《マーケットストラテジーメモ》 8月第4週
【推移】
17日(月):
週末のNY株式市場でNYダウは小幅高、NASDAQは小幅反落。S&P500は横ばいとマチマチ。3市場の売買高は78.3億株。直近20日間平均の101億株から大きく減少した。「しばらくは様子見ムード」という見方だ。
日経平均株価は192円安の23096円と5日ぶりの反落。先週900円超上げて約半年ぶりの高値水準となっており、高値警戒感からの売りも出やすかった。4日続伸の上昇幅959円に対して192円の下落は約2割。4〜6月の実質GDP速報値は前期比年率27.8%減と戦後最大の落ち込みを記録。日経平均先物に売りが出て相場を押し下げた。
東証1部の売買代金は1兆5014億円。1月20日以来約7カ月ぶりの少なさ。日産、日立が上昇。SBG、ファーストリテが下落。SQ値は2日連続で幻。日経平均は2月の高値24115円から3月の安値16358円までの下落幅(7753円)の約9割を埋め戻した。
18日(火):
週明けのNY株式市場でNYダウは反落。13週連続の週初高の記録は途絶えた。NASDAQは100ポイント超の上昇で終値ベースの過去最高値を更新。NASDAQが終値で最高値を更新するのは今月5回目。S&P500も2月19日のザラバ最高値に迫った。
日経平均株価は45円安の23051円と小幅続落。ファーウェイの規制強化懸念から売り物優勢の展開。一時100円以上下落した場面もあったか引けにかけて戻した。TOPIXは3日ぶりに反発。東証一部の売買代金は1兆77177億円。エムスリー、バンナムが上昇。SBG、京セラが下落。日銀ETF購入への期待から後場は下げ渋り。
実際は803億円購入していた(5日は1003億円、7月31日は1002億円)。日経平均23000円台で購入額は減少した。
19日(水):
火曜のNY株式市場はダウ安、NASDAQとS&P500は続伸とマチマチ。S&P500は終値として過去最高値を更新。3月23日の安値からは約55%上昇。上昇幅は過去87年間で最大。「2月下旬に始まった弱気相場はS&P500の歴史の中で最も短かった」という見方だ。「上昇はむしろ資産インフレに起因するもの」という声も聞こえる。
NASDAQは6月に最高値を更新してから18回過去最高値を更新。年初来からは34回目の過去最高値更新となった。2019年は31回、18年は29回だった。
日経平均株価は59円高の23110円と反発。NY株高を受けてハイテクセクター堅調の展開。6月の機械受注統計で設備投資に慎重な姿勢が示され、ファナックやダイフクなどの関連銘柄は安く推移する場面があった。TOPIXは続伸。東証一部の売買代金は1兆6966億円。武田、リクルートが上昇。ソニー、ダイキンが下落。マザーズ指数は2.96%高で5日続伸。
20日 (木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はそろって下落。ザラバにS&P500とNASDAQは過去最高値を更新したが結局反落。懸念されたのは午後に発表された7月FOMC議事要旨。景気低迷からの回復についての先行き不透明感。労働市場の一段の「大幅な改善」は経済活動の「幅広く持続的な」再開にかかっている。
そしてハト派的な政策の導入にFRBが否定的であること。これらが不安材料となった。個別ではアップルの時価総額が米企業として初めて2兆ドルを突破した場面があった。
イスラム・ヒジュラ暦の新年の日経平均株価は229円安の22880円と反落。約1週間ぶりに節目の23000を割り込んだ。NY株安に加えて前場の動向から日銀のETF買いも期待できずとあって後場は下落幅を拡大。
米が香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表。米中対立の激化により電子部品の需要が落ち込むとの懸念が拡大。アジアの株価指数が軟調に推移したことも重荷。TOPIXは3日ぶりに反落。東証1部の売買代金は1兆7748億円。JR東、パナが上昇。東エレ、SBGが下落。
14日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。NYダウは46ドル高と4日ぶりに反発。NASDAQは118ポイント高の11264ポイントと終値ベースの最高値を更新した。
けん引役はハイテクセクター。アマゾンが1.1%高、マイクロソフトが2.3%高。新型コロナ危機をうまく乗り切るとの期待が根強い。第2四半期の売上高と実質利益がともに市場予想を超えたエヌビディアはほぼ変わらず。100億ドルの自社株買い計画を明らかにしたインテルは1.7%高。テスラは6.5%高。
日経平均株価は39円高の22920円と反発。ただし安値引け。週足は陰線。5日移動平均線も下回った。「週末ということもあって、一段と模様眺めムード」との解釈。TOPIXも反発。東証1部の売買代金は1兆6777億円と相変わらず低調。5日連続の2兆円割れ。東京製鉄、エムスリー上昇。キーエンス、ファナックが下落。
(2) 欧米動向
日経朝刊では「日米ともにバフェット指標上昇」の記事。
バフェット指数は「株式時価総額を名目GDPで除した数値」。
100%を超えると過熱感があるとされている。
NYは177%を超え過去最高水準。
東京も6月末の時価総額とGDP速報値を基に計算すると117%。
ちなみに6月末の時価総額が588.3兆円。
名目GDPは506.6兆円だ。
3月末が98%だったから大幅な上昇だ。
経験則から行くと、時価総額は名目GDPの1.5倍が限界。
もっとも1.5倍水準は759兆円だが・・・。
もし時価総額が700兆円台に乗せれば時価総額的には未体験ゾーン。
その時、日経平均は計算上では26329円だ。
(3)新興市場
危機論者が最近話題にするのは「揚子江中流に位置する三峡ダム決壊」説。
万一、ダムが決壊すれば、約30億立方平米の水が下流域を飲み込むことという可能性だ。
サプライチェーンの寸断がブラックスワンという説になる。
1993年に着工、2009年に竣工した三峡ダム。
総発電量2250万キロワット。
総貯水量は393億立方メートルと黒部ダムのおよそ200倍。
湖水面積は琵琶湖の約1.7倍にあたる1084平方キロメートル。
総工費は2000億元(現在のレートで3.7兆円)。
警戒すべきはその歴史。
2000年の三峡ダム建設プロジェクトの2期工事。
三井物産を通じて住友金属(現・日本製鉄)が水圧鉄管用の鋼板を4600トン受注。
しかし品質検査の結果、衝撃に対する強度が基準を満たしておらず、一部が不合格になった。
最終的には日本側が陳謝し住友金属が代替品を納入して解決していた。
もし何かが起こればこれを悪材料として持ち出してくる可能性は高く、ダムの安全を祈るばかりだ。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【8月】陽線確率3勝7敗、(陽線確率30%)、過去15年6勝9敗(12位)
気学では「保合月。小幅稼ぎのとき。前途の高値に期待」
21日(金):消費者物価、米中古住宅販売、FTSE日本指数9月半期リバランス発表、鬼宿日
24日(月):安倍首相、連続在任日数が歴代首位、シカゴ連銀全米活動指数、共和党全国大会(ノースカロライナ州シャーロット→27日))
25日(火):米CS住宅価格指数、CB消費者信頼感、新築住宅販売、独IFO景況感
26日(水):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注
27日(木):全産業活動指数、米GDP改定値、トランプ大統領、指名受託演説、ジャクソンホール会議(オンライン→28日)テーマは「10年先に向けて舵をとる」。
28日(金):POS小売販売額指標、米個人所得、変化日
31日(月):鉱工業生産、中国製造業PMI、MSCI日本株パッシブ売買インパクト
土曜の日経朝刊は14日時点の「決算ダッシュボード」。
見出しは「98%が発表終了」。
売上高は18%減で09年第3四半期以来の2ケタ減収。
純利益は57%減で7四半期連続、前年同期比を下回った。
主要企業の決算は通過。
ココからは中小型株の業績と材料中心の相場になってくる。
ちなみに昨年の同時期。
↓
4→6月期決算集計状況。
全体の99.8%が通過した。
4→6月期売上高は△0.9%、同経常利益は▲4.7%、同純利益は▲14.7%。
通期売上高は△1.7%、同経常利益は▲1.8%、同純利益▲2.6%。
出そろった第1四半期決算。
純利益の合計は4兆575億円と前年同期比57%減で着地。
7四半期連続で前年同期を下回った。
もっとも1?3月は赤字だったから改善はしている。
そして通期見通しは30%減益。
トレンドは良くなってくるハズだ。
週間ベースでNYダウは0.00%安、3週ぶり小反落。
NASDAQは2.7%高、4週続伸(累計9.2%上昇)。
S&500は0.7%高、4週続伸(同5.6%上昇)。
週間ベースで日経平均株価は1.6%安。
TOPIXは1.2%安、ともに3週ぶり反落。
東証マザーズ指数は8.1%高、3週続伸(累計18.4%上昇)。
日経ジャスダック平均は0.8%高、3週続伸(同3.8%上昇)、
東証2部指数は1.1%安、3週ぶり反落。
東証REIT指数は3.0%高、3週続伸(同4.2%上昇)。
(兜町カタリスト 櫻井英明)