前日に中国商務省の報道官が、米中両国で制裁関税の段階的な撤回で一致したと会見で述べたことが協議進展への期待を高めた。投資家心理が上向く中、東京株式市場も上昇してスタート。日経平均は朝方に一時上げ幅を250円超に拡大。心理的節目の2万3500円を取引時間中として約1年1カ月ぶりに上回った。
ただ、中国政府の発表を受け、ただ、米国のナバロ大統領補佐官が「現時点では『第1段階』の合意条件として関税撤廃を含めることに合意はない」と米フォックスニュースのインタビューで述べたと伝わると、協議進展に対する期待感は急速にしぼんだ。同氏は対中強硬派として知られ、交渉の先行き不透明感が改めて意識されたことで日経平均は下落に転じる場面もあった。
10月以降、景気敏感株がけん引する形で相場の戻り基調が続いていたことから短期的な過熱感を意識した利益確定売りも出やすかった。
強気の投資家心理で上昇が続いてきた日本株だが、市場では「そろそろ調整局面に入ってきた」との指摘も出始めた。「米中協議で首脳会談の日程が決まるといった具体的進展がない限り、2万3500円以上の水準では上値が重くなる」とみられている。
JPX日経インデックス400は続伸した。終値は前日比28.43ポイント高の1万5213.42。東証株価指数(TOPIX)は4日続伸し、4.64ポイント高の1702.77で終えた。いずれも年初来高値を更新した。
東証1部の売買代金は概算で3兆1255億円、売買高は16億2680万株だった。株価指数オプションの清算に伴う特別な売買があった影響で、前日よりも膨らんだ。東証1部の値上がり銘柄数は1028と、値下がりの1022銘柄と拮抗した。変わらずは103銘柄だった。