05月4週
【推移】

18日(月):
3月期決算は全体の97.6%が開示通過。前期売上高4.2%増、経常利益5.9%増、純利益6.9%増。今期売上高3.0%増、経常利益8.7%増、純利益13.0%増。消費増税の影響を受けた前期と比較的強気見通しの今期とのコントラスト。過去よりも未来の方を重視したいところ。ちなみに2016年3月期最終利益合計額は22兆円を突破。2年連続で過去最高更新する見通し。
日経平均のPERは16.24倍でEPSは1215円。4月23日の18倍からは低下した。世界では米国が20倍台、ドイツが16倍台。明らかに割安感となろうか。予想PBRも1.4倍台、予想配当利回りは1.4%台。
土曜日経朝刊の見出しは「株式配当初の10兆円」。上場企業約1400社の集計で配当総額は前期比6%増の約10.2兆〜10.3兆円。株と投信を合わせた個人の日本株保有比率は約24%。配当総額10兆円だと約2.4兆円の個人資産が増加するというのが日経の計算。ちなみに4月の個人向け投信の残高は前年比2割増の99.2兆円。1か月で2兆円の増加となった。
REITが増加しETFの残高は13兆円になったという。もっとも世界の投信残高は14年末の約3700億円。米国がその半分の1900兆円でオーストラリアが190兆円。100兆円どころではまだまだ世界に劣後。年初来高値更新は210銘柄。みずほの売買高は5億株弱。みずほの5億株が一つの限界点だとするとほぼ近づいてきた。ココを超えられるかどうかだが、過熱感の薄い市場では大丈夫かもしれない。「今回は違う」というのが市場心理。「今回は違う」と思って違わないケースばかりに遭遇しているのだがそれでも「今回は違う」と考えたいところ。
日経平均株価は157円高の19890円と続伸。ワイエイシイ、第一生命が上昇。戸田工、シャープが下落。

19日(火):
4月7日以来6連勝の火曜日。別に曜日のアノマリーではないのだろうが、リーマンショックの頃は出ると負けの火曜。しかも、当時はそぼ降る雨の朝の火曜日は記憶の上では負け戦の連続。思えば相場もずいぶん変わったもの。変わらないのは何でも危機チックに結び付けてしまう投資心理。利益がなくてPERが無限大だったことももはや記憶の彼方。実数のPERが復活したのが800倍だったことももう忘れられた印象。
決算発表時期の習性で日経平均採用銘柄のEPSを計算してみると19890.27円÷16.18倍=1229円。
フツーにPER17倍なら20893円。5月月足陽線基準の19531.63円からは500円以上も上の水準。年初から5ヵ月連続の月足陽線はおそらく成立するだろう。
2012年8月からの9ヵ月連続陽線で日経平均株価は約7000円の上昇。しかし翌2013年1月からでは4月までの4ヵ月連続陽線まで。
今回は5ヵ月連続でも2500円程度しか上昇していませんから物足りなさも目立つとはいえ格言は「上げ100日、下げ3日」。ジワジワと上がるのはまだらしく、一気に下げる恐怖感を帯同しているもの。「所詮相場は最後に下げる」という諦念に「下げが怖くて相場ができるか」という勇ましい声が少し加わっただけでも良しなのかも知れない。
終値ベースで4月28日以来の2万円台回復でも東証アローズにTVクルーはゼロ。この無関心あるいは静かな回復はむしろ快感でもあるし騒がない分長続きするのかも知れない。
日経平均株価は136円高の20026円と3日続伸。4月28日以来の2万円台回復。ファナック、レナウンが上昇。フォーバル、洋エンジが下落。

20日(水):
日経マーケット総合面では「日経平均2万2000円の見方」の見出し。年内の予想だそうである。「3月期の中間決算で業績の上振れを確認できれば再び上昇基調に」。中間決算の発表は11月前後。何の役にも立たないコメントに聞こえなくもない。前日の日経平均のPERは16.23倍でEPSは1233円。2万円でもPERが16倍台というのが現実で、上振れなどなくても問題ない。空売り比率も29%台と30%割れ。興味深いのは前週末の信用買い残の増加。日経平均が201円上昇して買い残はわずか69億円とはいいながら増加。2兆9927億円となった。「相場の先高観から信用買いを入れる個人投資家が多かった」とのコメント。従来は上がると売り下がると買う個人投資家像。これが変わったのかどうか。もしも本当に変化したならまさに潮目の変わり目だろう。4営業日連続で3ケタの上昇。
先週金曜162円高、今週月曜157円高、火曜136円高、水曜170円高。合計625円高だから悪くはなかった。
1週間前の木曜の終値が19570円。約1ヵ月前の4月23日の終値ベースの高値は20187円(ザラバ20252円)。4月30日の538円の急落からここまで戻ってきたことになる。1〜3月GDPが年率換算2.4%増で着地したこともあり日経平均株価は170円高の20196円と4日続伸。ボルテージ、アスクルが上昇、タカタ、東京海上が下落。

21日(木):
5月の裁定買い残の推移を追ってみると5月7〜8日の2日間で日経平均は152円の上昇。裁定買い残は1009億円減少し3兆2651億円。5月11〜15日の週の日経平均は112円上昇。裁定買い残は10億円減少し3兆2641億円。連休明けの日経平均が264円上昇したのに裁定買い残は都合1019億円の減少。
今月の株価の上昇は裁定買いの積み上がりではなく、現物買いだったということになる。ここは従来とは大きく違う動きに他ならない。先物業者の手口ばかりにとらわれていると間違えそうな局面でもあろうか。ちなみに5月SQ値は19270円。4月SQ値は20008円。どちらも抜けてきており売り方の負け気配。松井証券の信用評価損益率速報では売り方マイナス13.273%。買い方マイナス3.154%(前日マイナス3.556%)。
Quick調査の信用評価損率はマイナス8.01%で前週のマイナス9.79%から好転。明らかに回転も効いてきているから東証1部の売買代金は2兆9995億円まで拡大したのだろう。
東証1部の1株当たり時価は1476円。売買単価は1165円。ここが逆転すればNT倍率も高まり値がさ中心に指数は上昇を続けるに違いない。当然ながら東証1部の時価総額も拡大。水曜には一時バブル期の1989年12月の589兆5398億円を一時抜いた。政府保有株を含めた時価総額は596兆563億円。89年には610兆円だったと記憶するが、もう指呼の間となってきた。
日経平均株価は6円高の20202円と5日続伸。15年1か月ぶりの水準を回復した。TOPIXは7年7カ月ぶりの高値水準。ダイキン、京セラが上昇。三協立山、クボテックが下落。

22日(金):
東証1部の1日売買代金は2兆円台後半を維持。このエネルギーの高まりはきっと株価の上場への踏み台になるに違いない。株価は短期的には25日線の上下4%のレンジ。中期的には75日線の上下10%のレンジ。長期的には200日線上下20%のレンジ。これが通説。であるならば25日線からの下方かい離も限界があるし、25日線割れの水準では押し目買いが入ってこよう。200日線からの限界水準は上下45%。下はリーマンショック直後の2008年10月の44%、上は2013年5月の45%だった。これは歴史的なかい離水準であり、めったになることはない。年初から5か月連続月足陽線を目指す展開に期待というところ。無制限の上昇も下落もないし、相場の輪廻転生をわきまえて行動することが肝要だろう。月は満ちれば欠けるし欠ければ満ちるもの。相場も一緒。ただ「五月病もセルインメイもぶっとばせ」なんて感じの相場展開。
日経平均株価は61円高の20264円と6日続伸。3日連続で年初来高値を更新した。三陽商会、カーボンが上昇。西武、山下医科が下落。

(2) 欧米動向
NYでも主要企業の1〜3月期決算通過。
増益率は前年同期比2%程度で10〜12月期の7%から大幅に低下した。
しかし事前予測はマイナス2%程度の減益予想だったから悪くはない。
5年半ぶりの減益は回避。
セルインメイは大草原のさわやかな風と共に消えさるのかも知れない。

第二次世界大戦以降負けなしの大統領選挙前年のNY市場だけに投資家もうごめき始めている、
ジョージ・ソロス氏のファンドはアリババの持ち株少し増やした。
前年末440万株→444万株。
一方ジョン・ポールソン氏は保有していたアリババ192万株を売却。
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイはビザやウェルス・ファーゴの株を買い増した。
ウェルス・ファーゴの保有は4億7029万株で約3兆円。
ケタが違う。
カール・アイカーン氏はアップルのクックCEOへの書簡を公開。
「アップル株は240ドルの価値がある」とコメント。
現在130ドル水準だからダウ上昇寄与度は高まるのかも知れない。

(3)アジア・新興国動向
早くもゴタゴタし始めたのがAIIB(アジアインフラ投資銀行)。
中国の出資比率が約3割となることから欧州勢は発言権を得るための出資比率の拡大を要求。
少しはアジアでの仕事にありつければという楽観からは遠くなってきた。
ひょっとすると市場の漁夫の利となるかも知れないのはアジア開発銀行の動き。
こちらは日米主導の銀行だが従来は意思決定が遅かったのが早まるかも知れない。
あるいはJICAを通じた投資の拡大だって期待できるかもしれない。
同床異夢でスタートするAIIBよりは使い勝手がよくなれば日本企業にとって悪くはない。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・
25日(月)貿易統計、米・英・スイス・香港・韓国休場
26日(火) 企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、ケースシラー住宅指数、新築住宅販売、CB消費者信頼感
27日(水)G7財務相・中央銀行総裁会議
28日(木)セイホ決算、
29日(金)消費者物価、失業率、鉱工業生産、米1〜3月GDP改定値、シカゴ購買部協会景気指数

世帯の保有する金融資産の額の平均は1798万円。
2000年以降で過去最高を更新した。
内訳は有価証券が251万円(前年比4.6%増)。
定期預金が758万円(同4.7%増)。
普通預金が380万円(同3.8%増)。
定期預金の増加は所得の増加を多少は反映しているのだろう。
普通預金の増加について総務省のコメントは「理由はわからない」。
しかし、MRFが4月末に前月比5453億円増加。
12兆円弱まで増加しているのと同様に「利食った待機資金」が入った可能性は高い。
2013年7月以降投信には資金流入が継続しているがまだまだ足りない気配。
ちなみに一昨日設定された野村の「日本企業価値向上オープン」。
円資産型が251億円、ドル投資型が427億円で合計678億円。
4月は一気に1057億円を集め、募集停止になったがそれほどの熱気はない。

上場企業は08年以来7期ぶりの最高益となった。
金融・電力などを除いた1490社の経常利益は5.9%増。
売上高は4.2%増加、5年連続で増収を達成した。
今期を見てみると・・。
製造業は売上高4.3%増、経常利益13.3%増、純利益14.6%増。
非製造業は売上高2.0%増、経常利益1.4%増、純利益10.2%増。
全産業合計では売上高3.0%増、経常利益8.7%増、純利益13.0%増。
金融を含む全産業では売上高2.6%増、経常利益5.7%増、純利益9.8%増。
資源価格の底入れを背景に商社と石油セクターの業績が急回復し全体を底上げ。
堅調な内需を背景に小売りや陸運セクターも伸長。
小売りや鉄道も伸びる方向。
自動車・電気ばかりが主役の稼ぎ頭ではなくなってきている。

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