朝方には取引時間中では6月10日以来、およそ1カ月半ぶりに2万8000円台をつけたが、その後は利益確定売りに押されて下げに転じる場面もあった。
前日の米国株市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後にハイテク株を中心として主要株価指数が大幅に上昇した。これを受け、きょうの東京株式市場も朝方はリスク選好ムードのなか主力株をはじめ広範囲に買いが優勢となり、日経平均は2万8000円台に乗せる場面もあった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)の記者会見では今後の利上げペースが緩む可能性が意識され、これが好感された。
しかし、東京株式市場では朝方は高く始まったものの上値も重かった。外国為替市場でドル安・円高が進んだことが、利食い急ぎの動きを誘う形となり、前場中盤から急速に値を消し、日経平均は一時マイナス圏に沈む場面もあった。2万8000円近辺は戻り売り圧力も強く押し返される格好となったが、下値抵抗力も発揮し、結局プラス圏で引けている。
外国為替市場で一時1ドル=135円台前半まで円高・ドル安が進んだことも、輸出関連株を中心に株式相場全体の重荷となった。
27日まで開かれたFOMCでは、市場予想通り通常の3倍にあたる0.75%の利上げが決まった。その後の会見でパウエル議長が利上げペース緩和の可能性を示唆したため、27日の米市場でハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4%超上昇した。東京市場でも運用リスクを取りやすくなった投資家の買いが先行した。
ただ、今年に入り上値の抵抗水準となっている2万8000円に到達したことで、目標達成感からの売りが優勢になり、日経平均は急速に伸び悩んだ。
市場関係者は「2万8000円は投資尺度の面から割高とは言えないが、米利上げの継続と景気後退懸念は根強いため、戻り待ちの売り圧力が大きかった」とみていた。
米利上げペース減速の観測から外国為替市場では円高・ドル安傾向になっている。輸出採算のさらなる改善に歯止めがかかるとの見方から、トヨタなど輸出関連株の一角に売りが出た。
市場からは「パウエル発言は良い部分を切り取って解釈している面もあり、米金利の先行きは不透明感を残す。日経平均は過去にも2万8000円乗せ後にハネ返された経緯があり、売りが出やすい水準だ。当面、決算銘柄が中心で選別物色が重視される」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。終値は前日比3.10ポイント(0.16%)高の1948.85だった。