05月5週
今週の相場感
19日(月)
課題は市場への信頼とか信用なのだろう。「6月の骨太の方針に法人税減税を盛り込む」と経済財政諮問会議は決めた。それでも信用しない市場。「アレコレと方法はある」と黒田日銀総裁は会見で話した。それでも信用しない。「今年は270兆円までお金を供給する」と言っていてもそれ以上のおねだりをする。 1〜3月のGDPは年率換算5.9%の成長。4〜6月に消費増税の影響でマイナスになっても7〜9月は復活すると言うシナリオを誰も信用しない。欧州は年率換算0.2%の成長でも株価は上昇基調。あまりにも自虐すぎる気がする。世帯の貯蓄は1739万円で過去最高。投信への資金流入はたかだか7000億円台。アマダが「利益の全部を配当と自社株買いに回す」と言うと、逆に企業側が少しビビル状況。企業は市場を重視する方向で、永田町も株高賛成。そんな中、市場だけが自虐的。業界紙の日本証券新聞は駅売りの売店の数を増やしたという。空回りしない地道な努力とその継続が必要であることは間違いない。日経平均株価は90円安の14006円と4日続落。一時14000円を割り込む場面もあった。これで休み明けは7連敗。売買代金も1兆5503億円と低調。あすか薬、マルエツが上昇。リブセンス、ドワンゴが下落。

20日(火)
前日まで日経平均は4日続落。この4日というのが実は意味のある日数。野田前総理が「解散しますか」と国会で発言したのが確か2012年11月14日。その前日13日まで日経平均は11月5日から続いた7日続落だった。水準は8660円。その翌日からアベノミクス期待が生じたが、あれ以来日経平均株価は4日続落までしか経験していない。ちなみに1年前の昨年5月20日の日経平均は15360円。「前年割れ」は継続しているが、「4日続落まで」の記録はまだ破られていない。思い起こせば、好材料とともにさまざまな悪材料が棘のように登場してた。欧州財政危機、米国金融緩和終焉懸念、最近ではウクライナ情勢や根強い中国景気懸念。風船は膨らんでいるときに針を刺せば一気に破裂するが空気が抜けて萎みきった風船にいくら針を刺しても破裂しない。昨年5月は日経平均株価が200日移動平均線から47%も上方かい離。騰落レシオも150%近くまで上昇。信用買い残の評価損率がプラスになるなど、冷静に考えれば膨らみきった状況。5月22日の当時のFRBバーナンキ議長のQE3終了構想を悪材料視して株価が破裂したのも無理ない状況だった。本家本元のNYダウがたった150ドルしか下がっていないのに日経平均が1143円も下げたのもこれが大きい理由だったからだろう。結局、12月にあのバーナンキ発言の方向に米国金融が向かってからNYダウは上昇し始めた。結局市場解釈とか市場シナリオというものが理路整然と間違って半年も市場が堂々巡りをしていたことになる。市場は整然と解釈を間違えるというアノマリー、あるいは多数意見ではなく少数意見の方に結果的には市場のベクトルは向かうことが多いもの。昨今の東京市場では成長戦略に対する失望感が聞かれる。あるいは金融緩和に対するないものねだりの声も聞かれる。でも日銀は今年70兆円近いお金を供給し総額270兆円を目指すと既に表明し粛々と実行。「成長戦略は」法人税減税を織り込むと言っているし規制緩和も継続するのだろう。 日経平均株価h68円高の14075円と5日ぶりの反発。前日までの4日間で約400円下落していたこともあり買戻し先行の動き。ヤフー、太平が上昇。ノーリツ鋼機、ひらまつが下落。

21日(水)
重いのは信用の買い残。みずほの信用倍率は低下したと言っても27.5倍から20.5倍。野村HDは28.68倍。三菱UFJは19.9倍。6月期日を迎えに行く動きが出るか、あるいは期日通過を待つのか。いずれにしても変化の時間軸アベノミクスの成長戦略と含めて6月に集中している。日経平均のPERは13.51倍。前日段階の日経平均は14075円だから1株あたり利益は1041円となる。1020円水準まで低下していたがいつの間にか1050円が見えてきた。因みに、3月決算対象企業の97,3%を通過した今期見通し。売上高3.4%増、経常利益1.9%増、純利益4.6%増。ここからのスタートとなる。そして株式益回りは7.04%、10年国債利回りは約0.6%。この差6.4%というのはリーマンショック直後以来のこと。「バブル時に株式益回りは1%程度、国債利回りは7%程度。それでも投資家は株を買った。結果は債券の勝ち。今は逆の状態で投資家は1%割れの債券を買い7%超の株には見向きもしない」。そういう展開が続いている。この逆転はどこかで起こる筈だろう。日経では「郵政改革の05年相場と今が似ている」という指摘もあった。日経平均株価は33円安の14042円と小幅反落。NY株式の大幅安を受けた一時下落幅は100円を超えたが、引けにかけて戻した格好。日経平均株価は6日ぶりに25日線(14295円)を上抜けた。簡略に言えば14000円を下抜けたものの、それ以上売り込む動きがなかった。「売っても駄目なら買ってみな」では、相当簡単すぎるがマーケットはそんなに高尚でもない。タツタ、タムラが上昇。アイスタイル、ルックが下落。

22日(木)
市場関係者の指摘。「日経平均株価を1万4000円台前半、1万4000円台後半などと500円ずつの幅で刻み、1つの価格帯にとどまった日数を数えると、今回は前日までで16日間。2000年以降、16日以上同じ価格帯で推移したケースを数えると、今回は20回目。 膠着の後に進んだ方向は前回までの19回のうち、上が11回、下が8回とやや上が優勢と・・・」。膠着の後には幸せが不幸が必ず待っている。そして不幸や悩みや嘆きや悲しみを消してそこから昇華させてくれたのは株価の反転だったのが歴史。あらゆる苦悩を消してくれるのが株高ということに永田町が気がついてくれるかどうか。日経平均株価は295円高の14337円と大幅反発。全体の9割超の銘柄が上昇した。クックパッド、サムコが上昇。サンリオ、関電が下落。

23日(金)
前日の日経平均は上昇した。面白かったのが、日経の解説。「米株高や円安を材料に朝方から買われ、中国の景気指数の改善が伝わると一段高となった」。確かに4月まで悪材料視の主役のようで懸念されていた中国のHSBC製造業PMI。着地は49.7で市場予想の48.3や前月の48.1を上回った。ただ好不況の分かれ目の50は依然下回ったママ。そして「円安」?前日夕刻は101円を下回り円高が懸念されたがその後は101円台の推移。確かにトレンドは円安ベクトルだが「円安」と言えるのかどうか。面白い刹那的短時間軸の解釈が聞かれるもの。国内では明るさを醸し出すような報道のピックアップ。FOMC議事要旨では緩和的な政策が続く見通し。一部報道で「かんぽ生命が15年3月期に日本株と外貨建て債券の保有比率を拡大する方針」。日本株の購入増加額は3000〜3500億円になる可能性があるという。自民党は貸金業者への金融規制緩和への議論を開始したとの報道もあった。中身に新鮮味はないが受け取り手の心理が好転すれば同じニュースも価値を持って輝くもの。というか、マーケットと言うのはげに摩訶不思議な解釈をし、変わり身の早い場所でもある。日経平均株価は124円高の14462円と続伸。一時14500円を上回る場面もあった。ただ東証1部の売買代金は1兆8527億円と依然2兆割れ。住友精密、AGSが上昇。スクエニ、ツクイが下落。

(2)欧米動向
懐疑と懸念の乱舞で市場は右往左往。
新高値圏の米国株と安値からは倍になったものの高値の半分にも至らない日本株。たぶん信用とか信頼とかいうものが日本株市場には足りないのだろう。勿論市場が投資家を裏切ってきたという歴史もある。あるいは、企業が信頼に足る行動ではなかったという経緯もある。
それにしても、この彼我の差は大きい。日経に登場したウォーレン・バフェット氏のバークシャーハザウェイの株主総会のルポは圧巻だった。ネブラスカ州オマハという片田舎で開催された株主総会への出席者は約4万人。バフェット氏が投資しているハインツなどのメーカーがブースを並べて投資家は商品を買う。保険会社のブースでは保険の契約をする。こんな株主総会の姿は日本ではお目にかかれない。人口43万人の都市に4万人が押し寄せるのだから凄い。

今NYでは「セルインメイ」が消え「セルインセプテンバー」の声が聞かれるという。5月ではなく9月に急落するという指摘である。背景はQE3の完全停止が10月に想定され米中間選挙が11月にあること。過去FRBが金融緩和政策を停止すると、その1ヶ月前に株価指数は高値から10%下落した。だからQE3も同様だろうというのがその根拠。中間選挙に向けてはリップサービス政策が登場しないということだろうか。現政権にとって棘に道と読んでいるのだろう。いずれにしても5月にウリではないのだから、暑い夏になるのかも知れない。

(3)アジア・新興国動向
怪しい材料はMSCIのカントリーカテゴリーの見直し。
中国株がMSCI新興国株指数に組み入れられる可能性が指摘されている。そうすると現在MSCI新興国株指数に組み入れられている韓国・台湾が先進国株指数へと移動。先進国株指数に組み入れられている欧米日本の株はウェイトが低下する。
因みに日本株への売りインパクトは2000〜3000億円。
6月10日に発表予定だが、この話は昨年も一昨年も出た話で3年連続。昨年は見送られ、その後TOPIXに怒涛の買いが入ったというのが歴史だった。
3度目の正直にならなければ良いだけの話。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

24日(金)
三陸復興国立公園開園、国内生保決算、米耐久財受注、独IFO景況感指数
26日(月)
シン・インド首相が来日、メモリアルデーでNY休場
27日(火)
米S&Pケースシラー住宅指数、消費者信頼感、2年国債入札
28日(水)
米5年国債入札
29日(木)
米GDP改定値、7年国債入札、イタリア国債入札
30日(金)
有効求人倍率、消費者物価、鉱工業生産、米個人所得、シカゴ購買部景気指数


最近目にしたのはバランスオブパワー指標。
大口取引の状況を把握するために使われている指標とされる。
アメリカのドン・ウォーデン氏が考案。
大口の買いが目立つところは緑、反対に売りが目立つところは赤で表示される。
これで見るとNYに上昇している野村は4月は赤だったが5月12日頃から緑色に変化。
同様に三菱UFJは2月〜4月は赤が目立ったが5つきは月初から緑の連続。
ホンダは4月が強烈な赤だったが、この数日は緑色。
このバランスオブパワー指標は結構スグレモノかも知れない。


戻る
 
サイトTOPへ

株式投資は全て自己責任でお願いします。このサイトの情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。当サイトの掲載事項において損失をされた場合も当方は一切の責任を負いかねます。

(C)ilogos / Eimei.tv