04月1週
今週の相場感
24日(月)
どうも紙面の表現や取材の結果と市場の動向が違うような印象。日曜の日経では「消費増税影響軽微7割」の見出し。社長アンケート100人の結果である。駆け込み需要は予想を下回っているとの回答が3割。景気が9月頃まで上向くという回答は55%。主要企業だけは、さほど消費税を悲観していない様子。また月曜の世論調査では「消費増税後も支出維持」という回答が51%。安倍内閣の支持率も59%と3ポイント増加。 この紙面の動向心理とチグハグな相場展開というのがどうも奇異に映ってならない。中国HSBCのPMIは48.1で3ヶ月連続で50割れ。しかも2月よりも悪化したのに今回はものともせず。2月分の上方修正もあったが、所詮ご本尊ではなかったというころ。日経平均株価は251円高の14475円と大幅反発。東証1部の売買代金は2兆6814億円。パナソニック、井関が上昇。三菱UFJが下落。

25日(火)
東証1部の値上がり1073銘柄。同値下がり655銘柄。それで日経平均は50円安。TOPIXは0.6ポイント高。違和感のある展開だった。ソフトバンクとファストテリの2銘柄で日経平均を約47円押し下げ。とういうことはこれがなければ日経平均も前日比変わらず。指数の悪魔的存在の一端でもあろう。それでも懲りずにJPX日経400の先物が登場する方向。現物ではなく先物が登場したときが全体相場は危ないというのが経験則。「運用会社からは精緻な運用を求めて先物を早く上昇して欲しいという声」とのコメント。精緻な運用ではなく、利己中心的に売り崩しとヘッジをしたいというのが本音だろう。 それを「精緻な運用」と呼ぶならば、それはそれで良しなのだろう。 もっとも、指数が誕生した時点で、先物の登場は規定路線。現物指数などほとんど運用面からは意味をなさないのも現実である。日経平均株価は52円安の14423円と小幅反落。セブンアイ、住友不が下落。三井住友FGが上昇。

26日(水)
日経1面の「増税前夜」の特集が興味深い。前日はOLCの消費税分の値上げとセブンアイ傘下のデニーズの2000円超ステーキが紹介された。300円牛丼の吉野家と270円牛丼のすき屋も登場した。品質なのか節約志向なのか。ある意味デフレとインフレの分水嶺でもある。ただどうもマスコミ論調はいわゆる現実を乖離して贅沢思考を煽る格好。そして花王の洗剤が登場。「クリーニングから洗濯機」への節約志向である。 自宅での髪染め増加ならばヘアカラー。このところのミルボンの株価の堅調さの背景なのだろう。一方で高島屋の1000円クーポン作戦は贅沢思考的。富士重工の300万円前後のスポーツワゴン「レヴォーグ」の好調も贅沢的。もし適うならば贅沢チックの方を選びたいし、そうでないと景気など良くなる筈がない。そもそも1600兆円も家計資産があるのだから、欲しいものさえ提供されれば買いに来る筈。政策も重要だが「欲しいもの」があることはまずは大前提だろう。日経平均株価は53円高の14477円と小幅反発。三井物産、富士重工が上昇。ソフトバンクが続落。

27日(木)
日経マーケット総合面では「株、高値目指す展開」の見出し。サブは「新年度相場見通し、好業績に期待」となっている。「今後半年の間に高値を目指すとの見方が多かった」。その一方での免罪符。「もっとも中国経済の先行き懸念なども根強く一本調子の株高を予想する声は限定的」。 業者や機関投資家などの9月末までの想定は「13500円〜17000円」。コレは換言すれば「1万円〜2万円」とそうは変わらない数字。というよりも市場が聞きたいのは「13500円」なのか「17000円」なのかということ。どちらにしても風景は相当違っているのに「〜」が着くと妙に「そうかな」という気にもなる。第一に株価が半年間もほぼ同じ水準にはいないだろう。トレンドがない時間が半年も続くとは思えない。要は上がっているのか下がっているのかが問題なのだが、どうも玉虫色で済まされる。 権利配当落ち日。新年度入りは、相場にとって新年でもある。落ち分の予想は約102円との観測。このところ例年80〜90円程度だったので企業側の増配傾向などがうかがわれる。102円と言うのは過去最高だろう。日経平均株価は145円高の14622円と続伸。即日で権利・配当落ち分を埋めて幸先良いスタート。トヨタが4日続伸、セブンアイが上昇。一方武田薬、野村が下落。

28日(金)
日経では「上昇企業は強い企業へ自社株活用」の見出し。買収やグループ再編に自社株を活用するケースが増加しているという。上場企業が抱える自社株は約16兆円というし、筆頭株主が自社というケースがファナックなど300社を超えるというから凄い。また公務員年金も運用を見直し、国債中心から株重視の方向に移行するという。NYに比べて約1年遅れで債券→株式への流れが来るのならば、相場には明るいニュースにはなる。日経平均株価は73円高の14696円と3日続伸。三菱UFJなどメガバンク、証券セクターなどが上昇。一方パナソニックが下落。

(2)欧米動向
米投資雑誌バロンズ最新号のコラムは「過渡のとき」。

世界経済の同時回復がようやく予想されるようになった。

一方世界市場は指針なき混乱。2014年は過渡期の1年となりつつある。暫くの間、地球は金融危機から立ち直るという喫緊の課題のために団結していた。しかし強気相場も中年期にはいった。成熟しつつある世界的景気拡大はいくつかの転換点に直面している。
ギリシャ国債の価格はこの1年で86%上昇。株価も52%上昇した。スペインでは10年国債の利回りが200年ぶりの低水準まで急落。イタリア10年国債の利回りも戦後最低水準に近づいている。
「資本は流動性が潤沢で、厳しい改革が実施されている場所へと容赦なく流れる」。BOAのチーフストラテジスト氏のコメントである。日本がデフレからインフレへと方向転換する一方、中国はレバレッジと投資から個人投資、バランスの取れた持続可能な拡大へと舵を切っている。中国の2014年予想PERは約8倍まで低下。ETFからの資金流出は過去最高を記録。中国経済のリバランスは長期化し難航するという証拠でもあろう。
一方でアメリカは流動性全開での低成長から流動性を絞りながらも成長率を上げることに容易に成功しそうに見える。もっとも・・・。「先週のイエレン発言で市場の利上げ観測が前倒しになる、第2ランドが始まった可能性」。という指摘も聞かれる。「問題は市場が今回も敗北を余儀なくされるのかどうかだ」。強弱いろいろな見方があるもの。

ウクライナ問題でアレコレ。
オバマ米大統領は「EUへの天然ガスの輸出を容易にしたい」とコメント。「欧州のエネルギー資源の多様化の必要性と、それをどうやって実現するかを理解している」。言葉は綺麗である。しかし本音は「米国からのシェールガスの輸入が容易になる」。在庫が拡大しているシェールガスの処理方法としてはまずは中国へ「分けてあげる」。

そして日本にも「分けてあげる」。
欧州にも「エネルギー資源の多様化」という美辞麗句で「分けてあげる」。「分けてあげる」ならば崇高だが、実際は「処理して欲しい、買って欲しい」。有り余るシェールガス・シェールオイルの処理に悩殺されたアメリカの構図は理解すべきだろう。そして、これが今後も世界の地政学の行方を左右するに違いない。言葉の表と裏はいつも違うもの。「投信を買って欲しい」と勧めるよりも「人気のある投信を分けます」と言う方が売れるのと一緒。綺麗な言葉の裏側にある本質を見ると、人の悪さが出てくる。逆に言えばロシアは「飛んで火にいる夏の虫」だったのかも知れない。

(3)アジア・新興国動向
中国政府のPMIが50ポイントを上回るかどうか。ブラジルの利上げトルコ経済の減速などが注目点。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
31日(月)
鉱工業生産、住宅エコポイント交換期限、ANAのジャンボが全部引退
米シカゴ購買部教会景気指数、習近平国家主席EU本部訪問、札幌遠征

1日(火)
・日銀短観、消費税率8%に引き上げ、環境税増税、海外渡航自由化から50年
・貿易保険の上限を最大3倍に引き上げ、株式売買単位を100株と1000株に米ISM製造業景況感

2日(水)
・3月マネタリーベース、米ADP雇用統計、製造業受注

3日(木)
・米貿易収支、ISM非製造業、ECB理事会、ドラギ総裁会見

4日(金)
・異次元の緩和1周年、米雇用統計


3月10日〜19日の外国人投資家の日本株売り越しは9700億円。
週間では1987年のブラックマンデー時以来(1兆1220億円)の大きさだった。 ウクライナ問題の影響もあろうが、この週はメジャーSQ。SQに伴っての売りが大きかった影響なのだろう。あるいは昨年15兆円も買い越した部分の利益確定もあろう。ドル建て日経平均は株高が円安で消されて大した上昇率ではないという指摘もある。それにしても、売買の6割を占めている外国人投資家の動向に一喜一憂。相変わらず占領された市場という感は否めない。ただ、1987年にブラックマンデーで付和雷同的に売り崩された東京株式市場。その後2年間は肥え太った歴史があったのも事実。歴史を繰り返すのか、新たな次元にワープするのか。その分水嶺でもある。

相場が安ければ弱気の解釈。
相場が高ければ強気の解釈。
同じ材料なのに、市場展開如何で解釈のトーンが180度変化するのが株式市場。だから猫の目のようにクルクルと平然と解釈が変換する。解釈に一貫性が見られることは稀で昨日の弱気が今日の強気は当たり前。「マーケットは時々刻々変化するもの」という錦の御旗にはかなわない。この刹那的な解釈に慄いたり、騒いだりするから術中にはまるようなもの。一歩離れて解釈してみれば、誰が見ても非自然で稚拙な解釈でも、渦中にいると、その稚拙さが見えないもの。たぶん今に始まったことではなく、相当な時間がこの日替わり解釈に費やされ、それが続いてきたのだろう。
浮沈する材料のその浮き具合を見極めることこそ必要だろうが、相場のリズムを図るのと同様になかなか難しいもの。

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