11月3週
今週の相場感
(2) 欧米動向
先週発表された米雇用統計を細かく見ていくと・・・。 過去1年間の毎月の増加数の平均は19万人超で「労働市場の力強さが増している」との指摘。 ただ10月は労働人口が72万人減少。 労働参加率は62.8%で1978年3月以来の水準に低下。 就業者数は73万5000人減少。 10月の雇用増はすべて民間部門で政府部門は8000人減少。 時間当たり賃金は前月比2セント増の24.10ドルで前年比では2.2%増。 雇用減少→金融緩和維持→株高。 雇用増加→金融緩和縮小→株安→景気実態良好観測→株高。 このねじれた解釈こと真骨頂なのだろうか。

バロンズ誌に登場したエドワード・ヤルデニ氏。 元ドイツ銀行のチーフ・インベストメント・ストラテジスト。 1980年代に債券ウリを行った投資家たちを「国債自警団」と呼んだことで有名な御仁。 「30年以上に投資アドバイザーを務めてきた」と紹介されている。 当方も時間だけは30年以上マーケットに携わっているが・・・。 氏の予想はS&P500は2014年に2014に達する。 背景はEPSが今年110ドル、2014年は120ドル、2015年は130ドルと予測。 妥当なPERを15.5倍と想定すると2014年末のS&P500は2014とした。 話題としては面白いが、最も良かったのは以下のくだり。 「投資ストラテジストとして、異なった分野にも目を向ける必要がある。 投資とは結局のところ人々の行動予測だ。 映画を見て小説を読んで、人々が何に注目す何が重要かを理解すれば予想がうまくなる」。 株バカになってはいけないという戒めだろう。 そういえばNY大学のルービニ氏。 「減税が米国の財政赤字を悪化させ、米国をリスクにさらす」と警告。 そして一部の声は「米国の財政状況は欧州よりも悪い。 ドルは今のところ欧州諸国の債務問題に焦点が集まっていることで下落を免れている。 欧州の状況が安定すれば米国債やドルは下落するだろう」。 万が一この流れに沿っているのかも知れないとすると「豚は太らせてから」になるのだろうか。 でもこの弱気が結構心地よく感じる局面。

(3)アジア・新興国動向
21日発表予定のHSBCの中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が注目される。いつも間にか中国景気は話題の外。荒れそうで荒れない状況にむしろ安心感さ漂い始めた印象。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
18日(月)首都圏マンション販売、米NAHB住宅価格、日中経済協会訪中団
19日(火)日EU定期首脳会議、米BBレシオ、独ZEW景況感
20日(水)日銀金融政策決定会合(〜20日)、貿易収支、コンビニ売上高、BBレシオ、東京モーターショー(ビッグサイト〜12月1日)、米小売売上高、中古住宅販売、FOMC議事要旨
21日(木)日銀総裁会見、米卸売物価、フィラデルフィア連銀製造業景況感、中国EU首脳会議、中国HSBC製造業PMI、スペイン国債入札
22日(金)独IFO景況感指数

「ハロウィンには戻って来いよ」の声が聞こえたのかどうか。 感謝祭(11月第4木曜日)の前日と翌日の日経平均は騰がることが多いというのもアノマリー。 そしてなぜか高いブラックフライデー(感謝祭の翌日)前後というのもアノマリー。 アノマリーは「日本株も強い11月最終週」。 昨年まで過去13年連続で11月最終週を含む週の日経平均は連続高。 2011年は5.9%、昨年は0.96%。 2010年1.29%、09年10.28%、08年7.16%、07年6.28%。 06年3.81%、05年3.99%、04年2.02%、03年2.84%。 どんな相場つきの時も11月最終週は確りしていたのが相場の歴史。

興味深い資料はJPX日経400のトラッキングレコード。 TOPIXのパフォーマンスと対比している。 JPX400を(A)、TOPIXを(B)としてみると・・・。 06年8月末から07年8月末(A)2.0%、(B)マイナス1.1% (A)ー(B)は3.1%。
07年8月末から08年8月末(A)マイナス22.6%、(B)マイナス22.8% (A)ー(B)は0.2%。
08年8月末から09年8月末(A)マイナス21.9%、(B)マイナス21.6% (A)ー(B)はマイナス0.3%。
09年8月末から10年8月末(A)マイナス12.6%(B)16.2% (A)ー(B)は3.6%。
10年8月末から11年8月末(A)マイナス3.0%、(B)マイナス3.1% (A)ー(B)は0.1%。
11年8月末から12年8月末(A)マイナス1.6%、(B)マイナス3.3% (A)ー(B)は1.7%。
12年8月末から13年8月末(A)41.9%、(B)44.3% (A)ー(B)はマイナス2.4%。
06年〜08年では(A)マイナス2.5%、(B)マイナス3.4%。 その差は0.9%。

つまらない数字の羅列だが、結局大同小異と見るか、いや大きな差と見るか。 個別銘柄の出来ないファンドにとっては良いのだろうが・・・。 同じ株式市場でも個別と全体ではまるで風景は違うという好例でもあろうか。 数字をひっくり返して楽しむのも相場。 相場を織り成す人間模様や企業の現実に触れて楽しむのも相場。 どちらに軍配が上がるのかは不明ながら・・・。 抽象思考ではなく具体思考で行きたいもの。

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