きょうの東京株式市場は終始売り物に押される地合いとなった。前日の米国株市場では主要株価指数が揃って下落した。ナスダック総合株価指数が9日ぶりに安くなったことや、外国為替市場でドル安・円高が進んだことが重荷となり、日経平均は前場に450円あまりの下げをみせた。アドテストや東エレクなどが利益確定売りに押されて相場を押し下げた。
しかし、その後は買い戻しが入り下げ幅を漸次縮小する展開になった。米国では米雇用統計の年次改定で昨年から今年にかけての雇用者数の伸びが下方修正されるとの観測が広がったが、これは米利下げ期待を一段と増幅させる材料となるという見方で、ネガティブ視されなかった。後場に入り日経平均は一貫して下げ渋り、マイナス圏ながら3万8000円台を回復する場面もあった。値下がり銘柄数も大引けは67%強と全体の約3分の2にとどまった。一方、売買代金は夏枯れの様相で、7月29日以来の4兆円割れとなった。
外国為替市場で朝方に1ドル=144円台まで上昇した円相場が145円台に押し戻されたことで日本株への売り圧力が弱まった。株価指数先物に日経平均の底堅さに着目した海外投資家などからの買いが断続的に入り、後場は下げ幅を100円未満まで縮めて3万8000円台に乗せる場面もあった。決算発表シーズンを終え、秋にかけて自社株買いの増加が日本株の下値を支える要因になるという見方もあった。
市場では米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切るとの観測が強まっている。米労働省が21日に公表する米雇用統計の年次改定で過去分の雇用者数が下方修正されるとの見方もあり、市場の反応を見極めようとするムードも広がりやすかった。
為替にらみのなか、円高基調が強まるようだと、8月上旬の急落が連想される可能性から、売り圧力が強まる展開が警戒されそうだ。ただし、8月上旬の世界株安では円キャリーの巻き戻しが加速し、持ち高解消につながっていた。足もとの急ピッチの上昇局面で、解消前の水準にポジションが積み上がっているとは考えづらく、調整局面での買い意欲は強そうである。商いが膨らみづらいことから荒い値動きになりやすいが、冷静に押し目を狙いたい。