4月2週
今週の相場感
(2) 欧米動向
今週号のバロンズ誌。 米国株式市場に関するコラムは「S&P500指数も最高値更新」。

頬をつねってみて、さあ、どうですか。 これが夢ではないし、エープリールフールの嘘でもない。 米国の投資家はまだお祝いの最中かも知れない。 イースター休暇で4営業日しかなかった先週の株式相場。 休暇前の木曜日に史上最高値を更新したからだ。 S&P500指数もついに新高値をつけた。

株価が高値をつけると、昔と比較したくなるもの。 感傷的なものは排除して、数値に基づいて比較してみると・・・。 07年当時の米国の失業率は5%以下、住宅市場は活況。 投資心理は前向きで地から強かった。 現在はマクロ経済環境は改善に向かいつつあるが依然として危ない足取り。 「もし中央銀行が緩和策をやめて金利が上昇するようになった場合、 経済がフル回転しなければ住宅市場は再び下落し株価もそれに続く」とも言われる。 一方で07年当時のS&P500指数のPERは20倍台。 現在の予想PERは14.5倍、実績PERは15.5倍にしか過ぎない。 割安とは言えないが、長期的平均を下回っている。 米国投資家は「手元にある資金をどこに持って行くか」という問題に直面。 債券市場はバブっており、相対的に米国株が割安な投資対象になっている。

あるいは「心配せず強気に行け。本当?」というコラム。

S&P指数もついに最高値を更新した。 事業が国内市場中心の中小型株は多国籍企業株をアウトパフォームした。 且つドル高の影響で第1四半期の米国から見た海外市場のリターンは目減りした。 MSCI(欧州・豪州・極東)指数は日本株の11.7%上昇にもかかわらず5.2%の上昇だけ。 「オズの魔法使い」のドロシーのセリフではないが「おうちが一番」の状況となった。

つまり・・・。 財政面でのマイナス要因、避けられない金利の上昇、欧州情勢の悪化、 中国の不透明な見通しなどを心配する必要は全くない。 リスクは米国外にあり、金利がゼロ近辺で推移する中、資金を投じる先で米国株に勝るものはない。 キプロスの銀行に資金を預けるよりも米国株の方が安心。 債券投資家もグレートローテーションが起きれば株式に資金シフトする。 FRBが年初来2740億ドル保有資産を拡大。 米国株の時価総額は1兆9000億ドル増加した。 紙幣増刷によって、米国は繁栄への道を築くことができる。 ハッピー・エープリールフール。

キプロスは落ち着きギリシャは平穏。 しかも・・・。 米政府系住宅金融機関の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)。 2012年通期が172億ドルの利益になったとの発表。 6年ぶりに黒字に転じ、年間利益としては過去最高。 背景は住宅価格の安定や住宅ローンの返済延滞が減少したこととの解釈。 前期は169億ドルの赤字だったからこの成長は結構なもの。 税効果は最大で590億ドルとなった可能性もあるという。 因みに米財務省はファニーメイの救済に約1160億ドルの公的資金を投入。 現時点で、配当支払いにより約356億ドル返済済み。 リーマンの幻影もそろそろ退却してくれそうな気配。

(3)アジア新興国動向
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
8日 (月):国際収支、景気ウォッチャー調査
9日 (火):工作機械受注、米3年国債入札、卸売在庫、中国生産者物価、消費者物価
10日(水):G8外相会議(ロンドン)、米財政収支、10年国債入札
11日(木):マネーストック、機械受注、企業物価、オフィス空室率、米30年国債入札、イタリア国債入札、インドネシア・韓国政策金利発表
12日(金):SQ、米小売売上高、卸売売上高、ミシガン大学消費者信頼感

信用の評価損率は2週連続で悪化。 とはいえ、マイナス1.3%→マイナス2.4%というかなり良い水準。 JASDAQにおいてはプラス10.87%→プラス10.49%。 まだまだ余裕の水準であることは間違いない。 そして裁定の買い残動向。 1738億円増加して3週連続の増加。 2兆9045億円まで積みあがった。 これは08年8月のリーマンショック直前の水準。 日経平均に換算すれば12200円台。 その上は08年5月16日の3兆2862億円。 日経平均の水準では14200円台。 結構わかりやすい指標ではある。

興味深かったのはブルームバーグの指摘。

日経平均株価の1〜3月の上昇率は19.3%。 昨年10〜12月と合わせた2四半期の上昇率は36.5%。 小泉政権時の05年7〜12月の35.9%を抜いた。 1972年7〜12月の37%以来の大きさとなった。 72年当時は、同年7月に「日本列島改造論」を打ち出した田中角栄内閣が発足。 同9月に日中国交正常化が実現した。 立花証券顧問の平野憲一の指摘。 「72年当時と今の経済環境や株価の動きはものすごく似ている。 国際会社型投信(IOS)の破たんやニクソン・ショック後に超金融緩和が起こり、 株価が上昇しているときに列島改造論の田中内閣が発足し、結局14カ月連続して株価が上昇した」。 一方で現在は・・・。 「リーマン・ショック後の金融緩和で株価が上昇しているときに安倍内閣が誕生。 8カ月連続で株価が上昇している。 もし当時と同様の動きをするなら、なお上昇が続くことになる」。 大和総研の試算によれば、東証1部の72年末の実績PERは27.6倍、予想PERは19.22倍。 直近ではそれぞれ27.4倍、22.7倍。 PBRは当時の2.88倍に対し、現在は1.27倍。
4月月足陽線の基準は12000円台。 9ヶ月連続月足陽線への挑戦のスタート。 「昨年来高安値」は今日から「年初来高安値」に変更。 名実ともにアベノミクス相場のスタート。
過去分析の大好きな市場関係者の分析。 一つはアメリカの「ベスト6ヶ月」とワースト「6ヶ月」。 5月1日→10月31日が「ワースト6ヶ月」。 1950年5月1日にNYダウに1万ドル投じたとすると・・・。 2011年までの平均インリターンは0.3%。 物価上昇率を勘案した絶対額では1024ドルの損失。 一方11月1日→3月30日までの「ベスト6ヶ月」。 1950年11月1日にNYダウに1マンドル投じたとすると・・・。 2011年までの平均リターンは7.5%。 物価上昇率を勘案した絶対額では67万4073ドル(約67倍)。 だから「そろそろ売り」という論理。 もう一つは小泉郵政解散相場から類推した現在のアベノミクス相場。 (小泉相場)05年8月→06年4月 日経平均11614円→17563円;5849円の上昇(月平易金743円)。 外国人投資家の買い越しは8.75兆円(月平均1.09兆円)。 (安倍相場):12年11月→現在 日経平均上場幅3966円(月平均886円)。 外国人投資家の買い越し(3月第3週まで)は5.26兆円(月平均1.32兆円)。 ここからが面白い。 夏の参院選挙までの時間2.5ヶ月とすると日経平均の上昇幅は880円×2.5=2200円。 ザラ場高値12650円+2200円=14850円。 スゴイ論理だが、使い勝手はよさげ。 そんなもので株価が決まるとすれば、単純過ぎでもう少し工夫が欲しいところだが・・・。。

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