■アベノミクスが下支えだが、9月中間期の下振リスクが上値を押さえる
日経平均でみれば26週線に対するマイナス乖離が10%前後と引き続き大きいことから来週も26週線に対しマイナス5%乖離に当る1万8720円前後を目安とした戻り相場が見込めそうである。
ただ、中国経済、欧州経済問題などでNYダウが波乱となれば、日経平均が独力で上昇する力はないだけに、再び去る9月29日の安値1万6901円に接近する可能性は含んでいる。
10月相場では明るい材料では、10月7日に発足する安倍改造内閣のアベノミクス成長戦略を評価する、「国策」ともいえる買い材料がある。政策が経済、景気に目を向けたということでは今年前半までと大きく違うところである。まだ、外国人投資家が日本株を売り基調だが、売りが一巡すれば、日経平均が今年5〜6月のようにNYダウ離れをして自力高となる可能性はあるだろう。
一方、10月において最大に警戒すべきは、「9月中間決算」である。中国経済減速の影響が企業業績に現実となって現れているからだ。第一中央汽船が中国経済中心に世界経済の停滞の影響で経営破たんした。中国向け建設機械の落ち込みや非鉄金属価格の下落で神戸製鋼所が16年3月期の業績を下方修正した。人気銘柄の京写も中国不況で16年3月期を下方修正した。減額銘柄の株価は共に大きく下落している。
今後、9月中間期決算の接近と共に減額修正が飛び出してくる心配はあるだろう。世界経済規模第2位の中国不振だけに新興国への影響は大きく、新興国へ展開している日本企業の業績に影響を与える可能性のあることは十分、頭に入れておく必要がある。主力銘柄のトヨタ自動車などといえど影響ナシとは言い切れないところがある。
9月期本決算、3月期の中間期決算銘柄は上場企業数の7割ていどを占めているため業績動向は相場に与える影響は大きい。こうした3・9月期決算銘柄の業績は、これまでのアベノミクス効果が薄れ始めているだけに、中国経済の影響が鮮明となれば相場にとって大きい波乱要因となる。
このため、昨年は9月中間決算に対し強気で臨むことができたが、今年は昨年のようなわけにはいかないだろう。結果、この秋相場では、よほどアベノミクス第2ステージで具体的な強力な材料が出ない限り日経平均の上値は期待し難いところだろう。全体相場より個別で業績の心配のない銘柄が中心の個別物色の展開とみられる。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR 犬丸正寛の相場展望)
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