NYダウは今後3週間の動向が重要、アルコアから始まる決算発表はさらに重要
今、多くの投資家の最大の関心事はギリシャ情勢の行方にある。ユーロ圏に残留するのか、あるいは離脱の道を選択するのか、国民投票の結果が重要なのは言うまでもない。週明けの答え次第で市場のトレンドを左右しかねないので、ギリシャ問題に目を奪われがちなのは致し方のないところだ。
だが、こうした最中、6月29日にNYダウが終値ベースで、3月2日の1万8288ドルの高値と5月19日の1万8312ドルの高値(見方によればダブルトップ)の間の安値1万7635ドルを、静かに割り込んだ事実(6月29日の終値1万7596ドル)を見過ごしてはならない、と筆者は考えている。
今後3週間で1万8150ドルをブレイクできないようだと、さらなる下値模索を余儀
なくされそうだ。
そこで、改めて米国の雇用情勢や企業収益の状況を点検しておこう。2日に発表された6月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は市場予想を若干下回ったうえ、4月の雇用者増加数が22万1000人から18万7000人に、また5月も28万人から25万4000人にそれぞれ下方修正された。さらに、労働参加率や時間当たり賃金の伸びも決して芳しいものではなかった。雇用情勢を見る限り、回復ペースはやや鈍化しつつある、と言うべきだろう。
では、企業業績はどうだろう。今週8日のアルコアを皮切りに、主要企業の今年4〜6月期の決算発表がスタートするが、トムソン・ロイター調べでは、主要500社の4〜6月期のEPSは前年同期比3%程度減少する見通しだ。米国の主要企業が海外で稼ぐ売上比率は約30%と高く、ドル高のデメリットが顕在化しつつある。IBMやマイクロソフトのような大企業ですら、4〜6月期は減益を余儀なくされかねない状況という。
雇用や企業収益の現状を考慮すると、FRBによる9月利上げの公算はやや低くなってきたと見られるが、今後の米金利とドル円の動向に伴う日本株の先行きを予測するうえでも、当面の米国株の動向からは目の離せない時期が続くことになりそうだ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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