03月4週
今週の相場感
17日(月)
NYダウは5日続落。ということは前週は毎日前日比マイナスでの展開。NASDAQとS&P500は水曜がプラスだったので2日続落。一方欧州では英国FTが6日続落。仏CACが4日続落。独DAXは4日ぶりの反発。そんな中前週の日経平均は月曜153円安→火曜103円高→水曜393円安→木曜14円安→金曜488円安。週末にかけての3日間で約900円の下落は効いた。背景は、クリミア半島をめぐるウクライナ情勢。だったら独DAXの小幅反発が理解できないところ。むしろ、中国の人民元の変動幅が2%まで許容されたことの影響方が大きいような気がする。相当長い時間軸で人民元高を予測していた向きにとっては嫌な動き。そして中国そのものの経済に対する懸念の高まり。どうもご本尊はこちらのような気がする。そもそも欧州問題が登場しては消え、ハザマにはだかるのは中国問題。しかし根っこはNYの金融バトルというのがいつもの構図。今回もこの図式は当てはまっているような気がする。多くの意味で主役がなかなか登場しないのが市場。悪材料にしても買い方売り方にしても、本尊の登場でいつもフィナーレを迎える。そして新たな旅立ちへと向かうのがお約束となっている。しかも内憂外患ではなく、内楽外患にもかかわらず、いつもとばっちりを受けるのが東京市場。戦場や炭鉱のカナリアではない筈だが、どうもリトマス試験紙の役割分担が多すぎる。 海外事情の悪化の一方での個別企業の業績向上はかき消されてかわいそうという声も聞かれる。日経平均株価は49円安の14277円と続落。日立、ニコンが下落。トヨタ、クボタが上昇。

18日(火)
秋になれば紅葉して落葉。春になれば目が出て花が咲く。相場も一緒。雑音や騒音にかき消されても、リズムは変わらず動いている。たとえば続落の記録。今年になって、というよりもアベノミクス誕生から日経平均は4日続落までで反発。たとえば3月12日→17日、。2月26日→3月3日、1月30日→2月4日、1月23日→28日。もしも1月29日の水曜日に403円高していなければ9日続落になていたところ。昨年は10月2日→7日、7月24日→29日、4月26日→5月2日、2012年は11月5日→13日に7日続落。11月14日に野田前首相の「解散しますか」の一言で日経平均は3円高の8664円と反発した。NYダウは今年は5日続落がお約束の印象。3月10日→14日、1月21日→27日、昨年は11月29日→12月5日、9月19日→9月25日、8月14日→8月21日の6日続落がその前の記録。相場は下げ続けることはないし、上げ続けることもないもの。ところが、渦中にいると、下げが未来永劫に続くように思えてくる。上げの狂喜乱舞が永遠にありそうに思えてくるもの。限界があるような気にはなれないもの。でも実際は値幅にしても時間軸にしても限界が必ずあるもの。毎日下げ続けて、指数がゼロになることなどあり得ないのに、どこまでも下げるのではないかという懐疑と恐怖。この心理に乗じた相場シナリオが市場を席巻しているのだろう。日経平均株価は133円高の14411円と5日ぶりに反発。住友大阪セメントが上昇。トヨタ、ホンダが下落。

19日(水)
「対ロシア制裁は想定内」との解釈が聞かれる。本当に想定内なのかどうか。クリミア半島の併合も想定内なのかどうか。きっと中国のシャドーバンキング問題で何か登場しても想定内にしてしまうのだろう。市場に想定内などある筈がない。想定内がないからこそ絶対的勝者が君臨していないのだろう。それでも想定内というコメントを持ち出すなら、それは市場に対する冒とくでもある。金融庁の姿勢が少し変化した。中小企業金融円滑法案に基づいた返済猶予の方向から転廃業の促進。昨年3月に途切れた法案を、今元に戻そうとする姿勢。「仮に廃業になったとしても工場跡地など資産をマンションなどに有効利用できる」。そんなコメントも見られる。地価が戻りつつある都会ならイザ知らず地方でまかり通る論理ではない。あるいはさらに空気を仕切った建物でこの国を満たそうというのだろうか。ある意味で、アベノミクスの影の部分でもあろうか。そして消費税の引き上げ。エール大学の浜田教授のコメント。「消費税率の再引き上げは、年率2〜3%への実質経済成長率を見通せるかどうか」。 これが判断基準だという。慎重な意見ながら、年率3%程度のGDP。無理な相談ではなさそう。もう一人日経に登場したのはシラー教授。「米国の住宅はバブルではない」との指摘。そして株式にも言及した。「割高な業種を避ければ、米国株にはまだ投資機会がある。例えば医療関係、エネルギー、金融、ハイテクなど」。日本株については「1989年に比べかなり低い水準にとどまっていることは驚きだ。 個人的には日本株への投資を増やしたい誘惑にかられるがそうしてはいない」。ノーベル経済学賞受賞の教授の見通しが正しいのかどうか。あるいはどんな媚薬を嗅いだのかが興味の対象。日経平均株価は51円高の14462円と小幅続伸。ファーストリテ、ファナック、KDDIが上昇し指数を押し上げた格好。武田薬が上昇、国際帝石が下落。

20日(木)
3連休前の木曜日は238円安の14224円と大幅安。売買代金は2兆2366億円とやや増加した。FRB議長の来春ゼロ金利解除コメントと嫌気した部分からの円高。これが効いたという解釈もある。一方で、3月10日〜19日の外国人投資家の日本株売り越しは9700億円。週間では1987年のブラックマンデー時以来(1兆1220億円)の大きさだった。ウクライナ問題の影響もあろうが、この週はメジャーSQ。SQに伴っての売りが大きかった影響なのだろう。あるいは昨年15兆円も買い越した部分の利益確定もあろう。ドル建て日経平均は株高が円安で消されて大した上昇率ではないという指摘もある。それにしても、売買の6割を占めている外国人投資家の動向に一喜一憂。相変わらず占領された市場という感は否めない。ただ、1987年にブラックマンデーで付和雷同的に売り崩された東京株式市場。その後2年間は肥え太った歴史があったのも事実。歴史を繰り返すのか、新たな次元にワープするのか。その分水嶺でもある。個別では不動産セクターが軟調。ファナックが3日続伸。

(2)欧米動向
最近のバロンズ誌のコラムは「制裁措置に備えて米国外に証券資産を移したロシア」。

21世紀の世界において、国際紛争を左右するのは、国家の軍隊の規模や多くの兵器よりも国家の富なのかも知れない。
FRBが13日に発表したデータによると、カストディ残高(FRBが海外の中央銀行などから預かっている米国債など)は12日までの1週間で1000億ドル以上も減少した。
これは過去最大の減少幅であり、2番目の減少幅の3倍以上だった。
制裁措置が課されれば、保有している米国債を手放すと脅していたロシアの仕業が疑われた。
プーチン大統領の顧問氏のコメント。
「ロシアは相当な額の米国債(2000億ドル以上)を保有している」。
しかし売り払ったのではなく凍結されないように証券資産を米国外に移した可能性が高い。

もうひとつ。
米国は戦略石油備蓄から最大500万バレルを「試験的に」売却するという。
その量は6億9600万バレルある備蓄の1%にも満たない。
ウクライナの問題で、欧米がロシアに対する制裁手段を模索している時期。
米国の戦略備蓄の一部が売却されるというのはかなり都合の良い偶然である。 2013年、ロシアは最大の産油国だった。
石油と天然ガスはロシアのGDPの20%、輸出の70%、連邦歳入の52%を占めている。

そして銅価格の下落。
銅は低金利の米ドル融資の担保として使われ、
その米ドルが今度は高利回りの人民元資産に投資される。
これは中国の信用・資本規制を迂回するためのからくり。
ところが中国が人民元安の方向に変身したので銅キャリートレードを巻き戻した。
その結果担保だった銅を売却せざるを得なかった。
まさに弱肉強食の抜け目ない悪魔の世界がかいま見える。


(3)アジア・新興国動向
過去2ヶ月相場かく乱要因だった中国のHSBC製造業PMIが月曜に発表予定。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

24日(月)
デリバティブ市場を大証に統合、シカゴ連銀活動指数、中国HSBC製造業PMI、日米韓首脳会談の可能性
25日(火)
気候変動に関するIPCC総会(横浜)、米新築住宅販売、ケースシラー住宅指数、2年国債入札
26日(水)
企業向けサービス指数、米耐久財受注
27日(木)
3月配当権利落ち、米10〜12月GDP確報値、7年国債入札、中国工業利益
28日(金)
失業率、有効求人倍率、家計調査、米個人所得、ミシガン大学消費者信頼感


為替の微変動を声高に伝える市場関係者は多い。たかが10銭程度で大きなトレンド変換でもないのに大袈裟に「円高方向に向かっています」。この声高く麗らかな相場伝達が必要なのかどうなのか。24時間為替変動に晒されて気持ちよいのかも知れないがどうも理解できない。相場は相場、休みは休み。このメリハリがなくいつも端末に支配されていてそれでいいのかどうか。欧米の地図上では東端に位置する東京だからこそ欧米の時間軸に縛られるのは仕方ないかも知れない。しかし四方を海に囲まれた日本は大陸で隣国と接している欧州とは事情は違う。あるいはアメリカだった偉大なドメ国家であり、あちらもこちらもドルを気にしてはいない。
そもそもドル紙幣以外を見たことがない人ばかり。そういう意味でこの国のFX浸透はある意味で不思議な現象。何も経済的産物を産まない為替に群がり、ああだこうだと相場論議。見たこともないクリミア半島から行ったこともないアルゼンチンやトルコも既知の世界。誤解と錯覚を生じやすい風景となる。

海外を気にする傾向は株式市場も何ら変わりはない。そもそも商いの6割を海外投資家が行っているという現実。言葉を変えれば市場が占領されていると言っても過言ではないだろう。
市場参加者や市場関係者に占領された意識など全くないだろうが、実体はどうもそんな気がする。自国の市場を自国では如何ともしがたい状況。そして外国人投資家無誤謬という舶来信仰は間違いなくある。市場は開いていても主役は海の向こう側。そしてその主役の大見得を待っている。これで市場が振興するのかどうか。牛耳られた歴史など記憶の彼方だが・・・。
年に一度の年度末。春爛漫一歩手前。でも相場は湿って火がつかず。いずれ初夏の暖かさや真夏の灼熱の太陽も出てくるのだろう。3月は前半安→後半高との指摘が聞かれる。SQまでは国内機関投資家の売り、SQ後は権利配当取りと貸し株の戻し。構図としてはスッキリする論理。
1989年以降の過去25年間ではSQ前が11勝14敗。SQ後は15勝10敗。たしかに該当している。
2000年以降の14年間ではSQ前が7勝7敗。SQ後は10勝4敗。さらに確度が高まっている。
権利落ち日のTOPIXの配当の再投資は1250億程度との観測。
気休めにはなる。節分底→啓蟄小天井→彼岸底になって欲しいもの。


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