10月4週
今週の相場感
(2) 欧米動向
リーマンショック以降、アメリカの政治の舞台であるワシントンのもたつきに対して、経済の舞台であるウォールストリートは常に株売りでの催促をしてきたのが歴史。でも、今回の債務上限問題については、「楽観視」という言葉を用いての株買いでの催促のような印象だった。売って危機感を煽って政治に迫るよりは、逆に買って無視する姿勢、あるいは気にしていないというメッセージ。表裏一体、紙一重と言われるかも知れない。あるいは単なる相場観の違いと片付けられそうなことかも知れないが、市場の行動としては170度くらい異なってきた。十年一日のごとくの市場観測からは少し離れてきたような印象を受ける。
象徴的なのはエール大学のロバート・シラー教授へのノーベル経済学賞の授与。
あるいは、売って儲けていた一部のヘッジファンドの連中が欧州株で利益を出し始めていたこと。
リーマンショック以降、雇用統計なみに市場の注目を集めてきたケースシラー住宅価格指数もそろそろ「アガリ」?。
そしてヘッジファンドのいわゆる「意図的」な売買もその意図の角度とベクトルが変わってきているということだろう。
(3)アジア・新興国動向
中国のGDPは7.8%成長で着地。24日のHSBCの製造業PMIが多少注目されるのだろうか。アジア株の堅調さが戻ってきた印象。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
21日(月)貿易収支、米シカゴ連銀活動指数、中古住宅販売、
22日(火)電子書籍「キンドル・ペーパーホワイト」発売、米雇用統計
23日(水)9月訪日外国人数、クラウドEXPO(幕張メッセ〜25日)、メカトロジャパン(名古屋〜26日)、米FHFA住宅指数
24日(木)気象庁3ヶ月予報、米新築住宅販売。EU首脳会議、中国HSBC製造業PMI
25日(金)消費者物価、米耐久材受注、独IFO景気指数、英GDP
クラウドEXPOでIT関連、メカトロジャパンで工作機械では短絡的すぎるだろうか。10月月足陽線基準14484円を上回っていることが重要。
夏の間に起こったのは7月19日高値14953円や9月27日高値14817円での頭打ち。
この夏の忘れ物を秋に取り返しにいく相場になってきそうな雰囲気。そして5月23日の急落以来失いかけていた自信というものがまた戻ってきそうな気配。
その5月23日の株価急落の要因はQE3の縮小に対するバーナンキFRB議長の言及だった。
これが消されたということは実は大きい。
同時に中国のシャドーバンキングへの懸念もあった。
しかし中国の7〜9月のGDPは7.8%と好調な着地。
夏の間、市場を席巻して市場関係者の耳目を集めコメントを求めた懸念は秋止符の印象。
結局騒ぎまくって12000円台で売った連中の負けということになる。
面白いのは週刊誌の電車の中吊り広告の見出し。
「アメリカ発世界同時株安に気をつけよ。『売り逃げするなら今しかない』」。
週刊誌のネガキャンペーンはマーケット底打ちのサイン。
週刊誌のポジキャンペーンはマーケット天井のサイン。
そんなアノマリーもアリかも知れない。
反対指標を持つと結構市場のゆくえや滑稽さも見えやすくなる。
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