【どう見るこの相場】消去法なら「ウイズ・コロナ関連株」
消去法なら「ウイズ・コロナ関連株」にはまだまだニッチ・ロングラン銘柄
大作名画のタイトル風に問うならば、『アンジェスとともに去りぬ』なのだろうか?「ウイズ・コロナ関連株」の命脈である。アンジェス<4563>(東証グロース)の株価が、前週8日に12%超安と続急落し、全市場値上がり率ランキングのワーストワンとなった。週末は5%高と急反発したものの、同社の株価は、2020年6月に2492円高値まで買われていたのが、8日は一時、252円安値まで突っ込み、2020年高値のわずか10分の1に崩落した。7日に新型コロナウイルス感染症のDNAワクチンの開発中止を発表したことが、投げ売りを呼んだ。バイオ・ベンチャー株のお決まりコースとはいうものの、その落差は余りにも大きい。
同社株が2492円高値をつけた2020年6月といえば、中国・湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルス感染症が、一気にパンデミック(世界的な感染爆発)となり、日本国内でも新規感染者が確認されたあと、横浜港に帰港したクルーズ船で集団感染が発生し、ドラッグストアの店頭の陳列棚からはマスクや除菌剤が瞬間蒸発するなどパニック状態が極まった時期である。
そんな危機的状況で臨床試験開始を準備中のアンジェスのDNAワクチンが唯一の希望の星として期待を募らせ、一部自治体の首長の年内接種可能との前掛かり的な発言の後押しもあって株価は急騰した。アンジェスは、いわば「ウイズ・コロナ関連株」のトップランナーの役割を果たしたことになる。そのDNAワクチンの開発中止であり、「強者どもの夢の跡」となれば投げ売りも致し方のないところで、問題は「ウイズ・コロナ関連株」全般の命脈にどう波及するかにある。
「ウイズ・コロナ関連株」は、その後も感染拡大が第1波から第7波と変遷する2年余、次々と株式市場にデビューした。マスク株、除菌剤株はもちろん、治療薬株、巣ごもり消費関連の内食・中食関連株、自宅療養関連のネット診療株、在宅勤務関連のリモートワーク関連株、郊外型戸建て住宅株、ソーシャルディスタンス確保のアウトドアスポーツ関連株などまでさまざまに広がった。
同関連株の「強者どもの夢の跡」は、アンジェスの崩落ほどではなくても大小を問わず少なくない。今年8月22日付けの当特集でも記したように、除菌剤の在庫過剰で生産調整し赤字転落した大幸薬品<4574>(東証プライム)や、ソーシャルディスタンス関連のキャンプ用品の需要拡大で業績上方修正続きだったスノーピーク<7816>(東証プライム)のように、経済活動再開によりレジャーの多様化で高額商品の販売が伸び悩み一転して業績を下方修正したケースもある。それでなくても、岸田内閣の相次ぐ行動制限や水際対策の緩和で、株式市場の目線は、リオープン(経済活動再開)関連株に移っており、「ウイズ・コロナ関連株」はやや旗色が悪い。
しかし諦めるのはまだ早いとするのが、今週の当特集の訴求点である。ロングランで「ウイズ・コロナ関連株」の命脈を保っている銘柄が少数ながら残っているからで、消去法的に浮上する。もちろん主力株ではなく、ニッチ(隙間)株である。しかもニッチ株だけあって投資採算的に割安水準に放置されている銘柄も多いのである。注目は、ゴルフ関連株、中古品の買い取り・再販の「家庭鉱山株」、さらに100円ショップ株が伸び悩むなか健闘している300円ショップ株である。
このゴルフ関連株のうち、ゴルフ練習場株は、スノーピークと同様にレジャー多様化で来場者は伸び悩んでいるようだが、ゴルフクラブ関連株では業績上方修正や好決算の発表が相次いでいる。また「家庭鉱山株」は、月次売上高の増加が続き、物価上昇対応関連の側面も持つ。米国市場・短期投資家主導の主力株の忙しい値動きに一歩も二歩も立ち遅れ振り回され勝ちなニッチ投資家は、一段のロングラン相場に期待して下値をマークするところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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