外部要因に代わって内部要因急浮上、「内閣支持率」と「景気」に最大の注視を
これからの相場は、ギリシャ問題一巡から国内の内閣支持率低下を意識した展開が予想されそうだ。
日経平均は、(1)ギリシャ問題の不透明感が強まったことと、(2)中国株急落を嫌気して去る9日には下値のフシとみられていた2万円前後を切って1万9115円まで急落した。
そのギリシャ問題は、ギリシャがEUの最後通告を受け入れたことでギリシャへの第3次支援が決まる見通しとなり、中国株も下げ止まったことで、日経平均は急反発に転じ、17日には2万0658円まで値を上げた。年初来高値2万0952円に手の届くところまで来ているが、高値を更新して上値を伸ばすのは容易ではなさそうだ。なぜなら、次のような点が上値を押さえそうだからだ。
(1)日経平均が9日安値から6営業日で約1543円(約8.0%)上昇、ピッチの速さに警戒感がある
(2)中国株の先行き及び中国経済の先行きは依然、不透明である
(3)安倍内閣の支持率低下が気になる
(4)新国立競技場の計画下方修正ならオリンピック関連株に水を差すことになりそうだ
(5)日銀総裁が2015年度の実質GDPを下方修正した
(6)外国人投資家が売りを継続している
といったことである。
■立派なビルは企業なら経営悪化に、ましてや借金抱えての大判振る舞いは問題
安倍内閣が最重要課題としていた安全関連法案の衆議院通過で大きい目標は達した。しかし、そのツケで国民の内閣支持率は大きく低下している。さらに、支持率低下が続くようだと安倍内閣の存立問題に波及する心配がある。日本を巡る軍事面の脅威の高まりは理解されていても現実の生活の厳しさに対する不満が国民の間に根強い。新国立競技場に多額の建設資金を投じるのなら庶民生活に回して欲しいという声である。むろん、「ギリシャ以上の多額の国の借金を抱えているのだからいい格好するときではない。企業でも立派なビルを建てると経営は悪化する」との声まで聞かれる。
■中国不振が日本のGDPに悪影響も、外国人の日本株売りはあなどれない
中国株は下げ止ったが先行きは不透明だ。とくに、経済の減速が目立っており、このことが日銀総裁の2015年度GDPの下方修正(2.0%を1.7%)の背景にもなっているといえる。10〜12月期、1〜3月期とGDPは2期連続プラスで景気の本格上昇が期待されているが、8月に発表される4〜6月GDPがもしもマイナスに転じるようなら株価は下げる心配がある。
仮に、外国人投資家が内閣支持率低下、GDPの減速を嫌気して売り越しているとしたら外国人投資家売りを国内投資家が肩代わりしていることになる。もしも、政権交代、景気下降ということにでもなれば、相場はこの水準で踏みとどまることは難しくなるだろう。
強気相場の中にも慎重さが求めらる局面のようである。アベノミクスの取組みを見極めるところに差し掛かっているようだ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR 犬丸正寛の相場展望)
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