04月3週
今週の相場感
7日(月)
大幅反落。とはいえ、「月満つれば欠く、欠ければ満つ」のリズム。TOPIXが9日続伸とはいいながら、ブルマインドが台頭しなかったところが相場の弱さ。あるいは相場の学習効果なのかも知れない。過去を探れば2013年4月3日〜12日までの8連騰。この時はその後5月22日まで上昇継続。2012年1月17日〜25日までの7連騰。この時は3月27日まで上昇継続。2011年2月4日から17日までの9連騰。その後短期的には3月15日まで下落し6月に反発。そして2009年7月16日から8月4日までの13連騰。8月26日まで上昇継続し、11月27日まで下落。続伸したからといって決して反落している訳ではない。しかし、どうも続伸したからの反落となってしまう気分は拭えない。解釈としても「NYは高値圏にいたし、東京は続伸していた」という曖昧模糊としたもの」。それでも根拠のない妙な説得力を持つのは、相場は上がり続けないという経験則によるものなのだろう。下落を仕組んだ誰かを探したり、隠れた売り材料を探すよりは、労力も少なく説得力もある下落の要因。だからいつまで経っても自立と挫折の相場像なのかも知れんない。日経平均株価は254円安の14808円と大幅続落。3日ぶりに15000円台を割り込んだ。新田ゼラチン、ルネサスが上昇。ヤフー、トーセイが下落。

8日(火)
日経1面は「豪州産、88%で関税撤廃」の見出し。日本企業の活躍度や農業の規制緩和が進むという解釈となった。一方でNISAには5000億円の資金流入観測。そのうち4割が女性。個別銘柄としては武田薬が人気トップ。以下、みずほ、キャノン、三菱UFJ、トヨタ、商事と続いている。日経平均株価は201円安の14606円と続落。証券・自動車セクターが下落。アコム、太平金が上昇。

9日(水)
黒田日銀総裁の会見。夕方の東京ではなく、夜のNYで反応しての円高トレンド。どうせ夜のNYで反応するなら、わざわざ生中継を行う必要もなかったともいえる。それにしても、何でも欲しがる為替市場参加者。あるいは、なんでも気にしているようで本筋には無頓着なような為替市場。何かを期待し、期待が萎めば容赦なく叩く為替市場。国家経済にほとんど貢献することもないのに株式市場にとっては迷惑な存在。上がり下がりの判じ物でしかないだろうに、材料だけは国家的。そもそも円相場なんて、海外投資家にとってそんなに興味のあるものでもなかろう。毒された気配は治りそうもない。日経平均株価は307円安の14299円と続落。3月20日以来の安値水準となった。地所、三井不動などが下落しほぼ全面安。マニー、東洋電機などが上昇。

10日(木)
4日続落までの法則はまだ生きていたようである。日経平均は4日間で約770円の下落。木曜安のアノマリーは消え、5日目の反発のアノマリーの方が勝った印象。そもそも、NYがモメンタム株の下落を言い出したあたりから変ではあった。というよりもどういう訳か海外動向の懸念が東京株式市場の下落を招いたような論調。しかし、実際は、海外の問題ではなく、国内機関投資家の志の低さがこの体たらくの主因なのだろう。日経の指摘は「年金、外資台頭の波紋」。GPIFが先週末に日本株の委託先を6年ぶりに見直したこと。国内運用会社を減らして、外資系を大幅に増加させた。理由は「個性豊かな運用手法だから」。その結果「横並び投資は終焉。個別株の選択が加速しそうだ」との見通し。臆病極まりない年金からさえも愛想を尽かされた構図。そして「外国人投資家が売りそうな銘柄を先回りして売っている国内機関投資家)との指摘。国内勢4社と信託が除外された年金運用。新たに入ったシンガポールのイーストスプリングスのコメント。「日々のニュースに一喜一憂せず、バリュー投資で成果を上げていきたい」。一喜一憂していたのは国内勢と言う構図が浮かび上がってくる。勇ましく立ち向かっていたら知らぬ間に背中に刃が向けられていたような印象。日経平均株価は0.43円高の14300円と5日ぶりに極く小幅に反発したもののTOPIXは続落。ファナック、オリンパス、TDKが上昇、ファーストリテ、トヨタが下落。

11日(金)
オプションSQの日。指数寄与度の高いファーストリテは前日引け後に下方修正を発表。何とも間の悪いタイミングではある。一方で日経トップは「小売7割が増収増益」。小見出しは「増税の影響、下期回復」。おまけが民間エコノミストのESPフォーキャスト調査。4〜6月の実質GDP見通しはマイナス4.04%。7〜9月はプラス2.27%までの回復見通し。元に戻らないまでも、消費増税の影響は6月は終焉。夏は明るくやって来るとのご宣託。永田町と霞ヶ関には都合の良い見通し。日経平均株価は340円安の13960円と大幅下落終値ベースでの14000円割れは約半年ぶり。NY株下落を受けた全面安のなか東証1部の売買代金は2兆4143億円と拡大。業績下方修正のファーストリテ、ソフトバンク、証券・メガバンクなどが下落。ホンダ・住友鉱が逆行高。

(2)欧米動向
米投資雑誌バロンズの指摘。
「金曜の急落は午前11時過ぎのバイオ・ハイテク・ソーシャルメディア関連株の急落が端緒。
この市場の動きはグロース株からバリュー株へ物色対象の転換という2月からの相場の動きを象徴する動きだった。
投資家は2013年の相場をけん引した銘柄を売り、史上最高値近辺のマイクロソフトや52週線近辺のインテルなど退屈な配当銘柄に乗り換えた。
2月から売られているのはモメンタム株。モメンタムが変われば下落もは早いという声も聞かれる。
そして、ポイントは月曜日だという。
最近値動きが安定している従来型のハイテクセクターや高配当銘柄の動きが今後を示唆している」という。

そもそもモメンタムとは買われ過ぎとか売られ過ぎとかを測定する指標。純然たる指標だけの話で業績もなにも関係ない白物。しかしバロンズでさえもこんな声に左右されるところを見ると、ある意味相場は病んでいるのかも知れない。
もっともらしく聞こえる分析ほど、真実から遠いというのがママあること。今回もそうであって欲しいもの。

それにしても「モメンタム(勢い)」とは便利な言葉に思える。「モメンタムを失えば、株価は一気呵成に下げる可能性が大きい」。モメンタムを勢いと置き換えてみれば、小学生でも導ける定理。
「勢いを失えば株価は下がる」。
それを、真剣にストラテジストやアナリストがパクッて論じる世界の空しさ。問題はどうして勢いを失ったかどうかだろうが、この答えは見つかっていない。ヘッジファンドの決算という怪しげな解釈は横行しそうだが・・・。

(3)アジア・新興国動向
16日(水)に中国の1〜3月GDPが発表される。異常な早さだが「どうせ計画的数字しか出ないのだろう」と市場関係者のコメント。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。

14日(月)
米小売売上高

15日(火)
首都圏マンション販売、米消費者物価、
NY連銀景気指数、独ZEW景況感

16日(水)
2月鉱工業生産確報値、黒田日銀総裁が信託大会で挨拶、 米住宅着工件数、鉱工業生産、ベージュブック、NY国際自動車ショー、中国1〜3月GDPほか経済指標

17日(木)
消費動向調査、BBレシオ、日銀支店長会議、
米フィラデルフィア連銀景況感、メキシコ・フィリピン休場

18日(金)
失業率、有効求人倍率、家計調査、米個人所得、
ミシガン大学消費者信頼感聖金曜(イースター)で米・欧州・アジアなど主要市場休場


株式市場というのは、失った値上がり益と被った値下がり損の組み合わせ。そして実現益プラス評価益と実現損プラス評価損のゼロサムでもあろうか。
海外の強烈なマーケットモンスターから市場の平穏さを取り戻すことはもう無理なのだろうか。
農協は規制緩和の方向だが、市場も規制はなかなか難しい。
やはり失われた主導権を取り戻すことが必要な気もする。
そもそも自国民の取引が半分に達しない市場はどうも歪であるような気がする。
だから好業績のトヨタの株価が軟調という笑えない現実が存在しているのだろう。

週刊ダイヤモンドの特集は「ぼろ儲けをしたのは誰だ」。
見出しはセンセーショナルである。登場しているのはヘッジファンドやその売買を仲介している業者。
彼らの昨年のパフォーマンスが指数をオーバーパーフォームするほど秀逸だったとは聞かない。それでも超高速取引などによる鞘取りで儲けたらしい。
印象に残るのは市場関係者のコメント。
「劇薬を飲んで真の投資家を追い出したツケがここにきて出ている」。
コレを受けてかどうか日経の社説は「超高速取引を直視し市場の質高めよ」と格調高い。結論は「日本市場の監督・運営者は超高速取引などで一般投資家が不利益を被っていないかどうか目を光らせるべきだ」。
今更の感はある言葉ではあるが、ないよりはマシだろうか。

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