《マーケットストラテジーメモ》4月3週
【推移】
13日(月):
NYの週末はグッドフライデーの3連休で休場。週間ベースではNYダウは12.7%高、NASDAQは10.6%高、S&P500は12.1%高。それぞれ2週ぶり反発。英FTSE、独DAX、仏CAC40株価指数はそれぞれ2週ぶり反発。
日経平均株価455円安の19043円と大幅反落。「新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、企業活動や消費を長期にわたって押し下げる」との見方。
日銀のETF買いが入らなかったことも弱材料の一角となった。中国で新たに確認された感染者数が再び100人を超えたとの報道も悪材料視された。東証1部の売買代金は1兆G513億円と低調。1月20日以来の2兆円割れ。武田薬、イオンが上昇。川船、鉄が下落。
14日(火):
週明けのNY株式は3日ぶりの反落。NYダウは前週末比328ドル(1.4%)安の23390ドル。下落幅は一時600ドルを超えた場面もあった。「前週に2666ドル上昇していたことへの反動売り」という見方だ。「主要企業の1?3月期決算発表を控え新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化を警戒」という声もある。
日経平均株価は595円高の19638円と大幅反発。「前日のNY株式市場でハイテク株が上昇したことが支え。新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞が早期に収束すると根拠のない思惑も拡大した」との見方だ。「SBGの上昇が全体株高の呼び水となる展開に期待」という声もあった。前日の下落分(455円安)を埋めた。
SQ値19577円48銭は上抜け「幻」脱却。東証一部の売買代金は2兆2679億円。SBG、ファーストリテが上昇。清水建設が下落。
15日(水):
NY株式市場で主要3指数は大幅に上昇。NYダウは一時24000ドルに乗せた場面があった。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長のコメント。「トランプ大統領が数日中に経済活動再開に向けたソーシャル・ディスタンシング指針について重要な発表を行う」。ニューヨーク州のクオモ知事のコメント。「新型コロナウイルス感染症による同州の入院者数が初めて減少した」。これらのコロナウイルス関連の材料を好感した格好で買い物優勢の展開。NASADAQは300ポイント以上の上昇で4日続伸。
日経平均株価は88円安の19550円と小幅反落。日中値幅は194円と3月15日以来の狭さだった。IMFの景気見通しの下方修正が悪材料。東証一部の売買代金は2兆5279億円。富士通、中外薬が上昇。商船三井、スズキが下落。
日経平均採用銘柄の予想PERは14.00倍(前日12.97倍)。EPSは1396円(前日1514円)。株価が上がったわけでなくEPSが減少しただけのこと。
16日 (木):
NY株式市場は反落。前日のJPモルガンやウェルズ・ファーゴに続き第1四半期決算が低調だったバンカメが6.5%下落。シティグループが5.6%下落。経済紙表の歴史的悪化を嫌気した格好だ。
日経平均株価は259円安の19290円と続落。下落幅は一時400円に迫る場面があった。夜の米週間失業保険申請者数に対する警戒感が売り物優勢の背景との指摘もある。
東証一部の売買代金は2兆2102億円。フイルム、味が上昇。シスメックス、パナソニックが下落。TOPIXも反落。一方マザーズ指数は4日続伸。
13週線(720ポイント)を上抜けてきた。4月10日時点の裁定売り残は4120億円増の2兆0165億円。4週ぶりの増加。昨年9月6日時点の2兆666億円に迫った。
17日(金):
NY株式市場で主要3指数は反発。NYダウは33ドル33セント高と3並びの上昇。NASDAQは100ポイント以上の上昇となった。アマゾンとネットフリックスが過去最高値を更新。ネットでの動画配信や宅配サービスへの需要増が背景だ。週間新規失業保険申請件数は524万5000件。1カ月間の申請件数は合計で2200万件を超えた。
「株式市場はいくらか楽観的に動いた。青ざめるような経済指標にもよく耐えられた」という見方だ。
日経平均株価は607円高の19897円と大幅反発。一時19900円台まで上昇した場面もあった。週足は2週連続の陽線。3月6日以来の高値を回復した。鉄、ファナックが上昇。シスメックス、京王が下落。週間ベースでは上昇、下落、上昇と前の週の動きが否定されていたが、今週は続伸。
週間では398円上昇し週足は2週連続陽線。TOPIXも反発。一方マザーズ指数は5日続伸。前週に12.9%上昇し、今週は10.3%上昇。
(2) 欧米動向
3月の小売売上高が前月比8.7%減。
1992年の調査開始以来の大幅なマイナス。
3月の鉱工業生産統計も製造業生産指数が6.3%低下。
1946年2月以来の大幅な落ち込みとなった。
4月のNY連銀製造業業況指数は前月から56.7ポイント低下のマイナス78.2と過去最低を記録した。
「新型コロナウイルス流行がもたらす打撃への懸念が強まった」という解釈だ。
FRBが公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)。
「米国の経済活動は全ての地区で突然、急激に落ち込んだ」との見解。
4→6月期のGDPが4割落ち込むという市場の予想も聞こえる。
「経済がV字回復するとの期待は後退しつつある」という指摘もある。
(3)アジア・新興国動向
1→3月の中国のGDPは物価の変動を除いた実質で前年同期比6.8%減。
前四半期のプラス6.0%から大きく落ちこんだ。
四半期の成長率としては記録がある1992年以降では初めてのマイナスだった。
社会が大混乱した文化大革命が終わった76年が推定マイナス1.6%。
これまでは19年7→9月と同10→12月の6%が最低だった。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
20日(月):貿易統計、米シカゴ連銀全米活動指数、下げの日
21日(火):米中古住宅販売、独ZEW景況感
22日(水):米FHFA住宅価格指数
23日(木):米新築住宅販売、株高の日
24日(金):消費者物価、企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感、ラマダン入り、変化日、株安の日
25日(土):チリ憲法改正国民投票
27日(月):日銀金融政策決定会合(→28日)、展望レポート
28日(火):失業率、黒田日銀総裁会見、FOMC(→29日)、CB消費者信頼感、大統領予備選(NY州など)
29日(水):昭和の日で休場、米GDP速報値、
30日(木);鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得、ECB理事会、ユーロ圏GDP速報値、中国製造業PMI、変化日
IMFは最新の世界経済見通しを発表した。
2020年の世界の成長率は3.0%落ち込むとの見通し。
新型コロナウイルスによって経済活動が停滞。
1930年代の大恐慌以来で最悪の景気後退になるとの見方だ。
ちなみに・・・。
09年の成長率はマイナス1%だった。
2021年は5.8%増とやや持ち直す見通し。
ただIMFは「不確実性が非常に高い」との見方。
新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)の行方次第で予測より大幅に悪い結果となる可能性があると警告した。
大半の国で新型ウイルスの感染拡大は第2四半期がピーク。
下半期に後退することを想定している。
「世界経済は今年、大恐慌以来で最悪の景気後退に陥る可能性が高い。
10年前の世界金融危機よりも深刻な状況となるだろう。
大封鎖とも言え、世界経済は劇的に落ち込むとみられる」と指摘した。
IMFの最善シナリオで米経済は20年に5.9%減少。
21年は4.7%増に回復。
ユーロ圏経済は20年に7.5%減。
中国は、20年に1.2%増となる見込み。
日本の2020年は▲5.2%、2021年は△3.0%。
(兜町カタリスト 櫻井英明)