【どう見るこの相場】老舗企業や金持ち企業が「Go To バフェット」キャンペーンで
週明けの東京市場や3連休明けの米国市場は、伏線が本線相場に進行する展開も想定される。東京市場では、安倍晋三首相の突然の辞任表明による「アベノショック」が、菅義偉官房長官の自由民主党の総裁選挙への立候補でリカバリーされ、国会議員票の動向により優勢と伝えられ、内閣支持率の急上昇を背景に早期の解散・総選挙まで観測されており、「スガノミクス」への期待を高め関連株買いが広がりそうだ。
一方、米国市場では、3連休前に主力ハイテク株売り・バリュー株買いで株価が急落したが、ここではウオーレン・バフェットが率いる投資ファンドのバークシャー・ハサウェイが、8月30日に大手商社5社の株式を5%超取得した大量保有報告書を提出したことが、見直されるかもしれない。大手商社買いが、すでに割高顕著となっていた米国市場からの事前のリスク分散策だったと明らかになれば、海外投資家がリスク回避・地域分散策として日本株を再評価する呼び水となる可能性もあるからだ。
ただ、バフェットの大手商社株の大量株式取得については、なお真意を図り兼ねる部分が残るなか、国内投資家の一部は、いくら「オハマの賢人」、「投資の神様」といわれようとも、こと大手商社については自分たちの方が土地勘は上だと自負しているのではないか?すでに片仮名書きの「ソウゴウショウシャ」が、日本独自のビジネスモデルとして国際共通語として流布し、取扱商材は「ラーメンからミサイルまで」と広範囲に及び、属人的な経営手法や商社金融、眠り口銭などのビジネス慣行、中抜きへの危機意識についても、兼ねてから熟知しているところだからだ。
もともと「重厚長大」産業依存の経営構造を「トンからグラムへ」に転換する「軽薄短小」化を目指しながら、その実態はビッグプロジェクト中心の「重厚長大」体質から脱却できたかといえばはなはだ心許ない。株価的にも現在は、PER・PBRでも割り負け、配当利回りでも高位にあって出遅れバリュー株の代表となっているが、かつての大手商社の決算説明会では、最後に担当役員が、期末の保有有価証券の含み益を公表しこれが株価の下支え指標とされた。負債過多の財務体質から、低金利メリット株の代表株の一角をも占めた。
何もバフェットの大手商社株買いに異議を唱えているわけではない。むしろ、日本人投資家がまだ知らない買い材料があって買い出動してくれて相場をサポートしてくれたと大歓迎である。そこで今週の当コラムでは、バフェットに日本的なビジネスモデルを展開する企業が数多くあり、それをリサーチしたうえで一層の資金の投入を促したいのである。証券各社や証券ジャーナリズムも、「Go To バフェット」キャンペーンを積極化し日本株の売り込みに精を出してもらいたいものである。
大手商社は、そのルーツが同様に遠く江戸時代の両替商や繊維問屋にまで遡る老舗企業が多く、金持ち企業は、不要不急の資金を溜め込みリスクを取らない日本型経営の典型とバッシングが続いていただけに、逆に脚光が当たることを期待したい。
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