朝方は円安進行を背景に主力ハイテク株中心に大きく買いが先行。前日の欧米株市場が総じて軟調な動きだったにもかかわらず、リスク選好の地合いで、寄り後も次第高。前場中ごろには600円を超える上昇で3万6200円台まで水準を切り上げた。しかし、その後は利益確定を急ぐ動きが表面化した。目先過熱感が意識されるなか、先物主導で売り優勢の地合いに変わり、日経平均は後場に入るとマイナス圏に沈んだ。途中戻り足をみせる場面もあったが、引けにかけて売り直され、ほぼ安値引けとなった。アジア株市場が全面安商状に売られたほか、米株価指数先物が軟調に推移したことも嫌気された。
前日の米半導体株高や円安・ドル高を支えに朝方は買いが先行し、上げ幅は620円に達したが、前場中ごろから急速に伸び悩んだ。日中値幅(高値と安値の差)は762円に達した。
日経平均が伸び悩んだのは、中国の上海証券取引所が上場する日経平均連動型の上場投資信託(ETF)の売買を一時停止したと伝わったからだ。過熱感がくすぶっていただけに「短期筋の先物売りの口実になった」との見方があった。日経平均は2024年初から前日までに2100円あまり上昇し、利益確定売りも出やすかった。
朝方は買いが先行した。16日の米市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が前週末比で1.32%上昇した。東京株式市場ではアドテストや東エレク、レーザーテクなど半導体関連株に買いが波及した。
円相場は一時、1ドル=147円台半ばの円安・ドル高に振れたのも輸出関連株の買いにつながった。米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が16日の講演で「政策の軌道修正は慎重に判断し、急ぐ必要はない」と述べ、早期の利下げをけん制した。
日経平均の日中値幅は23年7月28日(809円)以来の大きさだった。
年初からの株価急上昇で短期的には値幅調整局面が不可欠だろうが、日本株の上昇基調の流れは変わらないとの見方が多い。一方、米国では今夜、昨年12月の小売売上高や鉱工業生産などの経済指標の発表が予定されている。市場予想より弱い内容になれば、景気減速への警戒感からドル売りが強まり、株式市場にはネガティブに作用する可能性があるだけに、経済指標を受けて米国市場の動きを確認したいところだろう。