堅調だが上値の重さも意識、GDP速報値と日銀金融政策決定会合が焦点だがサプライズは期待薄
5月18日〜25日の株式・為替相場は、全体として堅調だが上値の重さも意識されて方向感に欠ける展開を想定する。
需給面では18日設定の投信「野村日本企業価値向上オープン」や、ヘッジファンドの45日ルールの通過観測、そして日銀によるETF買いや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いなどが株価下支え期待に繋がり、全体としては堅調な展開だろう。
ただし一方では3月期決算発表が一巡してやや材料難となる。決算内容よりも増配や自社株買いを好感して買われる銘柄が目立つ流れのため、持続性という点ではやや疑問だ。16年3月期の国内企業業績見通しに関して、過大な期待感を修正する動きが出始める可能性もあるだけに注意が必要だ。
20日の日本1〜3月期GDP1次速報値と、21日〜22日の日銀金融政策決定会合が当面の焦点だが、いずれもサプライズは期待薄だろう。日銀金融政策決定会合では金融政策の現状維持という見方が優勢であり、会合直前に追加金融緩和期待を材料視する動きが見られたとしても影響は限定的だろう。逆に6月7日〜8日のG7首脳会議や6月16日〜17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて様子見ムードを強める可能性もあるだろう。
株式市場では全体として堅調相場とはいえ積極的な買い材料に欠け、上値の重さを意識するムードとなりそうだ。
外国人旅行客のインバウンド消費への期待が高まるが、大企業のベア実施で賃金が上昇しても国内の消費マインド改善を疑問視する見方は根強い。米国や中国の景気に対する不透明感、ギリシア問題に対する不透明感、為替の円安進行一服に加えて、原油価格が底打ちして上昇傾向を強めているだけに、16年3月期の企業業績見通しを下方修正する動きが出始める可能性もあるだろう。
ただし米大統領貿易促進権限(TPA)法案の早期成立の目途が立てば、TPP(環太平洋経済連携協定)関連が物色される可能性もあるだろう。
為替に関しては日米欧の金融政策の方向性の違いを背景に、大勢としてドル高・円安方向の流れに変化はないが、引き続き米国の主要経済指標や要人発言を睨みながら、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期を巡る思惑が交錯する。ギリシアのデフォルトに対する警戒感の再燃や、20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨などで仕掛け的な動きが見られる可能性もあるが、ドル・円相場は概ね1ドル=119円〜120円近辺でのモミ合い展開が続きそうだ。
その他の注目スケジュールとしては、18日の日本3月機械受注、19日の独ZEW景況感指数、米4月住宅着工件数、21日のユーロ圏5月製造業PMI、米4月中古住宅販売件数、米4月景気先行指数、米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、22日の中国5月HSBC製造業PMI、独5月IFO景況感指数、米4月消費者物価、イエレン米FRB(連邦準備制度理事会)の講演などがあるだろう。
その後は5月27日〜29日のG7財務相・中央銀行総裁会議、6月3日のECB(欧州中央銀行)理事会、6月7日〜8日のG7首脳会議、6月16日〜17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されている。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR アナリスト水田雅展)
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