05月1週
今週の相場感
21日(月)
金曜の売買代金は1兆1502億円と4月4日の1兆5663億円を大幅に下回った。今年 最低を記録。これは2012年12月12日の1兆627億円以来の低水準。背景はイースター休暇(NY3連休、 欧州4連休)での参加者不足との指摘。そして「これが外国人投資家の売買比率6割超マーケットの現実」との声。 一方で「閑散に売りなし」なんて解釈も聞かれる。因みに日本は先々週が下落率7.3%で週間下落率トップ。先週 が上昇率4%で週間上昇率トップ。天国と地獄の反復は「空恐ろしさを豊かさへ」を実践している。日経平均株価は 3.89円安の14512円と小幅反落。規制緩和観測報道を受けたアイフル・オリコが上昇。東京製鐵が下落。

22日(火)
大和のレポートの指摘。「3月23日の朝日新聞。安倍首相が麻生財務相、菅官房長官、甘 利経済再生相と4者会談。「アベノミクスは株価で評価されるということが分かりやすい半面、下がった時も分かり やすい」と語ったと報じた。今回は安倍・黒田会談が先週15日。麻生発言が16日。政治日程としては15日告示 の衆院鹿児島2区補選を意識した可能性がある。消費増税後の国政選挙ということで、アベノミクスの試金石と言え る。27日の投票に向けて株高を演出したいのではないかと勘繰ってしまう。6月に纏められる成長戦略の概要が明 らかになる5月。(昨年の成長戦略取り纏めは第一弾4/19、第二弾5/17、第三弾6/5、最終6/14)。消費者態度指数 は消費増税を決定した10月から下落。これは前回1997年の消費増税時と同じ推移。前回はそれでも4〜6月期 は戻った。株価も同様で4月11日がボトムだった。今回もザラ場では4月11日が今のところボトム」。日経平均 株価は123円安の14388円と続落。前場はべNY株高を好感して14600円台に乗せる場面もあったが、後 場に先物から反落。不動テトラ、東亜道路などが上昇。アイフル、サムコが下落。

23日(水)
日経1面トップは「海外長期マネー、日本株に」の見出し。経済紙なのか専門紙なのは判然 としない形態。「年明けからヘッジファンドのような短期の投資家が売り手に回り、株価は下げているが、今の水準 を割安と判断する投資家の買いが下支えしている」との解釈。「4月は買戻しや新規保有の報告が約70件と月間2 0件を下回っていた1月までのベースの3倍に急増。一方で保有を減らした報告は20件弱にとどまる」。確かに取 材の過程でも外国人投資家のヒアリングが急増しているという話しは頻繁に聞く。現場と市場のギャップは、経営マ インドと投資心理のギャップでもある。薄商いの中の反発。高値引けとはなったものの売買代金は1兆5436億円 。8営業日連続で2兆円割れ。日経平均の値幅は上下86円。4月のHSBC中国製造業PMI速報値は48.3で 市場予想と一致。4ヶ月連続で50を下回っているものの6ヶ月ぶりの改善で波乱なし。西武HDの無難な船出も悪 材料にならずひとまずホッとした市場関係者は多い。来日したオバマ大統領は「すきやばし次郎」で「人生で一番美 味しい鮨」と絶賛。あとは、魚でなく牛と豚に左右されることになるのだろうか。日経平均株価は157円高の14 546円と反発。高値引けとなった。岩崎電M、アイフルが上昇。農薬、JSRが下落。好決算でも「市場予想に達 していない」として売られる銘柄が散見される。

24日(木)
日経トップは「日米合意へ最終調整」。もしも鮨で軟化したなら悪くない方向ではある。市 場の評価はないだろうが「尖閣に安保適用」は結構なサービスとも思える。自民党の若手議員は87名も集まって法 人税減税へ決起集会。烏合の衆という揶揄の聞こえないでもない。あとは週末の鹿児島補選と沖縄市長選が気にかか るところ。日経平均株価は141円安の14404円と反落。住友鉱、日本航空電子が上昇。信越化学、アコム、サ ニックスが下落。

25日(金)
決算はアップルやフェイスブック、マイクロソフト、アマゾンが頑張ってGMが苦戦の構図 。市場が変化し、消費の方向は刻々と進化している。ところが旧来依然の企業は、ココをアップデートできていない 印象。何もアメリカばかりでなく、これは日本も一緒なのだろう。だからこその規制緩和なのだろうが、その始めの 一歩がなかなか踏み出せない。TPP交渉での既得権益と選挙重視の姿勢はお互い様。これでは、NYダウもあきれ て前日比0.00となるのも致し方なし。もっとも東京のように強い幻滅感に支配されてのマイナス展開よりはマシ だが・・・。頃はゴールデンウィーク。「GW自動車10連休」の見出しが「GM自動車10連休」に見れて仕方が ない。トヨタ、ホンダ、日産は明日から10連休。その傍らで装置の整備などに借り出される装置メーカーもあるだ ろう。
オムロンの純利益が過去最高だったことの証左にもなろう。東芝・日立は29日から6連休。一方で富士電機は長野 山梨のパワー半導体工場が無休で稼動。受注のサマはこのあたりから類推できようか。日経平均採用銘柄のPERは 14.1倍でEPSは1020円。なかなか増えてこない。今日以降の決算発表に期待というところか。日経平均株 価は24円高の14429円と小幅反発。東証1部の売買代金は1兆7578億円と10日連続での2兆円割れ。ア イフル、日立金、富士電機、川重が上昇。資生堂、オムロン、テルモが下落。

(2)欧米動向
最近のバロンズ誌のコラムは「割高でも投資する価値」。
興味深い表現があった。

PERは計算が単純な指標。
低PER銘柄が高PER銘柄を長期的にはアウトパフォームするという研究も多い。
しかし、目を見張るようなリターンは往々にしてプレミアム状態の銘柄で生じる。
マイクロソフトの1990年代のPERは40倍超だったが、株価は97倍へと上昇した。リスクが低ければ、高P ER銘柄は優良な投資対象になり得る。
NY大学大学院のアスワス・ダモダラン教授の指摘。「仮に、無リスク株式があればPERは40倍が妥当。
PERが40倍であればその逆数である益周りは2.5%。現在の米10年国債の2.6%の利回りと同水準となる 、株式の場合は、配当が毎年増加傾向にあるいので現在利回りは国債利回りより低くても良い。
これはPERの上昇を意味する。
同様に低金利は株価の魅力を高める。
問題は・・・。
リスク指標として過去のボラティリティのような不完全な代用物を用いること。あるいは主観的な査定を必要とする こと。結論としては、企業が極めて高い増収率を達成し、高いROEが伴えば高PER銘柄は妥当な投資先であろう 」。
禅問答に聞こえるかも知れないが・・・。

(3)アジア・新興国動向
あまり騒がれなくなった中国。日経でもアジアBIZ面が新設されたが、登場するのはインドやインドネシア、ベト ナム、タイ、バグラシッシュなど。しばし平穏な時期なのだろう。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

28日(月)
米中古住宅仮契約
29日(火)
昭和の日で休場、米FOMC(〜30日)、ケースシラー住宅指数

30日(水)
日銀金融政策決定会合、日銀展望レポート、黒田日銀総裁会見
米ADP雇用統計、1〜3月期GDP

1日(木)
月新車販売台数、クールビズ開始、米ISM製造業景況感、中国製造業PMI

2日(金)
失業率・求人倍率、家計調査、マネタリーベース、米雇用統計、製造業受注


GWの割には何かとイベントの多い週。

29日(火)新月&金環日食、昭和の日で休場、FOMC。30日(水)ポイントの日。日銀金融政策決定会合。 最終的には週末の雇用統計に振り回される結果になるのだろうか。4月月足陽線基準は14791円とはるか上。 昨日段階で25日線は14508円。75日線は14835円。200日線は14658円。26週線は15017 円。いずれも上に立ちはだかっている。

そろそろセルインメイの時期。
5月に天井を打つのかどうかが最大の関心事ではあろう。確かに2010年以降、5月の日経平均は4年連続での下 落。NYは10年〜12年と3年連続で下落。しかし一方で「バイインメイ」との声も聞かれ始めた。過去10年の 日経平均の5月の騰落状況は下落6回、上昇4回。NYダウも下落6回、上昇4回。所詮、リーマンショック以降に 有名になったアノマリー。流行り廃りの流れの中に埋もれても問題ないような気がする。
呪縛からの解放こそ求められている。

そういえば・・・。
アノマリーはひとつ消えつつある。
それはイースター休暇の前後3日間の株価の推移。「休暇前は上がりやすく、休暇後は下がりやすい」というもの。 1968年以降、イースター休暇後の3日間で株価下落確率は約70%。特にNASDAQとラッセル2000に顕 著とされている。因みにイースター明けの週のNASDAQ。昨年はマイナス1.95%、2012年がマイナス2 .25%の下落。もっとも11年はプラス1.89%、10年プラス2.14%、09年プラス1.24%。06年 以降6年連続で上昇していた。
「セルインメイ」のアノマリーだって所詮こんなものだろう。

目にはさやかに見えないが、底流で蠢いている動きはある、例えば国債の売買高が減少していること。日銀が債券を 買い上げているから売買が細り、商いが成立しない日も13年ぶりにあった。しかしそれだけではなかろう。201 3年の国債の売買額は04年以降で最低水準となった。相場変動率が低下し利益を出しにくい傾向が背景にあろう。
因みに都銀・地銀・生損保・外国人が売った国債の金額は899兆円。04年以降初めて900兆円を割り込んだ。 買った金額は901兆円。これも04年以降で最低水準。特に都銀の売買額の減少が目立っている。
77兆円売りの63兆円買いで前年比でほぼ6割も減った。商いのプレイヤーが減少した国債市場、取引妙味の減っ た国債市場。その代わりとなるのが、外国債券なのか、あるいは他の商品なのか。

大切なのは金利動向=債券相場の行方だろうか。
まずは日銀の金融システムレポート。
今年度前半に長期金利が2%上昇する場合のケーススタディを発表した。金融機関の自己資本比率は景気動向に関わ らず規制基準を上回るとの予測。金利がすべての年限で1%上昇した場合の金融機関の保有債券の評価損は7.5兆 円との試算。国債の保有量の減少から評価損は減るという。
興味深いのは以下のコメント。
「金利上昇に景気回復が伴えば、債券の評価損よりも利ざやの改善や株価上昇の影響が上回り、自己資本比率は上昇 する」。とてもバラ色のシナリオだし、これをベストシナリオとしているらしい、
ただ、換言すれば「バブル」という状況を想定していることでもあろうか。これは日銀が一番危惧していることなの だが・・・。

そして明治安田生命は国債のリスク管理を強化する方針を打ち出した。金利急騰の予兆が見られる場合は早期に日本 国債を売却する体制を整えたという。同社の債券保有は16.9兆円。新規投資に回す8000億円のうち3000 億円は外債に向けるという。また住友生命は日本国債購入規模を低下させる方向。そして外債を5000億円程度増 やすという。しかも今年年末の想定為替レートは108円なので1000億円程度は為替ヘッジなし。
どうも日本国債からの逃避が透けて見えてきた。
沈む船から逃げ出すネズミのような印象。
となると、マネー争奪の戦いは外債と株式ということになってくる。面白い事に、運用の現場はインフレを危惧して いる。壮大なババ抜きゲームあるいはライアーズポーカーの始まりの予感。
もっとも年率0.6%程度の利回りの国債で運用してきたのが根本的間違いではあろう。

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