【どう見るこの相場】 「トリプルアクセル株」へのアプローチに一考余地
今回の3Q決算では、業績上方修正と増配、業績上方修正と自己株式取得などの2つの好材料を同時発表した「ダブルアクセル株」が目立ったが、好材料が3つ揃った「トリプルアクセル株」はごくわずか3銘柄にとどまる。ベースとなるのは業績上方修正で、発表日時順に列挙すると、オーハシテクニカ<7628>(東1)は、今2019年3月期の純利益の上方修正に年間配当の48円の増配、自己株式取得がオンした。続いて前田建設工業<1824>(東1)が、今3月期業績の上方修正、年間20円への増配、450万株の自己株式取得を発表した。両社の業績上方修正は前期比較の減益率の縮小にとどまり、株価の上値インパクトは小幅にとどまっているが、PERはそれぞれ7倍台、8倍台と市場平均を大きく下回っているだけに上値再チャレンジが有力だ。
株価のインパクトが大きかったのは東和薬品<4553>(東1)で、同時発表の業績上方修正と増配、株式分割を歓迎して株価は930円高した。この業績の上方修正は、昨年10月29日に続く2回目となる再上方修正で、昨年10月は昨年来高値9280円まで1220円高しており、この再現からもなお上値余地が期待される。3月31日を基準日にする株式分割(1株を3株に分割)の権利取りが盛り上がりそうだ。
結果的に「トリプルアクセル株」となったのは、ゴールドウイン<8111>(東1)である。同社株は、今年2月8日に昨年11月に続いて今3月期通期業績の2回目の上方修正と増配を同時発表した「ダブルアクセル株」である。ところが英FTSE社が、2月15日にFTSE世界指数の組み入れ銘柄の定例見直しで同社株の新規採用を発表、結果的に「トリプルアクセル株」として上値追いに拍車が掛かり上場来高値を更新した。昨年10月の業績上方修正時はストップ高した急騰特性も内包しており、個別銘柄物色のシンボル株として存在感を増そう。
■情報処理サービス株には次々と働き方改革、元号改元、消費税増税の関連特需
事業環境的に「トリプルアクセル」が見込めるのが、会計ソフト・業務ソフト、システムインテグレーション事業、ERP(基幹系情報システム)などを展開している情報処理サービス株である。今年4月の働き方改革関連法の施行、5月の元号改元、10月からの消費税増税を控えて関連需要が相次ぎ、クラウドサービスの利用も拡大する方向にあるからだ。すでに関連株は、こうした好事業環境下で業績の上方修正が相次いでいる。会計システムのビジネスブレイン太田昭和<9658>(東1)は、今年1月31日に、業務ソフトのピー・シー・エー<9629>(東1)は、今年2月18日にそれぞれ今2019年3月期業績を上方修正し、前週末22日には業務ソフトのオービックビジネスコンサルタント<4733>(東1)が、2回目の今3月期業績の上方修正を発表し、会計事務所を主要顧客とするミロク情報サービス<9928>(東1)は、今期配当の増配を発表した。
税理士向けソフトのTKC<9746>(東1)が、今年2月6日に発表した今2019年9月期第1四半期業績は、地方公共団体向けなどの需要一巡で2ケタ減益となったが、会計事務所向けやクラウドサービスは好調に推移しており、システムインテグレーション事業が売り上げの過半を占める大塚商会<4768>(東1)の今12月期業績は、連続の過去最高更新が予想されている。EPR関連では、東洋ビジネスエンジニアリング<4828>(東1)が、今年1月31日に今3月期業績の3回目の上方修正と2回目の増配を発表し、オービック<4684>(東1)は、今3月期配当を増配し、オロ<3983>(東1)も、2月13日に上ぶれ着地した前2018年12月期業績と連続過去最高予想の今12月期業績を開示した。IT株としていずれも投資採算的にはやや割高だが、好材料発表のたびに窓を開けて急伸する株価感応度が高い銘柄が大半であり、今後の「トリプルアクセル」材料の到来とともに、急伸特性の再現期待を高めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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