前日に続き主力株をはじめ広範囲に売り優勢の地合いとなった。トランプ次期米政権による関税引き上げへの警戒感は前日の欧州株全面安に反映されたが、日本株も自動車セクターをはじめネガティブな思惑が広がり、持ち高調整の売りを誘発した。株価指数先物の主導で日経平均は後場に450円ほど下げ、3万8000円を割る場面もあった。
前日の米国株市場ではNYダウとS&P500指数が揃って最高値を更新し、ナスダック総合株価指数も最高値更新をにらむ水準まで買われた。しかし、東京株式市場ではこれを好感する動きとはならなかった。外国為替市場では1ドル=152円台前半まで円高が進行し、輸出セクターへの売りを助長している。半導体関連は高安まちまちだったが、中国関連株などに売りがかさみ市場センチメントを冷やした。
トランプ次期大統領は中国やカナダ、メキシコからの輸入品への追加関税を表明している。さらに26日、通商政策を所管する米通商代表部(USTR)代表にジェミソン・グリア元USTR首席補佐官を起用すると発表した。トランプ前政権下で中国への高関税など貿易交渉で深く関わってきた経緯があり、米国の保護主義的な政策の影響が危惧され、トヨタやホンダなど自動車株が軒並み下落。半導体業界も打撃を受けるとの見方から、アドバンテストが後場に下げ幅を拡大した。海運など景気敏感株の下げも目立った。
外国為替市場では円相場が1ドル=152円台前半と、前日夕の水準(154円ちょうど近辺)から大きく円高・ドル安方向に振れたのも輸出関連株の売りを促した。28日は感謝祭の祝日で米全市場が休場となるため、持ち高を手じまう動きも広がった。日経平均は後場に下げ幅を拡大した。
円高になるとメリットを受ける銘柄として知られるニトリHDが上昇し、食料品株の一角も買われた。OLCは前日に発表した資本政策が評価されて上昇した。
日経平均株価は一時3万8000円の節目を割り込んだ。週末は米国市場が感謝祭の休日で海外投資家のフローが減少するだけに、先回り的に持ち高調整を進めたとの見方が大半だ。しかし、米国では、27日に10月の個人消費支出(PCE)統計やの7-9月期の国内総生産(GDP)改定値の発表が予定されている。いずれも相場に大きな影響を与える可能性は低いとみられるが、内容次第では利下げ観測が高まる可能性もあるため、経済指標を受けた為替市場の動きには警戒が必要だろう。