09月第1週
推移
25日(月):
「米利上げ、雇用見極め」という表現がジャクソンホールでのイエレン議長。結局「市場に現地与えず」で、曖昧模糊さは変わらず。ということは、イエレン氏の成長と見るべきなのだろう。「見極めたい」という機関投資家の陳腐な姿勢を嘲笑するかのようにも映る。もっともドル円は一時104円台まで推移。約7ヶ月ぶりの水準となったが、株価は反応薄。為替と株価のリンクは、少し趣を異にし始めている。日経平均の10日続伸が出来なかった裏側で東証2部指数は8日続伸で年初来高値を更新。基本は「値動きの軽さ」。1部でも2部でもあるいは新興でもホットスポットでの要求はまさにコレ。ボラティリティを欲しがる一部の投資家が寸暇を惜しんで、そしてスピードを競う格好。 そんなときは、「焦ってみたって同じこと」とジックリ構え得ることも必要だろう。「相場は明日もある」し「相場は逃げない」。「いつでもどこでも好きなときに好きなように株式市場と対峙する」のが真骨頂。日経では「消費増税、予定とおりに、3割」の見出し。賛成30%、反対63%だから圧倒的に反対意見ばかり。それにも関わらず、民間エコノミストが「環境は整った」との見解ばかりという。4月の増税の影響は年度ベースでなく暦年ベースでは「ならされる」との説。「13年〜14年に成長率が大きく下がるわけではない。消費税を再び上げられる環境にある」という言葉も聞こえてくる。どこを見たら「再び上げられる」のだろうか。「増税を見送るほどの悪材料はない」とも。だったらなぜ東京市場は世界株式市場の中でのパフォーマンスが劣後しているのだろうか。興味深いのは「日はまた沈む」や「日はまた昇る」の著者ビル・エモット氏。英エコノミスト誌の元編集長である。日経のインタビューでは「この先、賃金や収入がふるわないまま消費者物価が上昇する事態になれば支持率はさらに低下するのではないか」。そして「首相は消費税の10%への引き上げを1年程度先送りする可能性がある」。まさに「御用は消費者物価2%と消費税10%」。日経平均株価は74円高の15613円と反発。イチケン、JVCが上昇、中外薬、JINが下落。
26日(火):
SP500指数は薄商いでの2000ポイントを更新し過去最高値。商いが盛り上がらなくでも、新値は取れるもの。だったら、東京だって盛り上がりや過熱感のない高値更新というシナリオもアリかも知れない。下値には買い物が張っているので下落時には売買エネルギーが増加。先高観から上値になると売る向きが減り株価上昇時は売買エネルギー低下。都合の良い解釈が可能になる。8月陽線基準は15523円(8月1日終値)。週末にここをクリアしていれば4ヵ月連続での月足陽線。実りの秋と恐怖の秋の同居であれば「空恐ろしさから豊かさへ」。考えてみれば今年の日経元旦朝刊の見出しそのままの展開となってきている。東証1部の売買代金は1兆5319億円。12営業日連続で2兆円を下回っている。米国3市場の売買高も40億株程度。半年前は60億株程度だったので、こちらも低調。日経ジャスダック平均は小幅ながら10日ぶりに反落。東証マザーズ指数も4日ぶりに反落。しかし東証2部株価指数は小幅ながら10日続伸で約7年ぶりの高値水準。意味不明や訳のわからない海外要因の影響を受けない銘柄が多いというのも理由かも知れない。東証1部の新高値銘柄数は月曜が109銘柄、火曜が111銘柄。これで7日連続、100を超え6月30日〜7月8日の7日連続に並んだ。正しいかどうかは別にして経験則は「中小型から大型株に株高の流れは波及する」。少なくとも熱狂的相場などからはほど遠く、静かな堅調の連続。慌てず騒がない展開はむしろ喜ぶべきなのかも知れない。市場での話題は9月限のオプション15375円プットの売りの存続。日経平均株価は92円安の15521円と反落。福井コン、内田洋行が上昇、日エンター、近鉄百が下落。
27日(水):
東証2部指数の11連騰の傍証のようなものかも知れない。東証1部の売買代金は13日連続で2兆円割れ。しかし新高値は12日連続で100銘柄超。出来高の薄さを嘆きの壁にしているのは業界だけでドッテンバッタンは続いている。裁定の買い残は1771億円増加して3兆66億円。信用の評価損率はマイナス7.24%と改善。松井証券経由の速報では売り方マイナス12.95%、買い方マイナス4,92%。空売り比率も28.4%と30%割れ継続。基準は15523円。日経平均の25日移動平均線は15392円でプラス0.93%のかい離。75日線は15129円でプラス2.68%のかい離。200日線は15018円でプラス3.44%のかい離。騰落レシオは106%で過熱感なし。「勝手雲」は9月2日に白くねじれている。日経平均株価は13円高の15534円と小幅反発。日コンベア、芦森工が上昇、フィデア、タキロンが下落。
28日(木):
取ってつけたような苦しいインタビューは「米2位の年金基金、日本株投資を拡大」。運用規模で米2位のカリフォルニア州教職員退職年金(カルスターズ)。日本への投資を拡大するという。しかし、運用資産は19兆円。GPIFと比べれば月とスッポンみたいなもの。「日本の不動産投資を増やすために専門のファンドに1億ドルを投じた。最大で2億ドルまで増やす方針だ」。たしかに増やしてはいるが所詮100〜200億円の世界。「アベノミクスが構造改革でも一定の効果を示し、今後も経済が着実に成長するという確信が持てれば日本への投資を増やしたい」。ファンドの最高投資責任者らしい言辞。しかし確信が持てたときに出動するのを専門家というのだろうか。とろい相場観に思えてならない。日経平均株価は74円安の15459円と反落。ソニー、熊谷組が上昇、トヨタ、東洋炭素が下落。
29日(金):
株価の趨勢を考える前に債券利回りの低下を考えておいた方が良いのかも知れない。景気が良く、FRBによる利上げ懸念のある米国。10年国債利回りは2.3%台まで低下した。あるいは日本の10年国債利回りは0.485%まで低下した。安全資産として買われているという解釈。しかし、依然として債券指向の運用が継続しているなら、まだ相場は若すぎるということになる。常識的には債券か株式かの2者選択の運用だが、それが同居している不可解さ。ここが株式相場膠着の原因の一つでもある。もっともアメリカにしても、日本にしても政府としては絶対に金利の上昇を望んでいない。その意味では心地よい低金利でもあるのだろうが、日本の場合は時間が長過ぎる。日経平均株価は35円安の15424円と小幅続落。約2週間ぶりの安値水準となった。ソフトバンク、ソニーが上昇、ファナック、ファーストリテが下落。東証2部指数は13日続伸。ジャスダック平均は06年8月以来の水準まで上昇。
(2) 欧米動向
25日のFTタイムズ電子版。
題名は「アベノミクス・的外れ」。
昨年に比べ今年は華々しい成果がないというのが趣旨。
「世界のリーダーがゴルフに興じているのは良い兆候ではない」と八つ当たりの感。
ただ、今後の手腕が試される事柄も紹介されている。
9月→内閣改造と北朝鮮訪問の可能性
10月→福島・沖縄県知事選
11月→APEC首脳会議で習主席との会談の可能性
12月→消費税引き上げの決断
全部上手にこなせれば長期政権への一里塚とみているのだろう。
ただ、この国の市場関係者のバックミラー評論に比べればフロントガラス指向に思える。
内閣改造で石破幹事長の処遇がにわかに課題となってきた。
それはそれとして、その後に控えているのが「地方創生」。
「まち・ひと・しごと創生本部」が発足するという。
「地方を活性化しなければ日本は衰退する」という言葉は強い。
テーマは・・・。
(1)地方の雇用基盤の強化
(2)地方居住の促進
(3)働き方改革
(4)女性の躍進促進など。
選挙を睨んだ大盤振る舞いと見るか、真剣に指向しているのかは不明だが市場テーマにはなる。
株式市場では「ローカル・アベノミクス」と言われているらしい。
東証1部2部などの区別を「ローカル部」と「グローバル部」に変えるという意見もある。
一方、海外の投資家からの地銀についてのヒアリングも増加してきているという。
再編期待感というのもあろう。
興味深いデータがある。
メガバンクと預金量10兆円以上の上位地銀4行をグローバル。
それ以外の上場銀行をローカルと区分けした時価総額の推移の調査結果。
6月24日を100とすると、グローバルが95.3、ローカルが101.1。
明らかに地方が勝っている。
(3)アジア・新興国動向
中国のPMIが注目される。一方で世界的低金利動向による投資マネーの拡大の影響の方に期待感というところか。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
1日(月)法人企業統計、米レイバーデイ休場、中国PMI
2日(火)マネタリーベース、米ISM製造業
3日(水)日銀金融政策決定会合(〜4日)、米製造業受注、ベージュブック、ユーロ圏GDP改定値、豪GDP
4日(木)黒田日銀総裁会見、ロッテ免税店日本初出店、米ADP雇用レポート、貿易収支、ISM非製造業、ECB理事会、NATO首脳会議にウクライナ大統領出席
5日(金)景気動向指数、米雇用統計、カナモト決算
過去24年9月の日経平均は9勝15敗で12位
3日ポイントの日
9日満月、ポイントの日
24日新月
25日ポイントの日
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