きょうは主力株を中心に幅広く買い戻される展開となり、取引開始直後に日経平均株価が200円あまりの上昇をみせたが、その後は一貫して上げ幅を縮小し、後場後半は下げ足を強めマイナスに転じる場面があった。
前日の欧州株市場で主要国の株価が総じて高かったほか、米国株市場でもNYダウやナスダック総合株価指数ともに大きく上昇したことから、東京株式市場でも投資家のセンチメントが改善した。
ただ、朝方は高く始まったものの、その後は戻り売りに押される展開に。米国では、注目された2月の消費者物価指数(CPI)が事前予想とほぼ一致し、FRBによる利上げに対する警戒感が後退した。これが東京株式市場でも追い風となったが、2万7000円台半ばでは戻り待ちの売りが厚かった。一方、個別物色意欲は強く、プライム市場の8割強の銘柄が上昇した。
買い一巡後の上値は重かった。日経平均株価は前日までの3営業日で1400円ほど下落しており、上値では戻り待ちの売りが出やすかった。指数寄与度の高いファストリとソフトバンクグループ(SBG)は下落し、2銘柄で日経平均を64円ほど押し下げた。
利上げによって地銀が破綻してしまったことには変わりなく、次なるシリコンバレー・バンクが出るのではないかという不安心理は払しょくされていないと考えている向きが多い。
米PPIや小売売上高については、前月比の伸び率が鈍化することが見込まれているが、市場予想(PPIが0.3%増、小売売上高は0.2%増)を上振れするような結果となれば、再び大きな変動が起こる可能性には注意が必要だろう。
また、米大手格付け機関が、米中堅銀行ファースト・リパブリックの格付けについて、引き下げ方向で見直す「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」に指定したと発表したほか、欧州金融大手クレディ・スイスが財務報告の内部管理で「重大な弱点」を報告したことが判明し、さらなる金融不安への懸念もあり、目先は神経質な動きが続きそうだ。