日経平均は中国ショックからの戻りに対する調整のリズム
今年は「節分底」の可能性、値幅調整は最終局面
<Q>どうなっているの、年初からの相場。急落というより暴落相場だが。正月気分は吹っ飛んだ。
<A>日経平均は、6日の場中での310円安を入れて大発会から3日連続安で合計約1050円(場中値ベース)下げた、下げたというより指摘の通り、「大暴落」といえる。
<Q>理由はいろいろあると思われるが。
<A>もっとも大きい理由は、相場のリズムといえる。中国ショックでの安値1万6901円(場中=9月29日)から戻り高値2万0012円(場中=12月1日)まで約2カ月強で3111円上昇したことに対する、「調整のリズム」といえる。
材料的には、中国の経済不安が再び頭をもたげてきたことがある。8月に中国経済問題で急落、その後も中国の経済が改善されない中で日経平均が3111円も戻していたのだから中国経済問題で下げるのは当然といえる。しかも、昨年夏には現実化していなかった米国の利上げ決定が昨年暮れに表面化した。さらに、年初にはイランとサウジアラビアの関係悪化も加わっている。相場リズム以外は、国内要因というより海外要因の影響を受けているといえる。
<Q>その相場リズムでみればどういう展開が予想されるのか。
<A>まず、日経平均の日柄でみれば上昇期間が約2カ月だったから調整期間も同じ2カ月とみれば2月がフシということになる。一般的には2月が、「節分天井」といわれるが、今年は逆に、「節分底」となる可能性はありそうだ。次に、日経平均の調整の値幅でみれば、上げ幅(3111円)に対し、「半値押し水準」(1万8457円は切ってしまったので、「3分の2押し水準」(1万7938円)が目処となってくるだろう。よほどの悪材料が出ない限り1万8000円前後が下値と見ておけばよいと思われる。
『原油価格から見た世界景気は冬景色』
<Q>確かに、気になるのは海外発の材料ばかりだ。日本が介入できるものではないから成り行きを見守るしか仕方がない。しかし、肝心の国内はどうなの。
<A>黒田日銀総裁の年頭の会見番組を見ていると、金融の量的緩和にかなり前向きという印象だ。7月の選挙を考えると、選挙後実施ということはないだろうから3月までには実施が予想されそうだ。実施ということになれば、間違いなく日経平均には反発材料となるはずだ。
<Q>反発にとどまるということか。高値更新は見込めないのか。
<A>日経平均の昨年来高値は2万0952円(2015年6月)だから今の水準から約2800円ほど上の水準で、1万円も2万円も上にある話ではないからそれほど難しいことではない。金融の支援があれば高値更新はあるだろう。ただ、高値を更新したとしても、さらに上値を追うことができるかどうかは不透明だ。
<Q>なぜか。
<A>日経平均が高値圏に来れば、当然、海外材料が重しとなってくる。(1)利上げ後のアメリカ景気はどうなるか、(2)中国経済の行方は、(3)イラン・サウジアラビアの緊張関係など中東の行方は、(4)新興国経済の行方は〜など、海外は懸念材料が多い。とくに、原油相場の33ドル台(昨年12月)は2008年頃の水準に沈んでおり、『原油相場から見た世界景気の景色はリーマンショック当事の冬景色』ということだ。
個人はプロの玉を肩代わりしないよう身軽な対応で
<Q>しかし、企業業績は好調だが。
<A>2016年3月期は2ケタ増益で好調だが、既に、相場には織込んでいる。気になるのは17年3月期でアメリカ景気など海外要因や円高から減益になると予想する向きもある。減益かどうかは定かではないが、収益が伸び悩む可能性は否定できない。とくに、アメリカ依存度の大きいトヨタ自動車など主力銘柄の株価が大きく下げているのは業績下振れを懸念したものだ。
<Q>個人投資家はどう対応したらよいか。
<A>昨年、個人はかなりの量を売り越したから、「株の在庫」ということでは身軽になっている。反対に期間投資家のプロに「在庫」が貯まっている。個人は、このプロの在庫を肩代わりしないように、押し目買いに努め、上値では深追いを慎むことだ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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