《マーケットストラテジーメモ》02月04週
【推移】
19日(月):
週末のNYダウとS&P500は小幅上昇。NASDAQは6日ぶりの反落。週明け19日はプレジデンツデーの祝日で休場。方向感のない展開となった。大陪審がロシアの米大統領選干渉疑惑を巡りロシア人13人と3団体を起訴したとの報道。これが悪材料視された面もある。
週足ではNYダウが4.25%上昇し2016年11月以来の上昇。NYダウは6日続伸。週間で1028ドル上昇。2〜8日の下落幅の約6割を回復した。S&Pが4.3%上昇し2013年1月以来の上昇。NASDAQは5.31%上昇し2011年12月以来の好成績。「債券は売られ過ぎていた。こうした状況も終わりに近づきつつある」という指摘もある。
一時105円台だったドル円は106円台前半。「次の焦点は28日と3月1日のFRBパウエル議長の議会証言」となっている。市場では「円高耐性」という声も聞こえる。ブラック・マンデー越えは個人の日本株買い越し額。
2月第1週の買い越しは7458億円。遡及可能がデータは1987年以降。これまでの最大は1987年10月第3週の6504億円だった。これを抜いたことになる。
日経平均株価は428円高の22149円と3日続伸。2月5日以来約2週間ぶりの水準まで戻してきた。TOPIXは高値引け。「日本株もNY追随型で落ち着く形。当面は上下を繰り返しつつ、上を目指す方向となるだろう」と声が聞こえる。
東証1部の売買代金は2兆3256億円と今年最低。東証1部の値上がり銘柄数は2002と全体の97%。値下がりは56銘柄。東邦鉛、ヤマハ、トクヤマ、日東電工が上昇。BS、電通、資生堂が下落。
20日(火):
NY市場はプレジデンツデーで休場。3日続伸で2週間ぶりに22000円台回復は「良くできました」だった月曜日。背景は平均売りコストを上回ったことによる一部の海外短期筋による株価指数先物への買い戻しとの解釈だ。
テクニカル的には「1月23日のザラバ高値(24129円)から2月14日のザラバ安値(20950円)までの下落幅。その38.2%戻りの22164円が目標」という声もある。38.2%という数字に意味なく根拠を求める向きは多いがほぼ昨日段階で達成した格好だ。過去の上値と現実水準との乖離の時間帯ということだろう。日経平均株価は224円安の21925円と4日ぶりの反落。前日までの3日間で995円上昇していたことからの売り物優勢の展開。NY株式市場の連休明けの動向や円高を懸念しての買い手控えとの声もある。春節ということもあり海外投資家の参加は少なく売買は低調。
東証一部の売買代金は2兆2390億円と連日で今年最低を更新した。昨年12月29日以来の低水準だった。東証一部の値上がり銘柄数は1027、値下がりは949銘柄。東ガス、関電、JR東が上昇。ファーストリテ、ソフトバンク、富士通が下落。
21日(水):
3連休明けのNYダウが7日ぶりの反落。ウォルマートの大幅安が重石との解釈だ。「経済情勢や企業業績の基本的な枠組みは変わっていない。しかしウォルマートは明らかに市場に恐怖感をもたらした」と言う声が聞こえる。もっともアマゾンや半導体株の上昇が支えとなりNASDAQは横ばい。NYダウが6日続伸し1週間で4.25%(16年11月以来、NASDAQは11年11月以来)の上昇。その反動の3連休明けと考えたほうが良いかも知れない。「3日続伸までのリズム」だった日経平均株価。
月曜の引け間際の上昇など忘れた格好で「前日までの3連騰で1000円近く上げた反動」という解釈ばかりだった。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲16.729%(前日▲16.906%)。買い方▲6.418%(前日▲6.246%)と意外と買い方は劣勢ではない。裁定買い残の1兆7398億円(前週比4619億円減)が効いているような気がする。3月メジャーSQに向けた戦いと想定すれば2月SQ値21190円は下限。12月メジャーSQ値22590円というのが買い方の目標だろう。
日経平均株価は45円高の21970円と小幅に反発。ドル円の107円台後半を支えに後場寄り直後に22100円台を回復したものの米先物時間外取引の下落を嫌気し一時90円近く下落に転じた場面もあった。売買交錯での日経平均は乱高下という格好。日経平均の日中値幅は293円。「株価が下げに転じた場面では個人の押し目買いも見られた」との声も聞こえる。小型株で構成するTOPIXスモールの上昇が目立つなど、中小型株を中心に個人の買い意欲は旺盛との見方もあった。
東証1部の売買代金は2兆6862億円とやや拡大。東証1部の値上がり銘柄数は1087、値下がりは897。任天堂、東エレク、キーエンスが上昇。第一生 命HD、大東建、三菱商が下落。東証2部株価指数、日経ジャスダック平均株価、東証マザーズ指数は5日続伸。
22日(木):
NYダウは乱高下し結局166ドル安と続落。背景はFOMC議事要旨。「FOMCメンバーがインフレについてそれほど懸念していない」ことを市場は好材料視した。しかし「 堅調だった雇用統計やCPIがFOMC開催以降だったことに市場は気付いた」との解釈。NY市場はそんな愚かな場所とは思えないが、こんな稚拙な解釈がまかり通るから面白い。
10年債利回り約4年ぶりの高水準となる2.957%。30年債利回りは一時3.233%。2015年7月以来の高水準。2年債利回りも一時2.282%。約9年ぶりの高水準になった。
Quick調査の2月16日時点の信用評価損率はマイナス9.90%(前週はマイナス10.1%)。3週ぶりに改善した。
裁定買い残は1689億円減少(6週連続)し1兆5709億円。裁定売り残は70億円増の4988億円。買い残はもうそろそろ減らないだろう。日経平均採用銘柄のEPSは1686.17円と過去最高を更新。
日経平均株価は234円安の21736円と大幅反落。時間外取引での米株価指数先物安や円高トレンドを嫌気した格好。一時前日比343円安まで下落した場面があった。「病み上がりが継続した格好。しばらくは、中小型株の下値を拾って戻りを売る局地戦」という声が聞こえる。「銀行や生損保などの金融機関は米国債の利回り上昇(価格は下落)で外債運用に含み損を抱えており、3月の年度末に向け政策投資していたJR各社などに益出し売りを出しているようだ」という観測もある。
東証1部の売買代金は2兆5902億円。東証1部の値上がり銘柄数は542、値下がりは1455銘柄。NTT、土木管理、インソース、東洋炭素、東亜DKK、エレマテックが上昇。リコー、鉄、マルハニチロ、東電、国際帝石が下落。TOPIXとJPX400は3日続落。
23日(金):
NYダウとS&P500は3日ぶりの反発。NASDAQは3日続落。10年債利回りが前日の約4年ぶりの高水準から低下したことを好感した。
ただ終盤にかけては金利上昇への警戒感が台頭。NYダウは350ドル超の上昇から164ドル高まで上昇幅を縮小した。「金利は高い水準で落ち着く見込み。そうなれば株にとって問題となる」という見方。
「金利の上昇ペースが緩やかで、かつ経済指標が良好な状況が続けば株式市場は金利上昇の影響を吸収できる」という見方の交錯。
木曜の日経平均は234円安。「下ヒゲが90円で一応は抵抗したが陰線」という声が聞こえる。陽線3本の後の陰線3本。日露政府の協力プランを世耕経産大臣が発表した。一番が「日本式健康診断の導入」。2番が「渋滞緩和、下水道の補強」。そして「港湾・空港整備・木造住宅供給」。
日経平均株価は156円高の21892円と反発。米国株と債券利回りの低下を好感。VIX(恐怖)指数が低下したことで投資家心理が改善し買い優勢の展開となった。もっとも週末要因を背景とした様子見ムード。「買い戻しが中心」との見方だ。TOPIXとJPX日経インデックス400は4日ぶりに反発。
東証1部の売買代金は2兆2514億円と低調。東証1部の値上がり銘柄数は1562と、全体の約8割。値下がりは455銘柄。「日中値幅が縮小。ボラテリティが低下しているが、その分動きも鈍っている。来週のパウエルFRB議長の議会証言などイベント待ち」との声も聞こえる。任天堂、トヨタ、ファストリ、ソフトバンクが上昇。花王、セブン&アイは下落。
(2) 欧米動向
アルゴリズムを駆使した大手ヘッジファンド2社が2月の市場変動により大幅な損失。
業界大手であるカンタブ・キャピタル・パートナーズのクオンティテイティブ・ファンド。
年初から2月9日までで10.7%下落。
システマティカ・インベストメンツのオルタナティブ・マーケッツ・ファンドは同期間で8.9%下落。
見えない影に怯える必要はなかろう。
米国7年債入札に対する需要は低調。
総額290億ドルの7年債入札は応札倍率が2.49倍と、昨年11月以来の低水準。
中国や日本などの直接入札者による落札比率が昨年9月以来の高水準になったという。
米国内資金が手を引いてきた米国債を買うアジアマネーの構図は如何なものだろう。
財務省は今週総額2580億ドルの国債入札を実施。
2010年8月の約2590億ドルに次ぎ、過去2番目の高
水準だ。背景は税制改革やインフラ投資。
トランプ支援のアジアマネーというところか。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち18指数が上昇。
上位1位ベトナム週間騰落率4.07%、2位台湾3.58%、3位ブラジル3.28%、
4位ロシア2.99% 、5位中国2.81%、11位日本0.79% 。
下位25位フィリピン▲1.68%、24位南アフリカ▲0.70%、23位英国▲0.69%、
22位イタリア▲0.55%、16位米国0.36%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
26日(月):シカゴ連銀全米活動指数、新築住宅販売、モバイルワールドコングレス(バルセロナ)
27日(火):米耐久財受注、ケース・シラー住宅価格指数、CB消費者信頼感
28日(水):鉱工業生産、東京五輪マスコット発表、米GDP改定値、パウエルFRB議長議会証言(下院)、MSCI定期見直し(四半期)リバランス実施、シカゴ購買部景気指数、中国製造業PMI
1日(木):法人企業統計、消費動向調査、米ISM製造業景況指数、新車販売台数、個人所得・支出、パウエルFRB議長議会証言(上院)
2日(金):失業率、マネタリーベース、インド休場
【3月】
1日(木)日本郵政が「ゆうパック」値上げ、法人企業統計、
2日(金)満月、下げの特異日、変化日
4日(日)イタリア総選挙
6日(火)ジュネーブ国際自動車ショー
7日(水)米ベージュブック、
8日(木)GDP改定値、日銀金融政策決定会合(〜9日)、ECB理事会
9日〈金)メジャーSQ、平昌パラリンピック(〜18日)、木星逆行開始
11日(日)米サマータイム開始
12日(月)変化日
14日(水)春季労使交渉集中回答日
16日(金)米メジャーSQ、変化日、FTSE定期見直しのリバランス実施
17日(土)新月
18日(日)ロシア大統領選
20日(火)FOMC(〜21日)、上げの特異日、変化日
21日(水)春分の日で休場
22日(木)EU首脳会議、ECB理事会
23日(金)水星逆行開始
25日(日)自民党大会、欧州サマータイム開始、変化日
27日(火〉JR九州のななつぼしが大幅ルート変更
29日(木)東京ミッドタウン日比谷開業、英国のEU離脱まで1年
30日(金)NY・ロンドン市場休場〈グッド・フライデー)
中国全人代開催、スポーツ庁がスニーカー通勤を奨励
銘柄をタテに追うのかヨコに追うのかという課題は今回も問われた気がする。
多くの投資家さんはヨコに追うのが好きだ。
デイトレなどと言われ、蝶のように華麗に銘柄の間を舞う。
しかし、それで残るものは意外と少ないような気がする。
一方で、暴落急落時に追いかけていた銘柄を拾う作業も結構お気に入りのようだ。
これがタテに追うのだが、その後に持ち続けることで、飽きることも多い。
焦れて飽きて売った後にあるのが果実、あるというのも経験則。
それでも、動いていないと面白くないので、タテ投資家突然ヨコ投資家になる。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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