前日の米国市場で原油先物価格が史上初のマイナス価格で取引され、新型コロナウイルス流行による世界景気の停滞ぶりが再確認された。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が重体に陥ったとの報道が地政学リスクの高まりを連想させたことも、株価下落に拍車を掛けた。日経平均株価の下落幅が一時前日比475円に達した。
後場に入ると下げ幅を一気に広げる場面があった。日銀のETF買いに対する期待はあったものの、北朝鮮の金正恩委員長が手術を受け容態について重体と伝わったことが、有事リスクを意識させ売りを助長した。外国為替市場ではドル安・円高方向に振れたほか、中国や香港株市場などアジア株が総じて売られたこともネガティブに作用した。東証1部の7割を超える銘柄が値を下げた。
市場関係者は、時間外取引の米株先物や中国・上海株がマイナス圏で推移する中、東京株式市場は買い注文が薄く、少量の売り物を吸収できずに値下がりする銘柄が多かった。電子部品、情報通信、銀行など主力業種を中心に売られ、「東京市場は再びリスク回避に傾いてきた」の指摘があった。
東証株価指数(TOPIX)の下落率が午前の取引終了時点で前日比0.5%を超え、市場が目する「日銀の買い出動基準」に達したが、下支え効果は限られた。
JPX日経インデックス400は続落。終値は前日比151.87ポイント安の1万2699.47だった。TOPIXも続落し、16.52ポイント安の1415.89で終えた。
東証1部の売買代金は概算で2兆1474億円。売買高は12億8009万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1554と、全体の約7割を占めた。値上がり数は552、変わらずは62だった。