前日の米株安を受け利益確定売りが誘発される形となった。米国株市場ではFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見がややタカ派的な内容で、早期利下げ期待が剥落しハイテク株中心にリスク回避の売り圧力が強まった。ダウ工業株30種平均は反落し、前日比317ドル安の3万8150ドルで終えた。FOMC声明文では「インフレ率が(政策目標である)2%に持続的に向かっているというより強い確信を持つに至るまでは、誘導目標の範囲の引き下げは適切ではない」との文言を追加。パウエルFRB議長は会見で、3月会合での利下げについて「基本ケースと呼ぶものではない」と述べ、早期の利下げ期待をけん制した。
また、米長期金利の急低下を背景に外国為替市場では1ドル=147円台を割り込む円高に振れたことも重荷となっている。決算発表や業績予想の修正に絡み大きく売り込まれる銘柄も目立ち、投資家のセンチメントを冷やした。
低調な決算を発表した銘柄にも売りがかさみ、日経平均の下げ幅は一時360円を超えた。ただ、下値では買いも入り、終値で3万6000円台を4日連続で保った。
米市場ではネット検索のアルファベットのほか、半導体のエヌビディアや同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが売られ、ナスダック総合株価指数は2%強下げた。これを受けて東京株式市場では東エレクやレーザーテク、京セラなどハイテク株に売りが波及した。日米金利差の縮小を意識した円高・ドル安傾向を背景にトヨタやホンダなど主力の輸出関連株も軟調で、日経平均を下押しした。
あおぞら銀や住友ファーマ、エムスリーなど低調な決算を発表した銘柄に売りが出て、相場の重荷となった。このほか市場では「中国の景気減速への警戒感が強く、同国向け売上高の比率が高い銘柄は積極的に手掛けにくい」との声もあった。
ただ、節目の3万6000円を下回る場面では、日本企業全体としての相対的な業績の好調さに着目した買いが入った。1月の急ピッチな上昇で日本株には短期的な過熱感がくすぶるが、下落局面では投資家の押し目買い意欲の強さを映した。JTやソフトバンク(SB)、NTTといった配当利回りの高い銘柄の物色もみられた。