒感が後退し、ハイテク株を中心に買いが流入した。これを受け、東京市場も買い優勢となり、半導体関連など値がさ株を中心に値を上げた。2日のOPECプラスで増産が決定されたが、規模は小さいとの見方から原油価格は上昇したことで、石油関連株は堅調だった。
ただ、今晩は米雇用統計の発表が予定されていることから、後場にかけては高値圏での一進一退状態となった。
米民間雇用サービス会社ADPが2日発表した5月の全米雇用リポートは、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回った。米国の金融引き締め積極化への警戒感がやや和らいで、米株式市場では主要指数が上昇した。東京株式市場でも投資家心理の支えになった。
米金利の先高観の後退を受けたグロース(成長)株など、値がさ株の一角が指数を押し上げ、物色は広がりを欠いた。5月の既存店売上高が好調だったファストリ、東エレクとソフトバンクグループ(SBG)の3銘柄で日経平均を200円程度押し上げた。
自動車や保険など下げが目立つ業種も多く、市場では市場からは世界的なインフレや景気減速の警戒感は根強いとの声があった。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの主要産油国でつくる「OPECプラス」が原油の追加増産で合意したにもかかわらず、原油価格の上昇が続いているのも重荷だ。
「日経平均は2万7500円のハードルを超えてきたが、一部の銘柄に偏った上昇であり、高揚感はない。TOPIX(東証株価指数)の動きが鈍く陰線なのは気になる。いずれにしろ、今晩(日本時間)の米5月雇用統計を無事通過できるかどうかがポイントだ」との声が聞かれた。