日米とも新高値だが勢いに欠ける、材料株の動きやすい地合いで個人投資家向きの展開か
NYダウ、日経平均とも長いモミ合いを放れ新高値に進んでいるものの、勢いに乗りきれない展開といえる。とくに、東証1部の出来高は23〜25億株とひと頃に比べると増えているが、市場参加者が揃い踏みといった状況にないことが勢いに欠ける理由として挙げられるのではなかろうか。
金融機関が3月第1週以降売り越し、個人も売り越し基調となっている。一方、外国人投資家が買い越しを継続、足元の2週間で投信が買い越しに転じているという状況である。とくに、個人投資家は5月第2週で1726億円と規模の大きい売り越しでこれが相場の上値を押さえている可能性はある。
外国人投資家、投信も上値を勢いよく買い上がるスタンスのようにもみられない。やや、斜め読みすれば、外国人投資家、投信等はこれまでに買った株の値下がりによる損失を避けるために値をキープする狙いから買っているようにもみえる。
日米とも景気、企業々績に対する見通しがもうひとつすっきりしないことがあるようだ。年初、アメリカは6月利上が濃厚とみられていたが、足元でのFOMC議事録では6月利上反対が多数だったという。裏を返せば今は利上げできる景気の状況ではないということになる。実際、NYダウの1株利益は昨年夏から高水準ながら横ばい状態が続いている。
日本の今年1〜3月の実質GDPは年率2.4%と2四半期連続でプラスとなった。景気は着実に上向いているが、タクシーに乗っても運転手は、景況感の良さは全くないという答えで、指標だけが上向くという手応えの感じられないところがある。日経平均の動きと非常によく似ている。
3月期決算発表がほぼ一巡した。日本経済新聞の報道では製造業好調に対し非製造業は横ばいていどで全体としては経常利益は15年3月期で6%程度の増益、16年3月期は8%台後半の増益という。16年3月期はマーケットが期待した2ケタ増益には手が届かない。このあたりも相場に対しモヤモヤした雰囲気となっているようだ。
外国人投資家が売りに回らない限り相場反落はないとみていいが、この先、外国人投資家がどこまで日本株を買い続けてくれるかは未知数だ。このあたりが、今後の相場のポイントだろう。
3月期決算一巡で材料的には空白となってくる。これから夏場には材料株の動きやすい地合いとなってくることから材料株好みの個人投資家にはおもしろい相場となることも予想される。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR 犬丸正寛の相場展望 )
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