6月3週
今週の相場感
(2) 欧米動向
米投資雑誌バロンズで印象に残ったフレーズ。 「FRBの債券買い入れを支える紙幣増刷によって、金融資産を有する幸運な人々の富は 元に戻ったが、職探しをする人が報われる日はなかなか来ない」。 これが現実。 そして・・・。 「米10年国債利回りが2.16%から3.16%になった場合、債券価格は7.9%下落する。 株価は長期債利回りが1%上昇した場合、平均すると素材が2.1%、ハイテクが1.5%、 エネルギーが1.3%、一般消費財は1%上昇。 一方で、生活必需品が1.5%、ヘルスケアが2%、公益が2.3%下落する。 米企業の実質株式益回りは5.6%。 50年平均の4.3%、10年債実質利回りの1.1%を大きく上回っている。 そして家計の純資産は70兆3000億ドル。 07年のピーク時の67兆4000億ドルを上回るほど回復している」。 最後に日本株。 「日本ではインフレという脅威だけで効果がある。 明日安くなるものを今日買う訳がない。 そして必要なのは移民の受け入れや雇用の削減の継続とコーポレートガバナンスの改善。

これが実現されれば日本株は力強く成長する」。

(3)アジア新興国動向
ドル高傾向による資源国経済軟調との見方も出てきた。ニワトリとタマゴの話となるが、否定はできない。20日に中国のHSBC製造業PMIが発表予定だが、前月のようなサプライズ的扱いにはならないと見る。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
17日(月):米NY連銀製造業景気指数、G8(〜18日、北アイルランド)
18日(火):鉱工業生産確報値、米消費者物価、住宅着工件数、FOMC〜19日)
19日(水):貿易統計、バーナンキ議長講演
20日(木):景気動向指数改定値、米中古住宅販売、中国HSBC製造業PMI、スペイン国債入札、
21日(金):米景気先行指数

G8は市場インパクトが薄いもの。 FOMCとバーナンキ議長の講演、そして中国HSBCのPMIが控える。 先月使った材料をまた使ってくるほど市場は愚かではないと思うが・・・。 意外と参加者を見くびって同じ作業をしてくる可能性には警戒だろうか。

5月から登場したストックウェザーSFJセクターインデックス。 昨日のゆがみは強烈だった。 各セクターの絶対値は当然ながら前日比マイナス。 しかし、対日経平均の相対差額では、建設と証券を除いて前場からプラス。 結論は日経平均が売ら過ぎている状態は終日続いたということ。 ゆがみを見つけるのには最適のツールだった。

http://www.stockweather.co.jp/sw2/sfjindex.aspx
その歪みが絶頂感を醸し出して昨日は日経平均株価843円安。 値下がり銘柄数1603銘柄で騰落レシオは70%まで下落した。 1日で時価総額は18兆円も吹き飛んだ。 夜が明ければシカゴは13000円レベル。 目前の現実に一喜一憂、慄くのではなく、ほんの少し先に視点を変えればいいだけだろうに・・・。 多くのマーケット参加者はとどまりたがらない。 あるいは骨に髄までしゃぶりたがる傾向。 だから日経の先物オプションの解説にもあるように決済日の直前までオプションのドテンバタン。 売って儲かる→さらに売る→また儲かる→さらに売る。 相場観が欠如しているとも言える五月雨的な売り物攻勢に対抗するのはほぼ無意味。 ある意味群集心理を抑えることは出来ない。 だから、宴が去って冷静になった後の行動心理を読む方がよほど精神衛生上は良さげ。

大きなうねりには残念ながら巻かれて雪辱を期すしかなかった。 因みにファストリテとソフトバンクの2銘柄で日経平均を約170円押し下げ。 このいびつさの是正をせず見て見ぬフりというのもおかしいが・・・。

韓国ではサムスンの株が1日で6%超の大幅下落。 きっかけは、第3四半期から同社の携帯事業が後退局面に」とのJPモルガン証券のレポート。 報道は「外資系証券会社が発表したリポートを 無条件で信じる韓国国内の投資家が多いことをあらためて確認された」。 そういえば昨日の日経も「サムスン株急落、市場が警戒する『成長神話』の陰り」との見出し。 海の外の論調を無条件に信じる性格は似ている印象。 海の外を信じてはいけない好例は多々あるが、今回はまたロンドンの為替トレーダー。

対象は為替の指標の「WM/ロイター」。 ドルの指標価格を数人のトレーダーの所属する銀行に有利な方向に動かしたという疑惑。 LIBOR金利もロンドンだった。 疑惑とはいえ数字が恣意的に左右されている市場。 無防備に指標などを信じてはいけないという教訓にもなろうか。 だから「騒がない」であり「思うツボに嵌らない」である。 「世界マネーがリスク回避の動きで変調」ではなかったはず。 「国内SQにむけてのドテンバタンのバトル」だったに違いない。 それが昨日の13000円以下の500円の逆糊しろ立ったような気がする。 そもそも・・・。 数時間で根拠のない警戒懸念が根拠のない安心感に摩り替えられるマーケット。 売り過ぎ買い過ぎは人の常だが・・・。 無理に解釈しようとするからおかしくなることも多い。

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