朝方にリスク回避目的の売りが先行したが、その後は下げ渋る展開となり、後場に入ると一時プラス圏に浮上する場面もあった。前週末の米国株市場では、注目された8月の米雇用統計がほぼコンセンサス通りの内容だったことから、投資家心理が改善し取引前半は高かったものの、その後は買いが続かなかった。
FRBの金融引き締め強化に対する警戒感が拭えない。東京株式市場でもこの流れを引き継ぎ、日経平均の下げ幅は一時140円に迫ったが、半導体関連の主力銘柄などが切り返し、つれて全体指数も下げ幅を縮小した。一時上昇に転じる場面もあったが、2万7000円台後半は戻り売り圧力も強く、結局マイナス圏に押し戻された。
2日発表の8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数の増加幅が市場予想並みで、失業率は小幅に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めペースが緩やかになることはないと市場は受け止めた。
欧州で天然ガスの供給不安が再燃し、インフレへの警戒が一段と強まったことも投資家心理に響き、東京株式市場では朝方に幅広い銘柄に売りが出た。
売りが一巡すると、日経平均は下げ幅を縮めた。前週に下げていたグロース(成長)株の一部に買いが入った。円安の進行で企業業績が上方修正されるとの期待も主力輸出株の下値を支えた。もっとも、5日の米市場が休みとあって、薄商いのなかで持ち高を一方向に傾ける動きは限られた。
市場からは「今晩の米国市場は休場で手掛かり材料に乏しい。テクニカル面で、日経平均は200日線がサポートラインとして意識されるが、これを下抜けるようだとそれなりの調整があるかもしれない」との声が聞かれた。