《マーケットストラテジーメモ》06月03週
【推移】
18日(月):
週末の米国株式市場は主要3指数が揃って下落。トランプ米大統領は中国からの総額500億ドルに上る知的財産権およびハイテクに関連する製品に対し25%の輸入関税をかけると表明。これに対し中国も同規模の対抗措置を導入すると発表。「米中貿易戦争激化の様相」だが一時の280ドル安からみると引けは落ち着いた格好だ。
東京では政治と金融のイベントが連日継続した週は通過した。4勝1敗ペースは2週連続。前々週は金曜安、前週は木曜安。そして水曜は今年初の2週連続高。リズムは下半期を迎える時期に変わったのかも知れない。昨年も上期と下期で物色セクターが反転していたことは記憶に新しい。
日経平均株価は171円安の22680円と反落。25日移動平均線(22646円)を下回る場面があったが、終値での25日線割れは回避。東証1部の騰落レシオは86%台と、3月9日以来、3カ月ぶりの水準まで低下。村田製、JTが上昇。トヨタ、東エレが下落。
19日(火):
週明けの米国株式市場でNYダウは2ヵ月ぶりの5日続落。約半月ぶりに節目の25000ドルを割り込んだ格好。対中貿易摩擦懸念を背景にボーイングが5日続落。キャタピラー、P&Gなどが下落した。インテルの下落も相場の重荷。ボーイングとインテルの2銘柄でNYダウを33ドル押し合下げている。
ラッセル2000は52週高値を更新した。「セクターローテーションが中心で積極的な買いは入らずマチマチの動き」との見方だ。
日経平均株価は401円安の22278円と安値引けで大幅続落。下落幅はおよそ3ヶ月ぶりの大きさ。米中貿易摩擦への警戒とドル円の109円台半ばへの円高トレンドを嫌気した格好。アジア株安と米国株の時間外取引の下落も重石となった。東証一部の値下がり銘柄数は1827で全体の9割。値上がりは218銘柄。マネ、クボタが上昇、トヨタ、三菱UFJが下落。
20日(水):
米国株式市場は大幅下落。特にNYダウは一時400ドル以上の下落幅となる場面もあり年初来の上昇を帳消しにした。背景は米中貿易摩擦問題。トランプ大統領が2000億ドル規模の中国製品に対し10%の追加関税を課すと警告。中国も断固として反撃するとコメント。市場心理は再度ネガティブに傾いた。「貿易を巡る一連の発言が単なる交渉戦術ではない可能性に市場は気付き始めている」という解釈だ。
一方でゴールドマン・サックスCEOは「トランプ大統領の対中関税を巡る警告は心中の約束でない。交渉の駆け引きである公算が大きいがリスクの高い報復的な戦略だ。ただ経済を崩壊に追いやるとは疑っていない」とコメントしている。
日経平均株価は276円高の22555円と3日ぶりの反発。5日ぶりに日足陽線となった。ドル円が110.20円レベルまでの円安トレンドと弱含んだことや朝方に下落していた上海総合指数が値上がりに転じたこと。
NY株の夜間取引の堅調を受けて買い物優勢の展開。日中値幅は414円と振幅が大きかった。ソフトバンク、ファーストリテ、ソニーが上昇。トヨタ、資生堂が下落。
21日(木):
NYダウは7日続落。NASDAQは反発し終値ベースの過去最高値を更新。S&P500は4日ぶりに反発とマチマチの展開。ハイテク大手5社の「FAANG」銘柄が急伸。5社中4社が過去最高値を更新した。
FAANG銘柄は年初来37%近く上昇している(S&P500は約3.8%高)。各社の年初来上昇率は、ネットフリックスが約117%、アマゾン51%、フェイスブック約15%。アルファベットは約14%。アップルは10.5%。NYダウ採用銘柄から除外されるGEは下落。「米中貿易摩擦激化を巡る懸念が和らいだ」との声が聞こえる。
日経平均株価は137円高の22693円と続伸。25日線と5日線は回復。TOPIXは反落。「東証1部銘柄で6月に配当金を支払う企業は約1390社。配当金の合計は過去最高規模となる約5兆5000億円となる見込み。配当の再投資期待は高い。
配当金の支払いが急増した昨日から相場上昇に拍車が掛かった」との声も聞こえる。ファーストリテ、ソフトバンク、東海カ、SMCが上昇。三菱UFJ、大日住友薬が下落。
22日(金):
NYダウは昨年3月以来の8日続落。9日続落となると1978年以来40年ぶりのこととなる。貿易摩擦を巡る懸念が再燃。10年国債利回りは一時2.8%まで低下した。
日経平均株価は176円安の22516円と下落。OPEC総会の行方を見極めたい動きという解釈だ。大塚HD、ユニチャームが上昇。ソフトバンク、コマツが下落。
(2) 欧米動向
こんな声もある。
ジョークとしてトランプ大統領が「2000億ドル追加だ、いや3000億ドルだ、
5000億ドル、さらに7000億ドルだ〜!」と叫んだ。
閣僚の一人が「大統領、中国からの物の総輸入額は5100億ドルしかありません」とささやく。
どうも足元のトランプ大統領はこういった笑えないギャグに突き進んでいるようだ。
(3)アジア・新興国動向
「中国製造2025」の重点10分野
↓
(1)次世代情報技術:国家情報やサイバー空間の安全にかかわる半導体チップの国産化強化。
(2)高度なデジタル制御の工作機械・ロボット:産業用、医療、家庭向けロボットなどの新製品を需要に応じて開発。
(3)航空・宇宙設備:大型航空機の開発、有人宇宙飛行、月面探査事業を推進
(4)海洋エンジニアリング・ハイテク船舶:深海探査向けの主要システム開発
(5)最先端鉄道設備:世界トップレベルの鉄道交通産業の体型を構築。
(6)省エネ・新エネ自動車:電気自動車、燃料電池車の開発を支援。自主ブランド世界トップレベルへ。
(7)電力設備:水力や原子力発電、重量型ガスタービンの生産能力を向上。新エネを推進。
(8)農業用機材:食糧、綿、油、砂糖など戦略的経済作物の生産に農業機器を重点的に開発。
(9)新素材:超電導素材、ナノ素材、グラフェンなど戦略的な先端素材の開発を加速。
(10)バイオ医薬・高機能医療機械:バイオ3Dプリンターなど新技術の飛躍と応用を実現。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
25日(月):米新築住宅販売、シカゴ連銀全米活動指数、独IFO景況感
26日(火):企業向けサービス価格指数、米CB消費者信頼感、S&P住宅価格指数
27日(水):米耐久財受注
28日(木):小売売上高、株主総会集中日、米GDP確定値、EU首脳会議
29日(金):鉱工業生産、有効求人倍率、米個人所得、シカゴ購買部協会景気指数、上げの特異日
7月6日(金)下げの特異日
7月9日(月)上げの特異日
7月26日(木)は下げの特異日
7月29日(日)は上げの特異日
15日に開催された「平成00年第9回経済財政諮問会議・第18回未来投資会議合同会議」。
議題は「経済財政運営と改革の基本方針2018(案)及び未来投資戦略2018(案)」
また持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第5回)も開催された。
「拡大版SDGsアクションプラン2018」も登場した。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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