12月3週
今週の相場感
(2) 欧米動向
米議会の与野党協議で2年間の連邦予算の大枠が合意。
14年1月15日を期限とする暫定予算の失効が回避される見込み。
財政問題の一つが解決し金融緩和策縮小に向けた環境が整ってきているとの見方。
だから株安?
雇用が良くても株安だった時期は去ったが、財政の崖の一部が回避されても株安。
どこかおかしい解釈を滔々と語る方も語る方だが・・・。
こんなときはストラテジスト馬渕氏の見解がきっと正しい。
結論は「10月のべースマネーは前年比37%増、M2は同6.8%増。
米国は金余りではない。
うなるほどのマネーが流入していたという見方からはほど遠い。
米国の雇用者数はリーマンショック前のピークに回復してはいないが、仕事量は増加。
労働時間が延びて雇用者の週当たり総所得は市場最高水準。
小売売上高はリーマンショック前のピークを抜いている。
これが史上最高値をつけたNY株高の原因だ」。
皮相的な需給だけからマーケットを展望するような薄っぺらな相場観とは違ったコメント。
一味違う。
(3)アジア・新興国動向
豪ドルについての大和のレポート。「2014年は住宅投資が回復軌道で推移し、景気回復を牽引しよう。資源関連投資は既にピークを打ったため、資本財輸入の減少が続く見通しだ。鉄鉱石などの輸出は底堅く推移し、純輸出が引き続き経済成長率を押し上げると予想される」。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
16日(月)12月日銀短観、首都圏新規マンション販売、米鉱工業生産、NY連銀景況感
17日(火)米FOMC、消費者物価、2年国債入札、独ZEW景況感
18日(水)貿易統計、訪日外国人数、米バーナンキFRB議長会見、住宅着工件数、独IFO景況感
19日(木)日銀金融政策決定会合、米中古住宅販売、フォラデルフィア連銀景況感、CB景気先行指数、EU首脳会議(ブリュッセル)、スペイン国債入札
20日(金)黒田日銀総裁会見、バニラエア就航、米7〜9月GDP確定値
米バロンズ誌では「アベノミクスと財政の崖」のコラム。
↓
日本の消費税引き上げは実質所得を減らす。
日本の家計は貯蓄率を減少させるのではなく、消費を削ることになるだろう。
となると今年度の13兆円の刺激策に足してこの先2年度で26兆円の追加支出が望まれる。
これは消費税の収入を相殺し、債務の一段の増加へとつながる。
怖いのは経常収支の赤字転落。
来春に日本は財政の崖から崩落する。
日本の財政は更なる景気刺激策や消費増税先延ばしには耐えられない。
余りに恐怖感を煽ってくれる売り方からは礼賛されそうなコラム。
結論は「日本経済は目前に迫った列車事故であり、株式市場も崖を超えてその後を追うだろう」。
筆者は「ハイ・フリークエンシー・エコノミックス」の主任エコノミスト氏。
時宜を得た売り方のあがきと見るか、正しいエコノミストの意見と聞くか。
どちらでも構わないが、来年以降も東京株式市場が更に増大する邪魔にはなりそうもない。
日経平均が終値ベースでの高値をつけたのが12月3日。
5月22日の15727円を抜いて15794円。
「今年の相場は5月で終わり、年末までは抜くことがないだろう」。
そうみていた多くの市場関係者にとっては苦々しい動きだったのかも知ない。
現金なもので、市場の論調は「年内16000円も」なんて声。
指数のメドを聞いていると、しばしば変更されそのほとんどは現値の1000円上下で推移。
そもそも15000円にしろ16000円にしろほとんど根拠の希薄な数字。
数字の遊びのような気がしないでもない。
先物だけがすべてのような市場心理が醸成されているがほとんどの投資家にとって関係するのは「私の株はどうなるの」。
でも、指数ばかりが、特に日経先物ばかりがマーケットであるかのような市場論調にかき消されて「私の株」はどこかへ追いやられてしまうような格好。
「ヒューッチャーこそが市場を支配している相場」なんて愚かな騒ぎには乗らずに、地道な企業選択を心がけることの方が大切だろう。
企業実態も理解せずに、数字と図表だけで市場を理解させようとする方向にはどうも疑問。
抽象的にされてわかったつもりになるよりも常に具体性を求めた投資姿勢の方がいいような気がする。
ROEだけが企業のすべてなのかどうか。
それよりも明確な未来像へ向かって進んでいるかどうかの確認の方が本来は必要な作業だと考えたいもの。
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